とにかく超巨大な会場、そして溢れる人、人、人。
4月4日から9日にかけて、イタリア・ミラノで毎年開かれる世界最大の家具見本市・通称『ミラノサローネ』(正式名称:Salone del Mobile.Milano)が開催されました。世界中から訪れた参加者数は34万人を越え、2000以上の出展者が最先端のデザインを披露する一大イベントです。
このイベントは初参加となった筆者、訪れる前は「参加者30万人かー、コミケが50万人だから大騒ぎするほどではないな」という認識だったのですが現着して度肝を抜かれました。
「会場の端が霞んで見えない・・・」
このミラノサローネの開催地となった「ロー・フィエラミラノ」は、なんと東京ビッグサイトの4倍の規模に当たる約35万平方メートルという圧倒的な広さの特大会場。1日で全て見て回るのはまず不可能な程の広さです。あまりに広いので、会場内での移動方法は「動く歩道」に頼るほど。会場の端からメイン通路を眺めると、延々と人混みが続いており端の方が霞んで見える有様です。
そもそもこの超巨大な『ミラノサローネ』は、「サローネ国際家具見本市」「サローネ国際インテリア小物見本市」照明を中心とした「エウロルーチェ」ワークスペース関連の「Workplace3.0」そして若手デザイナーの展示「サローネサテリテ」などといった複数の展示会・見本市から構成される超大規模展示会なのです。
今回筆者はざっくりとミラノサローネ会場を回ってきたので、本稿にて全体的な雰囲気をお伝えしていきます。
ミラノサローネ日本語公式サイト
http://www.milanosalone.com/
ところで、開催地となったミラノと言えばイタリア最大の商業の町であり、国際的なデザインの発信地でもあります。
デザインの先進性は街全体から溢れ出ており、2014年に完成し「全面緑化高層マンション」として一時期有名になったボスコ・ヴェルティカーレ(Bosco Verticale)のようなモダン建築も至る所で目に入ります。
さらに『ミラノサローネ』期間中、ミラノの中心部では「ミラノデザインウィーク」も実施されており、街全体がデザイン祭りのような雰囲気に様変わりしていました。
各ブースの規模もバカでかい
さて、ミラノサローネ2017年のキーワードは「コンテンポラリー・エレガンス」。最先端技術を駆使した優美さ、ラグジュアリーさは会場の至る所で感じることができました。例えばこちらは日本でも有名なブランド、Kartellのブース。見るからにオシャレなブース入り口に圧倒されます。
ブースそのものは大きいのですが、それでもイスやテーブルなどの製品が所狭しと陳列してあり、かなり濃密な展示を体験することが出来ます。じっくりと見学するなら30分以上は掛かるのではないでしょうか。
Kartellといえばプラスチックなどのマテリアルを主体としたポップでカラフルな印象ですが、今回の展示も色鮮やかな展示が目につきます。そしてやはりと言ったところか、とにかく人の出入りが激しく注目度の高さを窺わせるKartellブースでした。
全くテイストの異なる各ブース
イタリア有名メゾン・Missoni Homeは落ち着いた照明でカラフルな家具を展示。隣り合わせる各ブランドそれぞれが、全くことなる展示方法を取っているのでそれらを見比べるのもミラノサローネの醍醐味のひとつ。
Missoniのブースは全体的にエキゾチックでミステリアスな印象。先程のKartellとは全く異なります。
家具の展示会ということで、目線より下ばかり見がちですが天井からぶら下がる照明器具も必見です。ブースそのものの雰囲気を決定的にする照明も、各ブース非常に凝っています。
カラーフィルターを通した光のあたり具合によって、全く異なる色になる椅子たち。これはオシャレです。
こちらは筆者の知人でパリにギャラリーを持つ日本人アーティストのitu氏。専属モデルでもなんでもない彼ですが、この空間に非常にマッチしていたためMissoniのカメラマンに撮影されていました。実はトップ画像の虹色ヘアも彼です。
ブースの壁面に無数のカラーボールを敷き詰め一際目立っていたイタリアのブランド・Adrenalinaのソファー。ランダムで混沌としたこの強烈な柄は、今回のミラノサローネでも特に筆者の脳に深く焼き付いたデザインの一つでした。
家具だけじゃない!
家具をメインとしつつも、各ブースの合間合間にはオブジェなどの小物を中心とした展示を行っている出展者も多数。
例えば、こんなお面の置物をズラッと展示するブースや、
カラフルな謎のオブジェ群など、会場で見てきたモダン家具とのマッチングも考えながら小物を見るのも楽しいひとときです。
食器のオブジェなど、もはや「ここは美術館か!?」というほどまでに整然とした雰囲気を演出しています。その凛とした雰囲気は正にお手本、「見本」です。
さらに極めつけはジムのマシンも大々的に展示されていました。「家具」として捉えられたマシンはどれも超カッコよく、筋トレも捗ること間違い無しでしょう。
ブース内撮影禁止でしたが、ベントレーの家具も発見。その他ランボルギーニ家具なども存在し、ラグジュアリーカーで生活を染め上げたい人にはこれ以上無い展示も繰り広げられていました。
とにかく「デザイン」に対する真剣な執念を、すべてのブースから感じることができたミラノサローネ。日本では全く見たことのないようなカタチや色使い、質感に意外性。さすがデザインの本場イタリア、見たことのない新しさに心ときめく瞬間が、ミラノサローネにはありました。