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集中講義録・エネルギー資源を理解する(6) 「物がある」と「資源がある」の違い(中部大学教授 武田邦彦)
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集中講義録・エネルギー資源を理解する(6) 「物がある」と「資源がある」の違い(中部大学教授 武田邦彦)

2013-04-28 14:05
    集中講義録・エネルギー資源を理解する(6) 「物がある」と「資源がある」の違い(中部大学教授 武田邦彦)

    今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    ■集中講義録・エネルギー資源を理解する(6) 「物がある」と「資源がある」の違い(中部大学教授 武田邦彦)
    リサイクルは資源を浪費しますが、多くの人が「リサイクルは資源の節約になる」と考えたのは、「物」と「資源」の区別をしなかったためと思います。

    目の前に使った空の「ペットボトル」や「牛乳パック」があるとします。普通の人はそれが「まだ使える物」とか「資源」では無いかと思うのはある意味で仕方が無いと思います。

    「資源とは何か」というのを私たち資源学者が教えるのは、大学の工学部の資源関係の学生に対してで、一般的には「資源とは何か」など普段の生活では関係がないからです。

    それを逆手にとって環境省と御用学者が「ゴミも資源になる」等と言い、可哀想にダマされた小学生が「ゴミも分別すれば資源」などという標語を作らされたのは実に無残なことです。小学生を騙すのですから、かなり悪辣な大人です。

    ・・・・・・・・・

    資源とは「その資源を回収するのに、回収される資源以下の価値の資源を投入して回収できるものを言う」ということです。目の前のペットボトルは確かに「物」ですが、それが「資源」というためには、「ペットボトルからペットボトルができた」というのでは資源では無く、「石油から新たに作るペットボトルと、市中から回収したペットボトルのどちらが石油などの資源を使わないか」によって決まります。

    市中から回収したペットボトルは、新しく石油から作るペットボトルに対して最低でも3.5倍の石油を使いますから、「物」であっても「資源」ではありません。

    リサイクルを始めた頃、「リサイクルしてはいけない」という本に私は「東京湾に浮かぶ油が石油だといっても、それを回収しても石油は採れない」と言っていました。海に薄く浮いている油を回収するためにその100倍以上の船の燃料を使うからです。

    もし、環境省や御用学者が本当に環境のことを考え、誠実だったら、リサイクルを始める時に国民に懇切丁寧に「資源とは何か、これから私たちはどのような知識が必要か」を説明して、それに合致するもの(鉄くず、アルミ、貴金属、使用済みの紙の約20%など)をリサイクルするべきでした。

    そしてそれらはすでに「零細企業」によってリサイクルされていたのに、それを「御用業者」に統一して利権をむさぼったのがリサイクルだったのです。この醜悪なリサイクル制度に荷担した新聞、環境団体は一度、ハッキリと反省して、それを発言し、美しく誠実な日本を取り戻してもらいたいと思います。

    今から15年ほど前、日本人は「リサイクルしないと!」とカッカときていたので、私が資源のことを説明すると、激しくバッシングされたものですが、今では冷静に考えてもらえると思います。私たちは環境関係の一部の人のために「環境」を大切にしようとしているのではないのです。

    執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年04月22日時点のものです。

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