社会課題をケーキで可視化した「わたしたちの空気を考えるCARBON CAKES」
︎ 技術を生かし、人々が環境・社会・経済活動のバランスについて考えるきっかけとなるキャンペーン「わたしたちの空気を考える CARBON CAKES」を展開しました。
今回のキャンペーンでは、有名パティスリーのPÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIとコラボレーション。CO2やPM2.5など大気の状態を表現したケーキ「カーボンケーキ」を発表。「カーボンケーキ」は、PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIでシェフパティシエールを務める岩柳麻子氏とともに開発した、CO2（ベイキングソーダ）やPM2.5（煤）を原材料に使用した「食べられないケーキ」です。
大気の状態によって使用するベイキングソーダと煤の量を変え、ケーキの形の崩れと色を表現されています。私たちを取り巻く大気の状態を段階的に可視化することで、人々に、CO2やPM2.5の削減と、環境、社会、経済のちょうど良いバランスに向けた対話を促す目的で制作されました。
「カーボンケーキ」の制作にあたっては、富士通のソーシャルデジタルツイン︎技術によって、先進国の都市を想定した交通や人の行動を高精度に再現。各条件下における環境・社会・経済の算出スコアをベースとしています。ケーキの色が濃く、形が歪んでいるほど、PM2.5やCO2の値が高くなり、環境スコアが低くなっています。
目に見えない気候変動や大気汚染などの社会課題を、人々の身近にある「幸福の象徴」ともいえるケーキで可視化することで、生活者に社会課題を「自分ごと化」するきっかけになればという思いが込められています。
3月19日当日は、東京都内の倉庫を活用した空間を舞台に、PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIでシェフパティシエールを務める岩柳麻子氏とともに、CO2やPM2.5に見立てた原材料を使用した「食べられないケーキ」のコレクションを展示しました。
そして、参加者に6段階の「カーボンケーキ」を「食べられるか？」という視点で見てもらうとともに、ケーキに活用したデータセットを提示。各レシピの背景にある環境・社会・経済の算出スコアと合わせて体感してもらう形となりました。
パネルディスカッションでは、環境アクティビストの清水イアン氏、経済思想家の斎藤幸平氏、起業家のハヤカワ五味氏、タレントの新内眞衣氏に加え、富士通からはコンバージングテクノロジー研究所の山田亜紀子が登壇。環境問題の可視化の先にある環境、社会、経済のちょうど良いバランスをどのように考えるか、自分たちにできる解決策を話し合い、最後に登壇者と出席者に「きれいな空気」を表現したケーキが振る舞われました。
今回のプロジェクトを通して、環境問題という見えにくい社会課題をケーキという身近なものを通して可視化することで、未来を選ぶ当事者は自分たちであることを参加者と共有できたと担当者は振り返ります。
また、富士通はこのようなコンテンツを通じて、少しでも生活者の人々が環境課題に対して向き合うきっかけとなることを目指しており、今後も引き続きユニークな取り組みを展開していく予定となっています。
さらに、今回協力されたシェフパティシエールの岩柳麻子氏は、「ケーキの制作はとても難しかったですが、最終的にはケーキの見た目をしつつも、少し怖い・気持ち悪いといった違和感を表現することが出来ました。このプロジェクトを通して、私自身も難しく捉えがちな環境問題を“自分ごと”として体感することができ、とても貴重な経験でした」とコメント。
富士通は、ソーシャルデジタルツイン︎技術の研究開発により、環境、社会、経済の相関関係を再構築する最適な解決策を提示可能です。企業や自治体、生活者などが経済性や利便性を損なわない形でCO2排出量の削減を実施するための支援に向け、世界各地でさまざまなソーシャルデジタルツイン︎技術の適用に取り組んでいます。今後も富士通は、目に見えない事象を、データを通して可視化することで、持続可能な未来の構築に貢献していくとしています。
食べられないケーキという一見奇抜な施策ですが、環境問題という見えにくい社会課題を可視化することで、難しく考えて敬遠しがちな問題を自分ごと化することに成功している好例となっています。実際に展示で体験せずとも、画像から伝わるインパクトも十分で、伝えたいメッセージを受け取ることができます。
今後もユニークな施策に取り組んでいくとしている富士通の取り組み、どんな施策が飛び出すのか期待が高まる取り組みがありました。