「女は過去の恋をひきずらない、なんてウソ。」思わずドキッとしてしまう一文です。確かに巷でよく言われている“女は上書き保存、男は別フォルダ”なんて、全ての人に当てはまるワケもなく、女性でもずーっと過去の恋愛を引きずってる人がいれば、男性でも昔のことなんてすぐ忘れちゃう! という人もいるでしょう。
11月11日に公開となる映画『南瓜とマヨネーズ』は、漫画家・魚喃キリコによる同名コミックを『乱暴と待機』『ローリング』の冨永昌敬監督によって映画化した、ビターなラブストーリー。
この漫画『南瓜とマヨネーズ』、筆者も大好きなのですが、甘く切ない恋のほろ苦さ、人には言えない葛藤、人間のズルさ弱さがものすごくリアル。何度読んでも「うわああああ」ともんどりうってしまうほどの心に突き刺さる描写のオンパレード。多くの女子が阿鼻叫喚した『東京タラレバ娘』とも、現在テレビドラマ放映中で毎週お茶の間をヤキモキさせている『あなたのことはそれほど』とも全然違う種類のコワさがたまらないのです。
【ストーリー】
ツチダ(臼田あさ美)は同棲中の恋人・せいいち(太賀)のミュージシャンになる夢を叶えるため、内緒でキャバクラで働き、生活を支えていた。一方、曲が書けずスランプに陥ったせいいちは毎日仕事もせずにダラダラと過ごす日々。しかしツチダがキャバクラの客・安原(光石研)と愛人関係になり、生活費を稼いでいることを知ったせいいちは心を入れ替え働き始める。ツチダが今でも忘れられない昔の恋人・ハギオ(オダギリジョ-)と偶然の再会を果たしたのはそんな矢先だった。過去の思い出にしがみつくようにハギオにのめり込んでいくツチダだったが…。
好きだけど将来が見えない(稼ぎもない)恋人・せいちゃんとの同棲。
ひどくズルくてひどくカッコいい男、ハギオ。魚喃先生の描くこの男は、ひどい奴なのになぜか嫌いになれないという、生まれ持っての魅力を持っているんですよ(漫画のキャラクターなのに大興奮)! 魚喃作品好きで共感しちゃう女子は「ハギオ的な男子」にやられたこと絶対あると思います。
今回、映像初解禁となった特報はドラムとギターなど音楽を匂わせるカットに続き、ツチダのモノローグと水着のようなものを踏みつけシャワーを浴びるシーンからスタート。居心地は良いが「先の見えない“現在の恋人”」=せいいちは夢のために生活を支えてもらっている身でありながら楽天的な表情を浮かべ、「忘れられない“過去の恋人”」=ハギオは偶然の再会に心踊るツチダの気持ちを知りながらも、はっきりとしない態度ではぐらかし、ツチダの心をかき乱します。
2つの恋の狭間で揺れるツチダは「自分が何をしているのかわからない」と葛藤し、目から大粒の涙をこぼしている。ラストカットで誰かに別れを告げたかのように立ち去っていくツチダの視線の先には、せいいちとハギオのどちらがいるのでしょうか?
魚喃先生も「みごとにのまれた、感謝!」と最大級の賛辞を送っている本作。筆者も今から楽しみです!
【動画】「女は過去の恋をひきずらない、なんてウソ。」映画『南瓜とマヨネーズ』特報
https://www.youtube.com/watch?v=QwtzSiK5UHs
(C)魚喃キリコ/祥伝社・2017『南瓜とマヨネーズ』製作委員会