花王とコーセーは、2021年10月より、持続可能な社会の実現を目指し、化粧品事業のサステナビリティ領域における協働を進めています。2022年4月からは、第一弾として、「化粧品プラスチックボトル水平リサイクルの取り組み」とともに、「絵の具などへの化粧品再生利用の取り組み」を推進してきました。研究所における品質追求・品質管理の過程で、最終的に商品にならなかったメイクアップ化粧品を、アップサイクルした絵具などの色材を製造・販売するモーンガータに提供する活動を続けています。
また、花王では、このメイクアップ化粧品からアップサイクルされた絵具を使用した塗り絵体験イベントや子ども向けの体験型アートイベントを実施。コーセーも、絵具を使用した消費者向けイベントに活用してきました。さらに、同じくメイクアップ化粧品から作られた印刷用インキ「ecosme ink(R)(エコスメインキ)※2」によるギフトボックスやショッパーバッグといった包装資材への印刷など、アップサイクル色材を用いた取り組みを、それぞれ進めてきました。※2:TOPPAN株式会社の商標登録。アイシャドウやファンデーションなどのパウダー化粧品原料を再利用した印刷用インキおよび顔料
今回、メイクアップ化粧品のアップサイクル品に汎用性の高いボールペンが加わることで、取り組みの幅がさらに広がることが期待できます。試作された「SminkArtペン」は、花王、コーセー両社のメイクアップ化粧品を組み合わせて作られたもので、複数色のカラーを展開予定。一方で、モーンガータは、サクラクレパスの技術協力のもと、2022年7月より水性ボールペンの開発を開始し、2024年秋頃の一般発売を目指しています。
今後、花王は、メイクアップ化粧品のアップサイクル品の社内外でのさまざまな活用を通じて、サステナブルかつ化粧品ならではのきれいな色や多様な質感で、ひと味違う彩りを楽しむ機会を提供するとしています。
コーセーは、オフィシャルスポンサーとして「キッザニア東京」内に出展している『ビューティスタジオ』パビリオンにて使用し、子どもたちが再利用に触れる機会の提供を予定しています。また、花王とコーセーの共催で、「SminkArtペン」を活用した生活者向けイベントの実施を検討中です。引き続き、両社が協働することの社会的意義を踏まえ、取り組みの拡大と推進を強化していくものとしています。
花王とコーセーのサステナビリティ領域における協働は、活動テーマに「環境保護・循環社会の実現に貢献する取り組み」「社会課題の解決に貢献する取り組み」を掲げ、推進・検討が進められています。協働第一弾の「絵具などへの化粧品再生利用の取り組み」は、「環境保護・循環社会の実現に貢献する取り組み」の一環として実施されたものです。
今後も、企業の垣根を越えて、両社で協働できる取り組みを模索し、持続可能な社会の実現に寄与するソリューションをさまざまな分野で創出することを目指すとしています。
花王グループは、2019年4月にESG戦略「Kirei Lifestyle Plan(キレイライフスタイルプラン)」を策定し、19の重点取り組みテーマを設定しています。今回の協働は、そのなかの「ごみゼロ」に貢献するものです。また、コーセーは、2020年4月発表の中長期ビジョン「VISION2026」において、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みと 2030年までの目標をまとめた、「コーセー サステナビリティ プラン」を発表しています。
経営にESG 「Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス=企業統治)」の視点を導入することで、事業の発展と、消費者や社会へのよりよい製品やサービスの提供を実現していこうという花王とコーセーの取り組み。実用性の高いボールペンへのアップサイクルには、化粧品バルクの資源としての価値を見出し、アップサイクルして多領域の分野の技術に応用するモーンガータに加え、総合文具メーカーのサクラクレパスの技術協力という競合、他業種の垣根を越えた取り組みとなっています。
また、資材提供や技術協力だけでなく、完成したアップサイクル商品は一般販売のほか、イベントなど社内外での活用により一社で取り組む以上の一般認知も期待できます。継続して取り組んで、着実に前進させているESG活動の好例となっています。