あまり身近に感じない人も多いかもしれませんが、中小企業・小規模事業者の事業承継は喫緊の課題とされています。中小企業庁の調べによると2025年までに、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者未定。このままだと、中小企業・小規模事業者廃業の急増により、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性が示唆されています(※1)。

そんな中、「これからの街の社交場を作る」をミッションに掲げ、スナック・バーに特化した事業承継を行っている、株式会社水中。後継者不足に悩まれているオーナーの方々に寄り添い、オーナーが重視してきた場所の価値を守り続け、事業を承継しています。

水中が採用している第三者承継は、事業承継を親族や従業員ではなく第三者に行う承継方法です。2022年の帝国データバンクの調査では、後継候補「非同族」が初めてトップになるなど、中小企業の承継を支えるものとして近年注目されている承継方法になります。

1店舗目となった「スナック水中」は、東京都国立市にある老舗の「すなっくせつこ」の承継(M&A)を行い、2022年4月に「スナック水中」としてリニューアルオープン。学生時代からスナックを愛し、卒業とともに事業承継されたことが話題となり、これまでテレビや新聞など36媒体が取材し、1年間で5000名以上の来店者数を記録しました。

水中が採用している第三者承継は、既存の顧客をベースにしながら新規の顧客をミックスさせ、売上を承継前の1.5倍とする営業モデル。また、承継することで、開店の初期投資を抑え、顧客のベースを作ることができます。さらに、一部スナック業務のDX化・スタッフの教育・新規顧客獲得をして売上向上・利益率向上も実施しています。

そして、今回は2店舗目となる「NO TRUNKS」は、東京都・国立市にある21年続く老舗のミュージックバー。これまで守ってきた文化は大切にしながら、スナック&ミュージックバーとして受け継ぎ、これからも街にリアルで生の音楽と社交の場が残るよう第二の創業を実施していきます。

Z世代が事業承継して実績を打ち出した1店舗目から、2店舗目への挑戦。スナック・バーといった夜の社交場に特化し、古きよきものを残しつつ、次世代も取り込む形への変容は、他業種の事業承継においても大きなヒントになるかもしれません。

・※1出典元:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題(中小企業庁)

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