今回は壇 俊光さんのブログ『壇弁護士の事務室』からご寄稿いただきました。
■635億円を取り返せ!(弁護士 壇 俊光)
払いすぎた税金はもどってくるかもしれません。
ご相談は壇弁護士まで。
なーんて、どこぞの法律事務所のCM見たいなことを言ってみたりしたくなる判決がでた。
「最高裁「県臨時税違法」:県の臨特税「違法」 635億円支払いへ」 2013年03月22日 『Yahoo!ニュース』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130322-00000019-kana-l14
県が2001年に独自に定めた法定外普通税「臨時特例企業税(臨特税)」条例は地方税法に反するとして、いすゞ自動車(東京都品川区)が県に納税分19億円余りの返還などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は21日、「臨特税は地方税法に反しており、違法」として、適法とした二審判決を破棄、県に還付加算金を含めた26億9千万円の支払いを命じた。県の逆転敗訴が確定した。県は「同様の訴訟を起こされれば勝訴の見込みはない」(黒岩祐治知事)として、いすゞを含む納税者約1700社に、総額635億円を支払う。
この事件で問題になったのは、地方税法で定めた欠損金の繰越控除を認めない地方税の可否である。
早速、判決が公開されている。
『平成22年(行ヒ)第242号 神奈川県臨時特例企業税通知処分取消等請求事件 平成25年3月21日 第一小法廷判決』(PDFデータ)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130321141249.pdf
各事業年度間の所得の金額と欠損金額の平準化を図り法人の税負担をできるだけ均等化して公平な課税を行うという趣旨,目的から欠損金の繰越控除の必要的な適用を定める同法の規定との関係において,その趣旨,目的に反し,その効果を阻害する内容のものであって,法人事業税に関する同法の強行規定と矛盾抵触するものとしてこれに違反し,違法,無効であるというべきである。
繰越し欠損とは、単純に言えば、それまでの年に生じた損金を、翌年以降にくりこして、所得から控除できるかである。
最高裁は、均等化して公平な課税をする趣旨に反して無効としたわけである。
最高裁の理由を前提にする限り、繰越欠損を否定する税は、ほぼ無効になるであろう。
しかも、税金が返ってくるだけではなく、利息もついてくるのである。利回りで言うと、驚異的な運用になりそうである。
この最高裁の影響範囲は、非常に大きい。
635億円どころではないのである。
執筆: この記事は壇 俊光さんのブログ『壇弁護士の事務室』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年04月02日時点のものです。
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