追記
2020年3月19日:2020年2月19日、気象庁は「令和元年東日本台風」と命名しました。(同時に令和元年台風15号も「令和元年房総半島台風」と命名。)これにより、当ブロマガタイトルの表記を変更しています。はじめに
まず、今回の令和元年台風19号によって被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
台風の直撃から約1ヶ月と発災からしばらく時間が経ちましたが、このブロマガではBSC24として台風時の対応や今回の台風の解説、台風など大雨や暴風の際の防災行動についてなどをお伝えし、少しでも読んでいただいた方の役に立つブロマガになるよう努めました。読者の皆様の今後の防災行動に活かしていただければ幸いです。
BSC24の対応
テロップレベル
当放送ではBSCテロップという災害情報などを流すテロップを導入しております。このテロップでは背景や文字の色によって現在の被災度をお伝えしております。
BSCテロップの放送画面内イメージ。主に画面下にあります。(この画像中の青いテロップ。)
今回の台風は予測の段階で勢力が強い状態で直撃すると予想されていたこともあり、事前に注意喚起等を行いました。テロップレベルを徐々に上げ、特別警報発令段階でレベル5+、氾濫発生情報やネット上での堤防の決壊の情報、ダムの緊急放流(異常洪水時防災操作)の予告が多く出てきた段階でレベル6に切り替えました。今回のテロップレベルの切り替えについては適切だったと考えます。
その後1週間以上にわたってテロップレベル3~4が継続し、最終的にレベル1に戻したのは10月末でした。レベルの高い間は警戒を続けてほしい意味から今回長期的に高いレベルを継続する決断に至りましたが、その後の雨予報で追加の災害に対する懸念などで警戒度を上げられなかった為、下げ方には課題を残した面はあります。災害懸念を残しても次の災害を懸念し早々に引き下げるべきか、河川氾濫などの時間差による二次災害の懸念などもレベル継続の要素にするか、この点を今後管理者間、必要に応じて視聴者からも意見を頂きながら議論していけたらと存じます。
BSCテロップのレベルの大まかな基準。今回は最高でレベル6に引き上げた。
なお、放送内でレベル7に関する話題がありましたが、レベル7は過大評価をしてしまって引き上げた平成28年熊本地震を除いて使用したことはありません。(事後評価では熊本地震のテロップレベルは6が妥当なテロップレベルであると評価。)東日本大震災(2011年に発生した平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う災害)をレベル6想定にしていますから、レベル7を使用することはほぼないと考えてください。
また、「テロップレベルは災害を見越して事前に上げておくべきでは」との意見が寄せられることがありますが、当放送でのテロップレベルはあくまでも実際に起きている事象に基づいて使用しているため、予めレベルを上げることはありません。また、テロップレベルは全体的な被害の度合いを伝えるものであり、このレベル応じて避難行動をとるのは場合によっては身の危険を招きますので各自治体の情報や身の回りの状況に応じて行動してください。
情報の提供今回、こちらから主に情報を提供したのは河川氾濫の指定河川洪水予報などが主でした。
テロップ自体には交通情報の計画運休を書き記し、順次当日は見合わせ区間をコメントでお伝えするなどしていましたが、管理者間で情報毎の価値観に差異が生じていた気がします。既に「確実に情報を提供するもの」は概ね統一していますが、推奨や努力程度に留まっている情報については、引き継げずに途切れていることもあり、運営コメントの提供には少しチームワーク性に欠ける面も見受けられた気がします。この点は次の災害時により緊密に連携が取れるように努めていきたいと思います。
尚、今回提供が少なかった避難情報は、これまでの災害で、全ての提供が困難かつネットに情報出るのが遅いことから、”市内全域”に絞るやり方をしました。情報を絞れたという点で経験が活かされてきたとは思います。但し視聴者がいればその地域の提供はしていきたいと考えていますので、やはり「その場に応じたコメント」が出来ることを次回に向けて更に改善を尽くしたいと考えています。
視聴者からもブロマガのコメント欄に提供すべき情報の提案を頂けたら嬉しいです。今後の参考にしたいと考えます。
BSC24の放送BSC24では、11日23時枠から48時間(2枠)、第三放送(台風専門放送)の開設をし、第一放送でもこれまで通り台風の情報についてお伝えしました。
なお、問い合わせフォームや放送内のコメントから、「どの音がどういう情報なのか解説情報がほしい。」といった意見がいくつか寄せられるなど、音による通知についての課題が浮き彫りとなりました。画面内はスペース上の制約があるため、画面上にどの音がどういう音か記載するのは現段階で難しいと考えておりますが、音の最後に読み上げ(♪~、「〇〇情報」)を付加するなど、情報を伝えられるように、引き続き情報のわかりやすさの向上に努めてまいります。※あくまで予定です。
ニコニコ第一放送の10月9日23時(10月10日枠)~10月14日23時(10月14日枠)のリアルタイム視聴者数の推移。緑はフォロしているユーザの視聴者数。最多同時視聴者数は18時25分の1,124人。
YouTube第一放送の10月9日~10月14日の日別視聴者数の推移。平常時の2倍以上の視聴者が当放送第一放送を閲覧したこととなる。
ニコニコ第一放送で最高視聴者数になったのは千葉県南東沖で発生した最大震度4の地震の直後でした。台風が最接近した12日~13日にはニコニコ・YouTubeともに視聴者数が増えていることがわかります。
台風の概要名称:令和元年台風第19号[アジア名:Hagibis](気象庁は2020年5月までに台風に命名する方針であると発表。)
台風の存在期間:2019年10月5日18時~2019年10月13日13時(7日9時間)
最低気圧:915hPa(太平洋上)
上陸直前の気圧:955hPa(10月12日18時、上陸は同日19時前)
上陸地点:静岡県伊豆半島付近
台風(●印)と熱帯低気圧・温帯低気圧(▲印)の進路。Wikimedia Commons(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hagibis_2019_track.png)の作品より引用。 © Meow
※以下2019年11月11日15時時点の情報、10月25日~同月26日の大雨の値も含む
死者数(災害関連死含む):95名(東北53名、関東33名、甲信越5名、東海3名、近畿1名)
行方不明者数:5名(東北2名、関東3名)
負傷者数(重軽傷):474名(東北113名、関東164名、甲信越142名、北陸3名、東海8名、近畿32名、中国5名、四国3名、九州4名)
住家全半壊・一部損壊:23,688棟
住家浸水(床上床下):67,142棟
防災行動テレビ等の報道でもある通り、今後は台風がより強大になると予想されています。ここでは皆さんの防災や減災に少しでもお役に立てるよう、防災行動について紹介したいと思います。
Ⅰ避難情報など自治体からの情報を確認する避難情報は自分の命を守るためのわかりやすい情報でもあります。
自治体から出される情報の一覧。警戒レベル4は「全員避難」の目安であり、避難勧告や避難指示が出た時点で避難する必要がある。
自治体から発表される情報は上の図のとおりです。よく避難指示と避難勧告の順番がわからなくなる方も多いようです。周りの方にも避難情報の区別をぜひ周知してください。
警戒レベルとそれに対する行動の目安。
警戒レベルは2019年3月に導入されたもので、1~5の5段階あります。これまで各機関が多数の発表していたため、情報を受け取る側がわかりにくかった面がありました。そこで、政府が情報をわかり易くまとめるために導入されたものが警戒レベルです。
警戒レベルの解説については政府広報(https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201906/2.html)などに細かく紹介されています。詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。
なお、レベル5で避難するのは手遅れと考えてください。レベル4の時点で全員が避難することが大切です。
Ⅱ避難は避難所に避難することが全てではない
避難情報を受け取った時、まずはじめに考えるのは避難所への避難ではないでしょうか。でも、見出しに書いた通り何も避難所に避難することが全てではありません。そもそも避難とは①立ち退き避難(水平避難)、②屋内での安全確保(垂直避難)の2つが挙げられます。
垂直避難と水平避難の違い。臨機応変にどちらを選択するか決めることが大切である。
水平避難はよく知られている避難方法で、危険な場所から危険でない場所(避難所など)へ逃げることを指します。一方、垂直避難は最近知られるようになった避難方法で、水平避難が危険な場合に建物の高いところなど安全な場所に避難することを指します。水平避難が危険とされるのは①避難する場所まで移動するのが危険な場合、②水平避難で避難する先が災害で被害を受ける恐れがある場合などがあります。
垂直避難が推奨されるパターンの例。臨機応変にどちらを選択するか決めることが大切である。
特に暗い時間帯やすでに周りに水が押し寄せるなど災害が発生している状態では水平避難をすることが困難になります。水平避難にするか垂直避難にするか、臨機応変に判断し行動することが何より大切です。
Ⅲ緊急速報メールはしっかり確認しましょう
国の機関や自治体から送られてくる緊急速報メール、今回の台風で送られてきた方も多かったと思います。緊急速報メールの解説は各携帯会社のページ(https://www.nttdocomo.co.jp/service/areamail/ (NTTドコモ)、https://www.au.com/mobile/anti-disaster/kinkyu-sokuho/ (au)、https://www.softbank.jp/mobile/service/urgent_news/ (SoftBank)でも解説されています。主に緊急地震速報や津波情報、国民保護情報などで知られるものですが、自治体からの避難情報もこのメールが活用されています。
台風19号接近時、実際に受信した緊急速報メールの画面。避難情報について記載されている。(「エリアメール」は株式会社NTTドコモの登録商標です。)
ここには警戒レベルや避難情報が発表されている地域など重要な情報が記載されています。しかし、一部報道にもある通り「緊急速報メールが見返せない」「見返す方法がよくわからない」という課題が今回の台風で浮き彫りとなっています。履歴の閲覧をする際、ガラケーの場合は通常の携帯メールツールで確認できますが、AndroidOSの製品は各社の専用アプリを開いてからとなります。iOSを用いたiPhoneなどの製品に至っては通知を消すと確認ができない仕様になっているようです。
主な携帯3社の緊急速報メールを確認するアプリ。
今後仕様が改良されるかもしれませんが、このような仕様であることを踏まえて通知にある緊急速報メールをすぐに消さず、自分がいる地域が対象の地域なのかをしっかりと確認をしましょう。
Ⅳ避難情報が発令されていなくても危険を感じたら安全な場所へ避難情報は全体的な雨量や川の水位などをもとに発表されるもので、ピンポイントな状況に応じて発表するにはどうしても限界があります。例えば土砂災害の兆候(参考:https://www.nhk.or.jp/sonae/special/doshasaigai/index.html)を察知したり、自宅の目の前にある小さな河川が氾濫しそうであるなど、身の回りの異常を感じたら自主的に避難行動を起こすことも大切です。
管理者個別の今回の災害についてのメッセージND豊島
今回の災害では、自分も台風前ギリギリまで勤務という形になりましたが、都会の様子はかなり非日常的でした。最近では計画運休が増え、24時間営業のコンビニなども休止、ギリギリまで動いていた鉄道もどんどん止まっています。自分の居住地や勤務地は幸い今回の災害では難を逃れましたが、埼玉の同僚を始め、近い関係にある人が多く被災されて深刻さを思い知らされました。河川氾濫して2週間たった河川敷も見てきましたが未だ泥だらけで、断水せずとも水圧が下がったといった声も聞きます。身近で台風被災者の声をこれだけ聞いたのは関東では間違いなく初でした。前日の夜はパンも売切れ、カップラーメンもない惨状、そしてその後の物資も3.11程ではないにしろ流通面でじわじわ影響を受けました。
防災士の自分から言えることとして、大事なのはやはり災害に日頃から備えることです。避難経路やハザードマップの確認は勿論のこと、断水や停電に至った場合の心構えやその時必要なものは何か。何事も起きてから対策するのでは遅いのです。今回無事だった地域もいつどんな形で災害に遭うかわかりません。願望では永遠に起きてほしくなくても、現実は毎年どこかで災害が発生しています。被害に遭われた皆さん、どうか下を向かず、復旧に向けて少しずつ動いていってください。立ち止まって自然災害を恨むばかりでは何も始まりません。「0より1」です。一歩踏み出すことで、元の生活に向けて前進するのです。辛い時は、必ず誰かに相談してください。長文になりましたが、皆様の防災意識が向上して頂くとともに、被災地の早期復興を心より願っています。
SC今回、自分が住む仙台市にも台風が接近し、恐怖を感じるような大雨が長時間続いたことに大変驚きました。外では風と雨が吹き荒れ窓に打ち付ける雨粒の音、そしてスマートフォンから鳴り響く緊急速報メールの音が台風の強さを物語っていました。私が知っている仙台市内のアンダーパスでも車が侵入して一人亡くなられたという情報、更に県内では丸森町や大郷町などを中心に広い範囲で浸水被害が発生していると言う情報を聞き大変ショックを受けました。今後も微力ではありますが、BSC24の管理者の1人として防災・減災意識がの普及に努めて参ります。今回の台風で被害にあわれた地域の一日も早い復興を祈っております。
こんぽ台風19号によってお亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げます。また、被災された方々にお見舞い申し上げます。
この台風については、特に大雨による氾濫が大きな被害を生みました。
氾濫については2015年の水防法改正にともない、一級河川を中心に100年から200年に一度の大雨を「計画規模降雨」、1000年に一度の大雨を「想定最大規模降雨」として国や都道府県が新しい浸水想定を公表しています。この浸水想定は国土地理院の「重ねるハザードマップ」などで確認することが出来ます。
1000年に一度といっても、それは来年かもしれませんので、自分や身の回りの人の命を守るために自宅などの浸水想定を確認し、適切な避難行動を取れる対策を取ることが重要だと、この台風により強く認識しています。
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BSC24の放送については、第3放送を開設し、台風進路予報や土砂災害危険度など様々な防災情報を提供しました。
今年は大雨警戒レベルの運用が始まり、この台風でも様々な防災情報が発表されましたが、その情報をいかに正しく伝達するかといった課題は残りました。
今後、個人としては生放送のコメント欄を通じた双方向コミュニケーションによる解説などを強め、防災情報の適切な伝達に努めていく所存です。
さいごにBSC24では、今回の対応が最善とは思っていません。課題も多く残した枠だったと思います。24時間放送を維持する上において多数の管理者を等しく力を発揮できる体制を目指していこうと思います。但し、我々管理者も無理のない範囲がモットーですから、限界がどうしても出てきます。また、本当に危険な時は当放送を見る余裕もありません。各自で来るべき災害の日に対する備えを今のうちに努めてください。もし今回の台風での放送について意見等ありましたら、ぜひこちらのブロマガにコメントを投稿してください。無料放送ではありますが、管理者一同、精一杯放送の継続などに努めてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
出典・引用・参考- ニコニコチャンネル-生放送統計 © DWANGO Co., Ltd.
- YouTube Studio-動画の分析情報 © YouTube, LLC
- 毎日新聞-気象庁、台風19号を命名へ 42年ぶり © THE MAINICHI NEWSPAPERS. https://mainichi.jp/articles/20191015/k00/00m/040/190000c (INTERNET ARCHIVE)
- 北本 朝展 @ 国立情報学研究所(NII)-デジタル台風・台風201919号 (HAGIBIS) © KITAMOTO Asanobu, National Institute of Informatics. http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/summary/wnp/s/201919.html.ja
- 気象庁-台風に関する気象情報(全般台風情報) © Japan Meteorological Agency http://www.jma.go.jp/jp/typh/D20191012095804728.html(INTERNET ARCHIVE)
- 消防庁対策本部-令和元年台風第19号及び前線による大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第50報) © Fire and Disaster Management Agency. https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/taihuu19gou46.pdf
- NHKニュース-届いていても「見返せなかった」災害時 緊急速報メールの課題 © NHK(Japan Broadcasting Corporation) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191107/k10012168211000.html(INTERNET ARCHIVE)
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台風進路図:© 2019 Meow. (Public Domain)
避難所ピクトグラム:© TopeconHeroes.
避難する人イラスト:© 2015 いらすとや.
堤防決壊イラスト:© 2016 いらすとや.
スマートフォン画面:© 2019 Google LLC. © 2019 NTT DOCOMO, INC.
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