さる4月10日、東京六本木のアカデミーヒルズにて高橋洋一氏、岸博幸氏による経済政策「アベノミクスチャンネル」緊急対談が開催されました。
安倍政権発足後はや4ヶ月余。アベノミクスの今後の展望について、元政権のブレーンを歴任した高橋洋一氏、岸博幸氏が分析・議論します。
【協力:アカデミーヒルズ】【主催:東京プレスクラブ】
●テキスト版
対談の中から一部書き起こしいたします。
司会> それでは、アベノミクスチャンネルを始めたいと思います。今日も六本木49階からお送りします。岸博幸> 六本木に49階は無いよ。六本木ヒルズ49階アカデミーヒルズでしょ。では、最初に一番聞きたいことから聞きますね。さっき耳にしたのですが、洋一さんが、小学校の時にボーリング大会で全国優勝したって本当ですか?
高橋洋一> 小学生じゃなくて、中学生以下の大会ね。
岸博幸> すごいですね。
高橋洋一> ボーリングって、マイナーだから参加者少ないからね。
岸博幸> それから今日、大学で授業やったらしいですね。科目って何を教えてるんですか。何人ぐらい学生がいるんですか。
高橋洋一> 科目は、政策事例研究。経済学のマクロ、ミクロを教えている。もう一つは、国際金融論。それは為替の話。1つで120人位いるから、2コマで240人位かな。学生には、楽勝と色んな所で書かれている。「授業出てれば単位取れる」とか言われている。岸博幸> もう一つ。洋一さんの今日の格好は珍しいですよ。洋一さんのジーンズ姿は、なかなか見られないですよ。
高橋洋一> 今日、ニコ生って言うから、上半身しか映らないかと思ってたんだよ。
岸博幸> 開高健に似てるって言われてますけど。で、今日はアベノミクスの何について話をすればいいんですか。
司会> 株価が上がったとか、円安になったとか、いい話ばかり言われていますが、5年10年後とか、例えば3年位経つとどうなるのかという大胆な予測なんかをしていただければ。
高橋洋一> 5年10年なんて誰も分からない。
岸博幸> 年末は、どうなりますかね?
高橋洋一> 株は普通に行けば上がる、円ももう少し安くなるのではないか105とか110円位いっても不思議ではない。ただ、それはやってみないと分からない。ここ3ヶ月間位は、良いだろうというのは確実。そうなると年内位は、良くなるだろう。
岸博幸> 洋一さんは、黒田さん(※黒田東彦 日銀総裁)のやったことは評価しているの?
高橋洋一> 全部私の言ってた事。数字も一緒。2と2と2と言ってるんだけど、インフレ2%、2年間で資産2倍と言っていた。同じ事をやったのに評価しないわけにはいかないじゃん。
岸博幸> ETF(※上場投資信託)とかは?
高橋洋一> あれは、やってもやらなくてもどっちでも良い。色をつけるような感じだから、売る時に大変になる。本当言うと何をやっても一緒。あとはフレバーのようなもの。時々色をつけるという事だから、黒田さんの趣味は、そこにあったという事。2年間でマネタリーベースで2倍にするという事があれば、中身はどうでも良い。
岸博幸> この前の朝まで生テレビで洋一さんと池田さん(※池田信夫 株式会社アゴラ研究所代表取締役社長)が議論してましたよね。池田さんが間違っていることを簡潔に言ってもらえます?
高橋洋一> まったく違っている。景気悪くなるっていうのがまず間違っているが、ロジックが違う。彼らは日銀が世界で一番お金を出してると言っていたが、お金が世界で一番出ていれば、量が相対的に多くなり希少性が無くなるから、円安になる。彼らは、目の錯覚のようなグラフを使っている。
岸博幸> 彼らが、それにこだわる理由は?
高橋洋一> どっかから金もらってるんじゃないの。あんな嘘をずっと続けているというのは不思議。田原さんが池田と話をして欲しいと言って、場を持ったが、池田が違うって田原さんが分かっちゃった。その時にアンケート取ったら、池田ファンばかりだったのに、私が75%で勝ち、向こうは25%だった。議論にならなかった。5分か10分話して終わってしまった。その時、橋下さん(※橋下徹 大阪市長)がtwitterで「論外、誰が聞いても高橋さんが正しい」と言った。そういえば小幡さん(※小幡績 慶応大学大学院准教授)大学が一緒でしょ。
岸博幸> 小幡さんは校舎が違う。金子勝(※金子勝 慶応大学教授)も慶応。金子勝と竹中平蔵(※竹中平蔵 慶應義塾大学教授)がいるんだから、有象無象で大丈夫。朝生の時、吉崎さん(※吉崎達彦・双日総研チーフエコノミスト取締役副所長)が、洋一さんと飯田さん(※飯田泰之 明治大学准教授)に対して金融論者みたいに言ってたけど、彼らの主張はどうなの?
高橋洋一> マクロ経済学で金融は決まるから当たり前じゃない?どこの国もマクロ経済は、マネタリーポリシーで、大体金融だけで説明してる。それで説明できる。あの人たちの、特に吉崎さんはそうで、固定相場の時代の話をしている。固定相場の時代は為替関係ない。固定相場の後にちょっとフローターになった時代も、為替は、貿易収支、経常収支が黒字になったらどうのこうのという話になった。でも変動相場制で自由になっちゃったら、そういう原理で決まってくることは常識。こっちが聞いてると岸さんもちょっと下の世代だけど昔、経済学で、20数年から30年ほど前に聞いた話。まさに固定相場。この手の話は、経営者に話すと「そうだそうだ」となるんだけど、それはジジイが固定相場制の時代の人だから。ジジイに受ける。だからジジイに人気がある。
岸博幸> 洋一さんも、池田さんも、小幡さんも構造改革の必要性は一致してますよね。
高橋洋一> 金融政策のマクロ政策ではぜんぜん違うんだけど、ミクロ的な話をすれば構造改革は当たり前のこと。民営化とか、規制改革とか、自由貿易なんて否定のしようがない。
岸博幸> でも否定する人いるじゃないですか。
高橋洋一> この手の話、頭で分かっても、ビジネス上、困るという人がいるが、そういう人は、どんなに言っても説得できない。
岸博幸> 次の質問は金融緩和と規制緩和、経済成長・・・
高橋洋一> 岸さん関係しているんでしょ?
岸博幸> 関係者じゃないですよ。関係しようと思っていたらメディアでペラペラ話す人はダメらしい。
高橋洋一> 関係者じゃなければ話せるじゃん。
岸博幸> 金融がデカ過ぎるという話もあるが、2本の矢が打たれた。産業競争力会議で今、一生懸命検討していて、6月に良いものが出ることを期待しているのですが、成長戦略がもしイマイチだったら、金融市場はどういう反応をするのか。また、日本経済は良い状況が、どこまで続くのでしょう。
高橋洋一> 成長戦略が何を期待しているかに依存する。私が思う成長戦略と、霞ヶ関が思う成長戦略がちょっと違う。というより正反対。産政局長のような「俺が日本を動かす」みたいに思っている奴いるでしょ。
岸博幸> イニシャル「I」ですね。
高橋洋一> 石黒(※石黒憲彦 経済産業省産業政策局長)っていうんだけど。ああいう人たちってターゲッティングポリシーっていうでしょ。ああいう英語にないデタラメ言っているのがいるからおかしなことになる。私なんかはデレグレーションとかプライマリゼーションとか・・・
岸博幸> ストラクチャーリフォームとかね。
高橋洋一> それとか自由貿易、フリートレードなど、世界のどこでも通用する概念がある。そういうのと、どちらが出るかというのがある。前者のターゲッティングポリシーだったら、無くなったほうが喜ぶ。一方で、デレグレーションなどだったら、これが無くなったら愕然とする。「何でまともなことやらない」と失望する。どっちが出るかが問題だが、6月はどちらが出るの?
岸博幸> 半々になるのかな。経産省は、ターゲティングポリシーをやりたがっている。先日、アメリカのヘッジファンドの人と話をしたんだけど、「途上国なら分かるけど、恥ずかしいよ」と言われた。
高橋洋一> 英語でどうやって書くのか分からないのは、やめて欲しい。そもそも成長4分野って誰が決めたの?政府が決めたっていうのは、それは嘘だと思う。
岸博幸> まさか本当にやるの。
高橋洋一> 経産省は、ターゲッティングポリシーみたいなことが、「我が社の」という人が多い。ああいうことを言っている人が偉くなっているような気がするんだけど、経産省では、ああいうことを言わないと偉くならないの?
岸博幸> 主要ポストにいますよね。そういう事を言うのがメイン路線みたいになっている。今も4分野やターゲッティングポリシーを主張している局長のおっさんがいるが、彼は、だいぶ前から「将来の次官だ」と言われてた。
高橋洋一> 私が公取にいた時に、経産省のカウンターパートが出てきて、ターゲッティングをすごく言っていた。産業組織室のFさん、Nさん、エネ庁に行ったKさんなんかがいたよ。経産省だから、コテコテの人が来ててさ。年中冷やかしていた。「その政策すごいですね」と言って聞いていると、ドンドン国会議員に喋る。「何人雇用が増えます」、「この位」ってね。その時に「一人頭の年収が2,500万円になる」って言っちゃうの。「絶対こっちの方がいい、なんで役人辞めてこっちにいかないの?」って言った。経産省辞めて、そこに身を投じないと信じないと言うんだけど、誰も行かない。一人でも経産省辞めて行かないとリアリティがない。
岸博幸> 財務省は、いましたよね。
高橋洋一> 一人いたよね。それで、「そんなに言うならビジネスした方がいいんじゃないの?」と言う。すごい数字を言うから計算したくなる。「平均で2,500万円だから、最初に行けば億になる。最初に行ったら、経産省が独占できるんじゃないの?」と言った。
以下略
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