はい、前回、今度からはちゃーんと更新しますっ、と言いましたからね、せめて1回くらいは守らないとね......というわけで安倍ちゃん政権成長戦略とも関連しますが、はい、今回のテーマは薬のネット販売。いま、政府内で議論が進んでおります。
■現在ネット販売が許可されているのは副作用のリスクの低いものだけ
そもそもは薬のネット販売解禁を求めて、「ケンコーコム」などのネット業者が訴訟を起こしていたのだけど、今年の1月、事実上解禁を認める判決を最高裁が下したんですね。
現状は、薬って3分類に分かれていて、危険度(副作用のリスク)の1番低い第三類、ビタミン剤とか消化薬しかネットで販売は許可されていません。副作用のリスクがもっとも高い一類(注1)は、薬剤師が書面で説明する対面販売しか認められていません。風邪薬とかの二類も、薬剤師や登録販売者の説明が努力義務とされています。
で、最高裁判決を受けて厚労省内に検討会が設けられて議論が始まりました。6月にも結論を出す予定です。同時に、官邸の規制改革会議でも議題として取り上げられて、こちらは一足先に全面解禁を求める見解を出しているのです。
(注1)一類の薬 : みなさんがよく知っていそうなところでは、頭痛や生理痛の鎮痛剤、ロキソニンなんかがあります。あとはH2ブロッカーとか、毛髪薬とかも。
■ネット販売は危険...って本当に?
さて、ネット販売は何が問題なのでしょうか。確かに副作用は怖い。薬害はもう起きてほしくない。対面販売ならそれが防げる、というのなら、ネット販売は禁止されてしかるべきでしょう。でも、実際はどうかな。熱心なきちんとした薬剤師さんはいるでしょう。でも......全員がそうだ......とは、言えるかな、どうだろ。逆に、ネット販売だと、副作用が防げない、という論理立てもどうなんでしょうか。メールで相談にのってもらえないんでしょうか。
それに、このネット販売、今だって例外があるんですよね。たとえば、ふるーくから売っている伝統薬とか漢方薬。ネットの普及する前から通信販売で売っていました。こういう伝統薬については、特例としていま時限付き(注2)で通販が認められています。こういう薬って、何百年も続いていたりするから、いわば歴史が安全性を証明しているようなものだけど、それを一律に禁止するのも、どーうなんでしょうねえ......。
いま、自民党の議員ではネット販売に反対する議連がつくられています。でもここでもきちんとした論拠を示してほしいですよね。でないと、まーた、業界と結びついた鉄の三角形(※3)ですかい、と言いたくなりまっせ!
そもそも厚労省、ネット販売や通信販売については法律もつくってない。そう、裁量行政なんです。大げさに言えば、役所のさじ加減で政策があれこれ決められてしまうのよ。ここにも問題がありまする。規制はちゃんと明文化しましょう、ってやつですね。
みなさんはどう思いますか? ではまた~近いうちにでーす。
(注2)時限付き : 今年の5月まで! うわー、あとちょっとやんけ!(注3)鉄の三角形 : 政治家、業界、役所。票とカネを媒介にがっちり結びついた......という、自民党政治を批判するときによく使われた表現ですな。
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(文/エンゼルあつみ)