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「外資系」でくくる危うさ:アメリカの会社に行ったら、イギリスの英語も文化も通じなかった(外資系OLのぐだぐだ)
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「外資系」でくくる危うさ:アメリカの会社に行ったら、イギリスの英語も文化も通じなかった(外資系OLのぐだぐだ)

2014-08-14 18:30
    「外資系」でくくる危うさ:アメリカの会社に行ったら、イギリスの英語も文化も通じなかった(外資系OLのぐだぐだ)

    今回は戸井アンナさんのブログ『外資系OLのぐだぐだ』からご寄稿いただきました。

    ■「外資系」でくくる危うさ:アメリカの会社に行ったら、イギリスの英語も文化も通じなかった(外資系OLのぐだぐだ)
    イギリスに4年住んでいました。
    渡英は高校1年のときでしたが、それまでに英語の教養を
    微塵も積んでいなかった私としましては
    「イギリス英語」と「アメリカ英語」の差なんて意識するどころではなく
    She likes him. という文章を
    She likes his.  と書くぐらいにはダメでした。

    その後イギリスに4年いたお陰様で

    たどたどしい英語を話せるようにはなったのですが

    いかんせん英語の知識はほぼ100%イギリスで得たため

    結局アメリカ英語/文化の差を感じることはありませんでした。

    しかし、その後「英語なら外資っしょ!」というクソ甘い考えで

    外資なら、と”どの国籍の外資系に行くか”を考慮しなかったため

    思いっきりアメリカの会社に就職。

    毎日が衝撃の連続でした。

    表面的なことでは、英語から。

    たとえば、イギリスでは 少数の「0.8」を

    nought point eight と読みます。

    カタカナにすると ノー・ポイント・エイト。

    ゼロ=ノー、なんです。これが全く通じない。

    zero point eight でないと通じず、直後に上司に呼ばれて

    「その変な英語を”グローバル”に合わせろ」と言われました。

    激務だろうが宴会芸だろうがのらりくらりと過ごした自分ですが

    これはかなり大きなショックでした。

    たかが小数点の読み方ですが、大きく文化的背景が絡んでいたからです。

    イギリス英語学習者(あえてイギリス人とは言いませんが)にとって、

    英語は単なる言語ではなく自国の誇りです。

    なぜなら、自国の英語が世界で一番洗練されていると思っているから。笑

    特にアメリカは自国から独立した国なので

    未だにアメリカ英語を「二流の方言」として扱います。

    (この思考がそもそも帝国主義的で、米英お互いにジョークにしています)

    アメリカ英語を話す人間からすれば、英語はコミュニケーションツール。

    多国籍の人間と常に話し合うためには、伝わることが一番大事です。

    できるだけ表現をシンプルに、結論から。

    実は日本でよく自己啓発本に見る書類の作成方法で

    「結論から書け」「シンプルに論点をまとめて」というのは

    極めてアメリカ的な小論文指導です。

    イギリスでは逆に、遠まわしで、マニアックな単語を使って

    1文をなるべく長く書いたほうが教養があると思われる。

    なので、イギリス人にとってアメリカ人のシンプルな文章は

    「こんちゃーす!俺、バカでーす!!!」という文章に見えてしまう。

    先ほどの 0.8 = nought point eightの話はそこにもつながっています。

    このnoughtという単語、小数点の表記くらいにしか使わない

    極めてマニアックな英単語です。

    この極めてマニアックな英単語をさらりと使って

    プレゼンするという美しさがイギリスでは重宝されます。

    アメリカでは逆です。

    「なんで通じる言語を使わないの」となります。

    だからこそ「通じるようにシンプルな言葉を」「結論から」というのは

    衝撃的で、受け入れるのが難しい文化でした。

    毎回、レポートをまずイギリスで教わったとおりに書いて

    そのあとアメリカ流に修正して提出する日々。

    その後、ヨーロッパ系の企業へ転職して、非常に楽なのは

    ”総論を読んで判断しよう”とか”英語は美しさも問われる”という部分で

    何も考えなくてよくなったことでした。

    長い文章で、きちんと全容を伝えること。

    シンプルに、結論を出してスピーディな判断を促すこと。

    どちらも欠点と長所があります。

    でも、私は美しい英語を話すのが、とても好きです。

    イギリス生まれですらないのに高慢ちきになってしまうところも含め

    留学先の選定というのは、思ったより長期的な影響を持つものですね。

    最後に、同じ内容でイギリスとアメリカでどう変わるか

    適当な例文を作ってみましたので、ご覧ください。

    日本語での論旨:
    我々がターゲットにしている女性たちは、家事労働の際にしかCMを見ないのでCMに集中していない。CMへの費用対効果が低く見込まれるため、新しいCMの放映を3ヶ月留保し、業績への影響を見てから最終判断を下すことを提案したい。

    イギリスの英語:
    The research result was not hundred per cent positive, showing that most female targets tended to watch TV only when they were on housework. This means, there is no time for them to pay high attention to the TV with low return on investment. The proposal is to pend new TV advertisement for 3 months and see the business impact before the final judgement to cancel on airing.

    アメリカ英語:
    This proposes to pend new TV advertisement on air. There is one reason from the last survey. The survey showed our female targets only watched TV when they were on housework, with no time to pay attention to the TV. As low return on investment suggested, final advertisement GO/NO GO to be decided after seeing biz impact via 3 months pending.

    執筆: この記事は戸井アンナさんのブログ『外資系OLのぐだぐだ』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2014年08月14日時点のものです。

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