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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>3

 トランプのBLM運動に対するアクションは最低最悪ですもちろん。しかし、もしカット&ペーストが許されるとして、歴代の他の大統領がどの程度「良い対応」が出来たか?と思うと、全く思いつきません。要するにトランプはヒールなんで、振りが大きく、他の大統領でもやることが目立つだけだと思います。メキシコ国境の壁の件も、どの大統領も忌々しく思っていた問題を、小学生みたいにバカな表現で、あまつさえ公式に口にしただけで、正直モンだと思いますよ。実際にメキシコ国境に壁なんか立ててないし。護身を図って口を慎んだ者の悪徳は裁かず、アクションした者だけ叩くのではSNSと一緒です。まあ、国政をSNSレヴェルに引き下げたのもトランプですが笑。

 文中にある通り、僕は、合衆国には、人種問題を解決できる能力がもう無いと思っています。バイデンが当選したとして、焼け石に水で、程度の低いラッパーが飼い慣らされるぐらいのことはあるかも知れませんが、断言しますが、バイデン、あるいは超バイデンなリベラルが大統領になろうと、合衆国の人種差別は無くなりません。

 オバマが当選したとき、合衆国中のブラックスキンの人たちは祈りのポーズで泣きながら彼に期待をしました。彼らはオバマに、核廃絶の演説をヨーロッパでしてノーベル平和賞をとることや、ビンラディン殺害など一切期待していなかったと思います。検索すればすぐ出てくると思いますが、オバマの顔を真っ白く塗り、骸骨の隈取をしてハーケンクロイツを描いたデモ旗は、彼の任期中にはためきました。僕はオバマが少なくとも「善戦するも惜敗した」という姿を見せればレイシスト呼ばわりはしません。「レイシストでは無い」ことを証明するには、ましてや合衆国の大統領とならば、市井の運動家よりも遥かにできることが多いはずです。

 オバマもトランプもバイデンも、クリントンもJFKもブッシュもアイゼンハウアーも、みんなレイシストだとして、僕は大暴れした者も確かにひどいけれども、優雅に無視した者、頑張ったふりをして逃げた者、ましてや、期待されて出来なかった者、しかも、頑張ったけれども期待むなしく散ったならばともかく、違うでしょ頑張るところが、というリージョンで頑張りまくったオバマは悪質だと思います。

 中東への悪行を考えるに、カラード差別だけがレイシズムでないことがわかります。イエローである僕らの多くもレイシストです。それはヘイトスピーチャーとかだけではありません。大久保の住んでいた時、回転すしの握り手がアフリカ人だった時がありました。彼の前に客が座っていることはなかった。なので(空いているから)僕は彼の前に着くことが多かったです。彼は数ヶ月でいなくなりました。他の職人と話が合わなかったとか、素行が悪かった、単に、もう十分設けたので国に帰った。という事もあったのかも知れませんが、彼と同期の職人でいなくなったすし職人はいませんでした。そして彼の握る寿司は、旨かったです。生魚を扱うのに、日韓人は言わずもがな、赤道付近の国の人々のが、欧州人よりはるかに慣れています。

 ちなみに、チャーリーパーカーもレイシストです。三度の結婚のうち、二度は重婚でしたが、それはともかく、妻に迎える女性はカラードでしたが、旅先でやり捨てる女性たちは全員白人だったからです。マイルスデイヴィスは「腕が良ければ肌が紫でも雇う」とビルエヴァンスを雇用し、白人警察官に武藤な暴行も受けましたが、パノニカの「ひとつだけ叶えたい夢を教えて」という質問に「白人になりたい」と答えました。これは皮肉と本音が半々だったと思います。

 正義の遂行は難しくありません。全身全霊を使って、自分が正しいと思うことをすればそれが正義です。立場や価値観が違うものにさえ、それは伝わるでしょう。自爆テロには慄然とするしかない。正しさが含有されているからです。それが人類のリミットです。僕がリベラルを嫌うのは、全身全霊で正義を遂行しているように思えないまま、唯一の正義みたいな自意識でいるからです。

No.6
48ヶ月前
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「岸辺露伴は動かない」の音楽をやっと納品したと思ったら   1)「次の東京オリンピックが来てしまう前に」の最終ゲラチェック   2) JZ Brat でやるクインテット(「今週の1曲」のジャズサイド)用の個人練習や準備   3)その僅か4日後に控えたぺぺ@サントリーホール用の個人練習と準備   4)ジャズドミュニスターズによるドスモノスのリミックス    という奇跡の4本立てが津波のように襲いかかってきて、防波堤にしがみつきながら発声練習とかサックスの練習とかしています。なんか、暇感を持て余していた今年の春夏が懐かしいです。    とか言いながら昨日の晩「おげんさん」の最新版生放送を見まして、「星野源は一人クレージーキャッツである」という、お馴染み「なんで誰も言わないんだろう?オレがいうしかないか」のフライングが、「幾ら何でももう分かるでしょうよ民も(奥田民生さんじゃありませんよ)」の域に達したと思うんだけどなあ、松重豊さん(因みに同い年)が犬塚弘さんじゃないか、、、、こういうのを一目瞭然というのだが、民はまだ菊地成孔が宮藤官九郎に似てるとか、ひょ。ひょ。ひょっとして民は全員メクラじゃないのだろうか、、、、それともオレの目がおかしいのか。などと、半ば本気で思いつつも、去年は英詞の歌などで締めたのに、今年は「星野源ナンバーの中で、もっともクレージーキャッツ性の高い」楽曲である「アイデア」を超人、三浦大知に歌わせ(ライブでカヴァーしている故)、真ん中の「クレージーキャッツタイム」では、星野、三浦の2トップで米津玄師ネタを入< NHK のアーカイヴで、「夢で逢いましょう」の、上を向いて歩こう特集を見て泣くほど感動した。ダンスだけが5分も流れるバラエティショーなんて今のテレビにはない。おげんさんでしか出来ない(大意)>として、「夢逢」リスペクトなダンスシーンを入れて「これは単にノスタルジーじゃない。未来のエンターテインメントなんだ(大意)」と強調し、なんかもう完璧じゃん。オレもう部屋で踊るわ。東宝のサラリーマン喜劇観ながら。と全てがもう完璧なのでした。  
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