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2008年のアニメ化以降、シリーズ続編やスピンオフなど、長年多くのファンに愛され続けている『黒執事』。原作の中でも人気の高い「豪華客船編」を映画化した『黒執事 Book of the Atlantic』が現在大ヒット上映中です。

主人公・セバスチャン・ミカエリスを演じるのは、もちろん声優の小野大輔さん。本作では「これまで頑張って抑えてきた感情を爆発させました」というだけあり、これまでにないセバスチャンの姿を観る事が出来ます。その他、8年間セバスチャンを演じての変化など、インタビューにて色々とお話を伺ってきました。

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―原作でも人気の高い「豪華客船編」が遂にアニメ化という事で、まさにファン待望だったと思います。

小野:「豪華客船編」は、『黒執事』ファンのみなさんが本当に待ち望んでいたエピソードだと思います。「豪華客船編」という名の通り、とてもスケールが大きいストーリー。『黒執事』が持つ、ホラーにアクション、コメディの部分などすべての要素が詰め込まれているんですよね。この1本を見れば『黒執事』の魅力がすべてわかるといっても過言ではないような、そんな“全部盛り”な所がすごくあって。それを劇場版として公開できることが、一演者としても、作品の一ファンとしても、とても嬉しく思っています。

―今回のセバスチャンはいつもの冷静沈着で感情が無い様に見える彼とは違いますね。

小野:本作の監督を務めた、阿部記之監督が音響監督もやっているのですが、今回のセバスチャンを演じるにあたり、「これまでは極力、感情表現をしないよう演じてもらったけど、今回は存分に熱量を乗せてください」と言ってくださいました。それは阿部監督の思いでもあり、(原作の)枢やな先生の思いでもあったんです。今回は葬儀屋という強大な敵が現れ、セバスチャンもピンチに陥り、息が上がり、感情があらわになります。8年演じてきた中でずっと抑えてきたものを、「逆に出してください」と言ってもらえたのは、僕にとってご褒美のような感覚でしたね。これまでは演者として乗せたくなる部分を乗せずにやってきたので、ようやく「感情を乗せてください」って言ってもらえたことが、本当に嬉しかったです。

―枢先生からのリクエストでもあったんですね。

小野:そうなんです。「今回は熱量を存分に出してください」というメッセージをいただいて。これまでのセバスチャンとしては類を見ないぐらい、アクションにアドリブをたくさん乗せています。死神のグレルやロナルドが出てきますが、もともと躍動的なキャラクターなので、彼らもアクションがさらにエネルギッシュになっていますしね。自分としても、「セバスチャンが本気で戦うとこういう息が出るんだ」って思ったほどでした(笑)。

―小野さんが特にお気に入りのシーンはありますか?

小野:今作で僕が見所だと思っているのが「原点回帰」している部分。シエルとセバスチャンが出会った頃のことが回想シーンとして出てくるんですが、そこがすごく好きですね。シエルに「今日からお前はセバスチャンだ」と名付けられたセバスチャンが「前任の執事の名前ですか?」と尋ねると、シエルは「いや、犬の名前だ」と答える。セバスチャンは心の中で「とんでもなく性悪なガキに仕えることになってしまった」と毒づきますが、その一連の流れが、あぁすごくセバスチャンとシエルだなと。この会話から始まったんだなって思うと、8年間積み重ねてきてよかったなって改めて思ったんですよね。

―ファンにとっても痺れるやりとりだと思います!

小野:人間の魂の気高い部分とその裏腹な部分、表裏一体で描くのが『黒執事』。それがこの回想シーンで垣間見ることができる。今でこそ完璧に見えるセバスチャンも、最初は貴族社会のことを何も知らなくて、シエルから教えてもらっていたということも今回わかります。そして逆に、悪魔の力で成せることをシエルに与えていった。シエルとセバスチャンは2人で一つ。表裏一体となるそのスタート地点を演じられたこと、そしてそれを見れたことも、嬉しかったんです。だから今回、演じていてずっと楽しかったんですよね。

―8年間同じキャラクターを演じるというのは、どのようなお気持ちですか?

小野:ラジオやイベントなどで10年続けているものはあるんですけど、一つのアニメ作品で8年も共に歩んでいる作品というのは、他にないんですよね。僕が一番長く関わっているアニメです。そして「座長」として真ん中にずっといさせていただいている。枢先生をはじめ、作品に関わる監督、スタッフのみなさん、『黒執事』が好きなんだなと思わせてくれることも、ずっと変わらない。新シリーズの制作が決定するたびに、そして再びセバスチャンを演じるたびに、『黒執事』に関わる喜びが増していく。それがすごく幸せなんです。

―その8年間の中で、ご自身が変化したことはありますか?

小野:技術的な面で言うと、セバスチャンのおかげで低音が安定して出せるようになりました。最初に演じたときは「とにかく低く、抑揚を抑えて、感情を出さずに演じてください」と再三言われていたので。今だから言えるんですけど、当時はそれがすごく苦しかったんですよね。このまま何も感情を表現できない役なのかなって思った時期もあって、実はすごく悩んだキャラクターなんですよ。でも悩んだことで、引き算をする勇気が持てた。それ以降にいただいた役柄も、この経験が反映されていたように思います。セバスチャンを演じたことによって、声の幅が広がり、演じられる役柄も増えました。昔だったらできなかったような、年齢を重ねた役や、すごくタフな役もいただけるようになった。一生物の役をいただけたんだなって改めて感じています。

―これからもずっと小野さんが演じられるセバスチャンの活躍を楽しみにしております。今日はありがとうございました!

『黒執事 Book of the Atlantic』公式サイト
http://www.kuroshitsuji-movie.com

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