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菊地成孔さん のコメント

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菊地成孔
>>13

 僕は父親を殺害しようと固く思っていましたが、自然にその殺意は憐れみに変わり、死ぬ間際には愛情に変わりました。精神分析治療の効用も大きかったです。激奨はできかねますが笑、というか「○○してください」という具体的なリクエストに、とっさに答えられる器がないので笑、お許し願いたいのですが笑、特に男性が、特に暴力を振るったり、圧力をかけた父親を殺害したいと思うのは、非常に健康的なことです。

 ただ、殺意を持つのと、実際に殺害するのでは、生欲を持つのと、実際に性交するのと同じぐらいの差があり、特に殺人は第1級のタブーとして、実行したらえらいことになります。

 なので、同じ会社ですし、半沢直樹よろしく、社内で数発殴って「1000分の1返しだ!」と言い放てば殺意は消えるか軽減すると思いますし、しかし逆に、今度は半沢直樹のようにではなく、お父上は謝罪しないでしょうから笑、遺恨は消えないかもしれません。

 何れにせよ、ユーチューブなどでパンチの出し方を研究して準備をしっかりなさり、社内や家庭内で、今、マウントを取られた。と思った瞬間に、キレずに冷静に、パンチを数発当てることです。興奮して殺害したり、後遺症が残るまで殴ってはいけません。ストレート、フック、ボディ、アッパーを各1発入れるだけで、お父上のポテンツは十分折れます。

 この方法に実現性がないのであれば、言葉の力でお父上に謝罪を受ける事でしょうが、僕の経験則上、言葉の力で謝罪を強制しても、大してスッキリしません。お父上はさぞかし怖いでしょうから、衝動任せにパンチは震えませんし、脳内で殴っている妄想をたくましくすればするほど、実際の打撃からはかけ離れて行きます。

 まずは落ち着いて、お父上のことは一旦忘れ、道具としてのパンチの出し方を何らかの形で習得され(習得中に、お父上への恨みは治る可能性もあります)、立っている状態のお父上が倒れるまで、最小限だけ当てれば良いと思いますよ。「誰がそんなことをけしかけたんだ!」と怒られたら、僕の名前を出していただいて構いません。

No.19
46ヶ月前
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 雨である。雨であるだけで素晴らしいのに、雪と混じりつつある。こういうのを淡雪という。重ねて、素晴らしい。淡雪を見ながら日記を書く。明治時代の文豪にでもなった気分である。    大体、10時から11時の間に起床。という、微妙な昼型が定着しつつある。これだと3時に眠くなるので、「真夜中」という時間も楽しめる。先日、 DOMMUNE に長時間出て、終わり、一人で外に出た。    僕は渋谷という街が元々苦手だった。やっとここに来て、「少し苦手ではなくなるかな」と思ったのは、テレビなどで盛んに見る、「渋谷の再開発」の様が、とても気に入ったからである。宮下パークには行ってみたい。寿司仲間の間で噂の寿司屋が出ているという情報も入手した。僕は何十年かぶりで、渋谷にワクワクした。それは恋に似ている。恋に似てる何か。    しかし、 DOMMUNE があるパルコ周辺は、その区域の(今の所)外である。だが僕は、外に出た瞬間、踊り出したくなる程舞い上がった。    誰もいなかったからである。    それは映画のセットのようだった。端的に懐かしい。これは、昭和の渋谷だ。60年代、映画の大手 5 社には全て「日活銀座」「東宝銀座」「大映銀座」といった、屋外型セットがあった、チネチッタにあったヴェネト通りを、フェリーニは「実際のヴェネト通りよりも、私にはセットの方がリアリティがある」と言った。    コンビニがなく、公衆電話がたくさんあり、歩きタバコが吸い放題で、終電を過ぎると、ほとんど誰もいなくなり、やっている店は大通りにはない。そんな光景が、コロナによっていきなり現出した。    それまで7時間以上パルコに閉じこもっていたので、エレヴェーターのドアが開いた時には、声に出して「うわああああああああ」と漏れてしまった。    30分ほどタバコを吸いながら歩き回り(一人も行きあたらなかった)、色々なことを思い出した。僕が通った音楽学校は池尻大橋にあった。僕が教鞭を執っていた音楽学校は渋谷にあった。様々な人と、渋谷を歩いた。常に居心地の悪さを感じながら、胸がときめいていた。    コロナが僕に与えたものは、概ね全て楽しいものだった。しかし、もし、真綿で首を締められるような、誰にでも共感してもらえるであろう閉塞感が、ネガティヴなものとして僕の中に堆積しているとしたら、コロナはこの一瞬を持って、それを全て精算したと言えるだろう。僕には、空気が綺麗に見えた。  
ビュロ菊だより
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