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【リポート】アキバよりデカイ韓国の電気街が不況すぎてヤバイ
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【リポート】アキバよりデカイ韓国の電気街が不況すぎてヤバイ

2012-11-20 12:30
    ryuuzan11ソウル駅から南に2駅下ったところにある龍山は、日本統治中から1988年まで日本軍および米軍の基地があったところで、現在は大規模な再開発が予定されているソウルの新副都心。かつては青果市場として栄えた街でしたが、20年ほど前からは政府の方針で巨大な電気街へと変貌し、「韓国の秋葉原」とも呼ばれる龍山電子商街を構成するに至りました。そのような成立の過程も含めて秋葉原とよく似た、龍山電子商街の現在の様子をお伝えします。

    ●7つのビル群からなる巨大電気街
    龍山駅の北西側に広がる龍山電子商街は、『ターミナル電子商店街』『那鎮電子商店街』『電子ランド』『元暁電子商店街』『電子タウン』『ソニンプラザ』の6つのビルと、それらのビルを結ぶように走るアーケード群で構成されています。入居する商店の数は2000とも3000とも。以前よりだいぶ減ったとはいえ、怪しげな商品を売る露天商もそこかしこに店を構えるため、全体の数はとても把握しきれません。さらに、2006年には現代資本によってアジア最大のショッピングモール『アイパークモール』がオープン。電気街全盛期の秋葉原より広い電気専門店街を構成しています。

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    アイパークモールの全体像(模型)。駅に直結して建てられた、家電、ファション、カルチャーなどの専門店と映画館、レストラン街が入る複合商業施設。地下3階、地上9階もあり、この中の電気製品売り場だけでもヨドバシAkibaより広い。

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    龍山駅と跨線橋で接続された電子街のビル群。昔のラジオ会館のようなビル(のもっと大きいやつ)がいくつもあると思ってもらえばいいかも。パソコン、家電、音響、電子部品、照明、ゲームなど、エリアごとに小さな商店が寄り集まっている。青果市場跡地が電気街になり、2004年のKTX開通以来大きく発展したことなど、秋葉原とよく似た歴史を持っています。

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    ソウル市と韓国鉄道公社が主体となり、総額30兆ウォンにものぼる投資を見込んだ大規模再開発が進む龍山駅周辺。車両基地は撤去され、ようやく基礎工事が始まろうとしていました。高さ620mの超高層ビルだの、9.11直後のWTCを連想させるビルだのの完成予想図がいくつも発表されているけれど、着工は遅れに遅れている。っていうか先日発表された仁川の大規模開発計画といい、本当にできるの?

    ●不況と通販のダブルパンチで店内は閑古鳥が鳴いていた
    これだけ巨大な電子街、中はさぞかしにぎわっていることだろうと思って店内へ一歩足を踏み入れてみると……お客さんが全然いません。まばらどころか本当にガラガラで、訪れたのが平日の昼間だったとはいえ、なぜこれで営業を続けていられるのか不思議でなりません。店員もいまひとつやる気なさげで、客引きの声もほとんどかからずじまいでした。ただ、裏手の搬出入口には運送業者とバイク便の出入りがあったので、物流はそれなりにあるようです。

    韓国の家電販売・流通業はもともと大手財閥系メーカーの力が非常に強く(現在はサムスンとLGの2強、というかそれしかない!)、販売もメーカー主導で行われます。売り上げの4割以上をメーカーの大型直営店および代理店が占め、いわゆる家電量販店のシェアは2割ほど(日本は6割)、龍山電子商街の主役である小型店舗は2割にも届きません。そしてここ数年はテレビやネットの通信販売が急速にシェアを伸ばしていて、リアル店舗がマジでヤバイ状態なんだとか。人口・都市の集積度とネットの普及度が日本より進んでいるだけに、IT化による影響が、いい意味でも悪い意味でも、より強く現れています。

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    アイパークモール内のカメラ売り場。小型の三脚に据えた状態で展示するのが韓国流。商品に値札の付いていない店が多く、一部表示されている価格も日本と比べて特に安くもなく、円高の恩恵はあまり感じられません。店員との交渉によって値決めする買い物は、海外からの旅行者にとっては敷居が高い。試し撮りもできない。品ぞろえは日本の量販店よりやや種類が少ない印象。カメラはさすがにキヤノン・ニコンが2強だったが、スマホとパソコン関連、白物家電では韓国メーカーの製品が圧倒的に強く、次いで中国製。日本製はソニーがわずかに食い込んでいるのみでした。

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    シャッター通りやテナントが撤退した空きスペースがあちこちに。空きスペースの写真の床が歪んで見えるのは、カメラの傾きやレンズの歪みではなく、本当に床が歪んでいるせい。完全に来客を想定していない倉庫状態の店も目立つ。看板の明かりは点いていたので、一応営業中ではあるらしい。卸売りの性格が強い店舗もあるとは聞くけれど、それなら別にここに店を構える必要もないだろうに。山と積まれた商品の陰でPCの画面とにらめっこしている店員がいたので、通販の注文の処理でもしているのかと思ってこっそり画面を覗いてみたら、MMORPGと思しきゲームを遊んでいた。大丈夫なのか、韓国経済!?

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    ネット通販の拡大とともに増加の一途なのが小回りの効く宅配業者。ただし、断じて“盛況”ではない。特にバイク便はソウル市内のいたるところで見かける。バイク便というと日本ではオフィス間の書類のやり取りに利用されるイメージだが、韓国のバイク便はなんでも運ぶ。それどころか“おつかい”まで受け付けてくれる。しかも安い。生卵のパックをむき出しのまま人の背丈よりも高く積み上げて走っている、いかにもアジア的な光景も目にした。ライダーはフリーランスが多く、運転マナーの悪さは有名。過去には雇用条件改善を求めるデモも起きています。

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    店先で宅配業者が集荷作業中。秋葉原の裏通りにある、『価格.com』最安店の店先でもよく見かけるこのような光景は、今後日本でもますます増えていくのでしょう。ただ、安さと便利さを追求したネット通販業者が業績を拡大した一方で、韓国社会全体が豊かになったようにはとても見えず、むしろ3年前に訪れた時よりも明らかに活気が失われていると感じました。リアル店舗を運営するためのさまざまな経済活動と、実際に商品を見て触って確かめながら買い物をする時のワクワク感が失われた社会は、やはりどこか寂しい。

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