今週末の7月21日(日)は、いよいよ注目の参議院選挙。ねじれ国会の行方、原発、消費税、憲法改正、TPPなど課題が山積みの選挙について、日頃から日本の政治を鋭く観察する三浦さんにうかがうと......。
「世論調査で圧勝なのは自民党ですが、内心は『反自民』だけれど、どこに投票すればいいか分からない人も多いと思います。今の自民党は憲法改正や原発再稼働など、かなり異論の多い政策を進めようとしています。たとえ自民党が過半数の議席をとってねじれ国会が解消しても、自民党政策がどんどん進むと、それにNOと言う動きが市民から出てくるように思いますね」
現在、右傾化の動きを見せている自民党。かつて「コンクリートから人へ」を掲げながらも、野田政権後は以前の自民党に近いポジションにいる民主党。現在は脱原発を謳いながらも、日和見主義も否めない維新の会、みんなの党。労働政策や脱原発に注力する社民党、みどりの風。その最も左寄りに共産党。ある意味で分かりやすいグラデーションで分散された政党から、どこを選ぶか。その1票が持つ意味は大きい。
また、三浦さんは野党の今後の動きにも注目すべきとも。
「今はバラバラな印象の野党ですが、今回の結果次第で大きくまとまろうという機運が高まれば、自民党が過半数をとっても今後の状況が変わる気がします。そういう意味では、野党の『負け方』にも注目です」
■働く女性の声を、もっと反映できる仕組みを
参院選のニュースが連日報道されるなか、三浦さんは「働く女性の声が取り上げられにくい」ことも気がかりだと言う。
「政治の世界では、『女性の声=子どもをもつ母親の声』として、ひとまとめにされがち。原発事故以降、その傾向は特に高まっているように感じます。子どもの有無に関わらず、政治に対する働く女性の意見があるはずなのに、それが行政や国政に届きづらいのが現状です」
40代までは仕事や家庭で忙しく、40代を迎えた頃に「社会全体の仕組みをもっと改善できるはず」と気づく女性は多い。でも、その個々の意見をつなぐ回路が整っていないのだ。
「そのためにも、働く女性の代弁者になれるような女性議員を増やすことは重要です。政治家は市民の代弁者ですから」
ジェンダー論では世界の事例研究も欠かせない。研究室には海外の文献もぎっしり。
■「ゆるいつながりで政治に切り込む」というアプローチも
とはいえ、女性による新たな政治へのムーブメントは確実に生まれつつある、と三浦さんは感じている。FacebookなどのSNSを通じた活動がその筆頭だ。
「声高に反対運動に参加するのは難しくても、SNSの『いいね!ボタン』を押したり、電子署名に参加するぐらいなら簡単。インターネットによって政治参加のハードルが下がっているのは、よい傾向だと思います」
インターネットならではの「ゆるくつながる」感覚で、ただし観察眼だけは鋭く持ち、政治の動向をチェックすること。国政が大きく動きつつある今だからこそ、できる部分から政治に関わり、考え続けることが何より大切なのだ。
(撮影/長谷川秀司、取材・文/編集部・田中)