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ネットに時間を使いすぎ
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ネットに時間を使いすぎ

2012-12-01 16:01
    ネットに時間を使いすぎ

    この記事はhidamalarさんのブログ『おとなのじかん』からご寄稿いただきました。

    ■ネットに時間を使いすぎ
    ネットは時間を消費する。ブラウザ立ちあげてネットをざっと見ているだけのつもりだったのに、いつの間にか1時間経ってしまっていたなどという経験をしたことがないだろうか。ネットは時間をくいやすい。

    ネットが出てきてからライターの原稿料が下がった話がある。その原因の一つはネットが無償の書き手ばかりで構成されているからだろう。無償の書き手で溢れている時代に、それなりの金を払ってライターに書いてもらうことには躊躇してしまう。それができなくとも、せめて原稿料は落としたいと思ってしまう。ここで問題となるのはネットビジネスでは収益があがっていることだ。ネットではどんな情報でも大抵のものは無料で読めるが、そこには広告ビジネスなどが絡んでいて金が動いている。ネット広告の市場は年々伸びてる。ネット全体の市場も伸びている。ネットでもそれなりの会社ならば、それなりの規模のビジネスが展開される時代だ。なにが言いたいのかというと、ライターの原稿料が下がっているのは企業収益が最大の要因ではなく、心理的要因が先行した費用の削減ではないかということだ(もちろん、ただ資金がない会社もある)。

    話が少しそれるが、まとめサイトでは2ちゃんねるの一つのスレッドがまとめられ一つの記事とされるが、2ちゃんねるとはそもそも一人一人のレスの集まりでしかないのだ。書き込む側に金銭的なメリットはなく、ただ書きたいから書き込んでいるだけである。だが、そんな無償の書き手たちのレスをまとめることで金になるのがまとめサイトというもので、ここには編集者は存在してもライターが存在しない。

    ネットにはこのようなものも溢れており、このような遠因が積み重なりライターに対して金を払うことに躊躇っている現状が出来上がっていると私は考えている。金を払わずに文章を読むことに慣れてしまった人間は、金を払って文章を書いてもらうことに違和感を持ちやすい。プロの書き手の価値が揺らいでいるのではないか。

    ここまで主に支払う側の話をしてきたが、次に読み手の問題点をあげる。まず、読み手の最大の問題は文章に対して金を払う意識が希薄になったことだ。ネット上の文章は基本的にタダで、辞書がなくてもネットで検索すれば時には辞書以上の理解をもたらしてくれるのこともあるのが今のネットだ。わからないことがあればググって調べれば初歩的なことはそれでわかってしまう。ネットが普及する前は、本で調べたり人に聞いたりしなければいけなかったことも、ネットはその必要性を消した。まず、ここで資料的価値としての本の価値が相対的に下がる。そして、ネットの文章がタダで読めることが原因で、文章を読むのに金を払うことに対しての消費者の心理的ハードルが上がる

    基本的な問題はこの2点だが、私はもうひとつ問題があると思っている。結論から書くと、消費者の読書量の限界だ。わかりやすく書こう。私の話で恐縮だが、以前私が見ていたブログやサイトは100前後あった。RSS(サイトが更新したら知らされる機能のこと)という便利なツールのおかげで時間の節約はそれなりに出来たが、一週間サイトの巡回を溜めたら、全部見終えるのに一日かかった。一週間で更新される記事の数は1000を超えていた。実際に読むのは100程度だったが、それでも十分すぎるほどに時間がかかる。

    問題は余暇時間は限られること。自分で言うのもなんだが、私は多趣味家である。ネット巡回以外にも好きなことは数多くある。写真を撮ったり落語を聞いたりアニメを見たりラジオを聞いたりスポーツを見たり本を読んだりすることが趣味。だが、それらすべてをやるには時間が足りなさすぎる。ゆえに優先順位を付けたり、なにかを削ったりしているわけだが、これは皆同じだろう。

    一日の時間は限られる。ここに基本的に無料であるネット巡回が含まれていることでなにが起こるか。ネット巡回が趣味に入れば、本を読む時間や他の趣味に使っていた時間が削られ、他の金を使う時間が削られ、休日に引きこもってネットをする人間が増えれば、それだけ消費活動は抑えられ不景気に寄与することになる。もちろん、ネットで金を使う人もいるので必ずしも経済にマイナスというわけではない。だが、ネット上での金を使うことに対して心理的抵抗を持つ人の数ある人の多さと、ネット決済のクレカ以外でのシステムが未だ充実していないことを考えると、マイナスが大きいのが現状だろう。

    ネットはほとんど金を使う必要がない。これは消費者にとってはプラスだが、経済,企業にとってはマイナスだ。それが間接的にライターの収入を減らす。文章だけに話を絞れば、消費者の利益とトレードオフで文章の価値と本の需要が落ちた。消費者のためにライターが身を削った形だ。デフレか不景気の影響か全体の人件費が下がっていることを考えるとなにも物書きだけに限られた話ではない。だからといって許容していい話ではないのだろうが。

    この現状が進めばプロの物書きが減るだろう。それにより、引き起こされることはなにか?プロはなにも文章がうまいからプロであるわけではない。自分の書いた文章に対する責任、それをプロは背負っている。ブロガーなら間違えた情報を書いてもそこに責任はない。持つ人もいるかもしれないが、そこに責任を負う必要はない。ネットだから最悪逃げることもできる。だが、プロはそうはいかない。間違えたら次の仕事がなくなってしまう。その責任は自分に返ってくる。だから情報を調べてそれを精査する。プロではない書き手が増え情報の精度が落ちていくことでなにが起こるか、それをこれから先に知るようになるかもしれない。私としてはそうなって欲しくない思いではあるが、それは時間が経たてば勝手に答えてくれるものだろう。だが、その答えを知るまでの時間をネットであまり浪費するようなことをしたくないものだ。

    執筆: この記事はhidamalarさんのブログ『おとなのじかん』からご寄稿いただきました

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