絵付けに向かないという理由から、江戸風鈴の老舗「篠原風鈴本舗」で使われていなかった泡やシワのある透明ガラスの風鈴を使用。風合いのある風鈴を「土屋鞄のランドセル」のカラフルな革と組み合わせることで、色鮮やかな透明ガラスの江戸風鈴にアップサイクルされています。
量産されるガラス風鈴の多くは、型にガラスを吹き込み成形されていますが、江戸風鈴は江戸時代から受け継がれた、型を使わない「宙吹き」技法で風鈴を制作。さらに、職人の手によって一つ一つ絵付け、彩色されるのが特徴です。
そのため、江戸風鈴では絵付けがしにくい泡やシワがあるものは柄や用途が限られ、使われないまま在庫が溜まるばかり。宙吹きで一つ一つ手作りをする関係上、どんなに熟練した技術でも、釜の状態や気候によって泡やシワが入ることがあるといいます。絵付けが特徴の江戸風鈴に求められるツルツルしたガラスではなくとも、泡やしわの入った風合いのあるガラスにはそれぞれに異なる個性があると考えて企画された今回の商品は、結果的としてサステナブルなものづくりを実現させています。
シンプルな色の江戸風鈴とあわせて、風鈴の下で風を受け揺らす通称「短冊」には、グループ会社「土屋鞄のランドセル」のカラフルな革が使用されています。ランドセルのベルトパーツがサイズも形も短冊にピッタリです。 また、ランドセル製造の工程で生まれる余剰パーツの有効活用にも繋がりました。この革をランドセル職人が薄く漉き、両面で貼り合わせ厚さ1mm以内にすることで風にそよぐ程よい厚さの風鈴短冊に仕上がっています。
土屋鞄のランドセルは約40色展開されていますが、今回は「大人でも欲しくなる色」という観点から、プリズムブルー、プリズムカーキ、 グレー、キャメル、ピスタチオ、ミントブルー、ラベンダー、アイボリー、ベージュの9色を採用。色によっては、防水加工の革もあり、雨風に強いのも利点となっています。
それぞれに使わない、捨てられてしまうものが組み合わさることで、一点物の個性あふれる商品に生まれ変わったというストーリーは何とも魅力的です。しかも、本来捨てられるはずだったものだと気づかないほどハイクオリティな商品に仕上がっており、消費者の「欲しい」にうまくリーチしています。夏の風物詩としての風鈴というだけでなく、ランドセル素材だからこそ記念の品物としての購入など、手を伸ばすきっかけも増やせるアップサイクル商品の好例がありました。