働きながら子育てをすることは、今は珍しいことではありませんが、「大事な子どもに淋しい思いをさせてしまうのではないか」など、ワーキングマザーの悩みは尽きないのではないでしょうか。
株式会社イー・ウーマン代表の佐々木かをりさんは、出産後に2社目を起業し、2人の子どもを育てながら、2つの会社の経営、そして講演や書籍出版、テレビのコメンテーターなどで幅広く活躍されています。書籍やセミナーの内容から、佐々木さんがどのように子育てと向き合ってきたのか紹介します。
■子どもも自分もハッピーに。「両立」という考え方を捨てた
佐々木さんが最初に妊娠したのは34歳のとき。日経WOMANの連載を書籍化した『妹たちへ』(日本経済新聞出版社刊)によると、当時の佐々木さんは、半年後に大きな仕事が控えており、嬉しいのと同時に戸惑ったと言います。しかし、佐々木さんはその仕事を断腸の思いで断りました。
「これから何年も子育てをする中で、ビジネスの山場はいっぱい来る。出産のタイミングにこだわることが、どれだけちっぽけなことか」
そう考えたことで、「またチャンスはいくらでもある」と思えたそうです。
出産後2週間で働き始めた佐々木さん。「子育てと仕事の両立は大変じゃないですか?」と聞かれ続けたことに疑問を感じたと言います。
「子どもを持った途端になぜ女性ばかりが、『両立は難しいでしょう?』と尋ねられるようになるのだろう。何度も問われることでマイナスイメージの洗脳を受け、母になった喜びより、両立は難しい、私がそんな大変なことをやってのけられるだろうか、と不安に陥る」
この不安を断ち切る解決策は、「発想の転換」にありました。
「仕事では通常複数のプロジェクトを同時進行する。育児、家事も、複数プロジェクトととらえ、私という1人の人間の、同じ時間軸の中での管理すべき案件と考え始めたのだ。そう考えると道が大きく開けてきた。毎日『両方を立てる』などという技に挑戦しなくていい」
仕事と育児について「時間管理」という考え方をするようになって、気持ちがぐっとラクになったのでした。
■夜は子どもと一緒に寝て、早く起きる習慣に
佐々木さんが開催している表参道カレッジでの時間管理のセミナーでは、具体的な子育て方法として、次のような話をされていました。
「子どもがまだ小さい頃は、夜、寝かしつけるのと一緒に自分も寝ていましたね。21時~22時に寝ると、自然と3時や4時頃に起きる。だから朝、仕事をするんです。新聞配達より先に起きて仕事をするのは気持ちいいですよ!」
これは、子育てにも仕事にもいい影響があったそうです。
「子どもが夜中から朝方にかけて、熱を出したり体調を壊すこともあるでしょう。そんなときに、自分が睡眠をとっていれば、しっかりとした頭で対処ができるんです。これはリスクヘッジですよね。ママが寝不足のままでは、きちんとした対処はできないと思います」
そして、仕事では、「朝は新しいアイデアも浮かびやすいし、効率的に進められます」と、こちらも朝型のメリットは大きいようです。
■子育ては子どもにも自分にもプラスの出来事
大事な子どもと離れて仕事をすることに関して、佐々木さんは『妹たちへ』でこのように書いています。
「子どもたちには私からたくさんたくさん愛されていることを感じる生活を送って欲しいと心がけている。毎日抱きしめる、キスをする、大好きよという、一緒に笑う。『母は毎日ステキになっていく』。そんな風に働く母を見てほしいと、ひそかに願う」
自分も子どももハッピーに。「子どもは自分の人生にも、仕事にもプラスの影響を与え続けている」と言う佐々木さんが立ち上げたイー・ウーマンでは、多くのワーキングマザーが活躍しています。
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※2013年8月4日(日)、佐々木かをりさんが実行委員会の委員長をつとめる「第18回国際女性ビジネス会議」が開催されます。詳細は公式サイトからどうぞ。
photo by Thinkstock/Getty Images
(取材・文/尾越まり恵)