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ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた
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ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

2013-11-20 14:00
    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    今回は井上大紀さんのブログ『Gloomy blog』からご寄稿いただきました。

    ※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/458103をごらんください。

    ■ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた
    今年の8月から株式会社Nagisaというスタートアップで働いてるのですが、Web業界の中でスタートアップというと「ユーザー第一でマネタイズは二の次」とか「目先の利益より世界を変える視野を持て」みたいなイメージがあると思うですよね。僕もアプリの企画を考える時はもちろんユーザー目線で考えるし、出来る事なら世界を変えるようなサービスを作ってみたいと思っています。しかしそうは言ってもやっぱりお金も欲しいじゃないですか。

    こちとら埼玉にファミリーマンション買っちゃってるし、先月2人目の子供も生まれたばかりなんでそれはもうお金が必要なわけですよ。もし残っているならみんなの地域振興券を分けて欲しいくらいです。まあそんな訳でここ最近「何か儲かりそうな話はないかなあ」って色々考えてたんのですが、ようやく1つの答えにたどり着きました。どうやら死ぬほど儲かってるらしいと噂にきく「アイドル育成ゲーム」です。いわゆる美少女ゲームってやつですね。

    以前このブログでも記事にしましたけど僕は美少女系のゲームってほとんど遊んだ経験がないので不安な部分もありました。でも、結局あの手のゲームは基本的なヒットの法則だけしっかり抑えておけば、確実に流行るものだと思うんですよ。うまくいけばすぐに爆発的な収益を上げて、会う人会う人に「任天堂の倒し方知ってる?ねえ、知ってる?」って聞くようになるんじゃないかなと思っています。

    とはいえノウハウゼロの僕が新しいアイドル育成ゲームを作るわけですから、予め徹底して競合ゲームの調査を行いました。その結果、ヒットしているアイドル育成ゲームには下記5つの法則があることに気付いたのです。

    ・ 魅力的で応援したくなる主人公

    ・ リアルなストーリー設定

    ・ 主人公をさらに魅力的にする進化

    ・ 心地よい課金ポイント

    ・ ダウンロードされる仕組み

    こうして単純に5つ並べてみると一見簡単そうですが、この5つの法則全てを満たしたゲームを作るのはなかなか大変な作業です。しかしこれから一つのゲームで一攫千金を得ようとしているのですから、それなりの努力は必要というわけですね。

    さて、そこで今回は僕が先日リリースしたアイドル育成ゲームについて、上記5つの法則に沿って紹介していきたいと思います。アプリやWebサービスの企画、マネタイズで四苦八苦している人は是非とも参考にしてみて下さい。

    ●その1:魅力的で応援したくなる主人公
    やはりアイドル育成ゲームで最も重要なのがプレイヤーが愛情注いで育てる、主人公のキャラクターです。アイドルゲームの主人公といえばとにかく可愛いキャラを作りがちで、確かにビジュアルを重視した美少女キャラはそれなりに魅力的かもしれません。しかし心の底から応援したくなるかといえば、それは少し違います。

    人は容姿が完璧な存在よりも、親近感がありどこか一部に欠点があるような存在を本当に応援したくなるもの。今や国民的アイドルとなっているAKB48も「クラスで3,4番目くらいにかわいい子を集めた」などと言われていますが、どれだけ口では「美少女が好き!」と言っていても、結局長く愛されるのはそのような部分的に欠点があるような女の子のキャラクターなのです。

    そういった人間の潜在的な心理を踏まえた上で今回生み出したキャラクターがこちらです。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/211.jpg

    「一部どころか、むしろ欠点しかなくない?」

    そう思った人もいるかもしれませんがそれは違います。彼女はこう見えてすごく努力家ですし、あとアメリカ人のような激しいキスをするタイプです。

    ここまで完成されたキャラクターに仕上げるまでにも、やはりそれなりの苦労がありました。社内のイラストレーターは非常にスキルが高く、2次元の女の子に興味のない僕が紙一重で性的興奮を覚えてしまうほど可愛い美少女を描ける人間なのですが、今回は「決して美少女ではなく、インパクトがあり、多くの人に愛される女の子をお願いします。」と伝えました。普段描いている美少女とは違うので彼に取っては当然描きにくいわけですが、すぐにラフ画が上がってきました。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/38.jpg

    ただのメジャーリーガーじゃねぇか!

    僕が作りたいのはアイドル育成ゲームであって、パワフルプロ野球ではありません。急いで修正をお願いし、何度もフィードバックを繰り返しました。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/43.jpg

    こんな感じでホントに紆余曲折あり冒頭のキャラクターに辿りついたわけです。人々に愛されるキャラクターを作るのも楽じゃありませんね。

    ●その2:リアルなストーリー設定
    今のスマホユーザーは非常にゲームに対して目が肥えています。特にゲームのコンセプトや設定についてはとても慎重に考える必要があり、他のゲームが流行ったからといって安易に「モンスターなんちゃら」とか「ドラゴンなんちゃら」というゲームを作るのが本当に正解なのでしょうか。まして今回作るのはアイドル育成ゲームです。現実世界では非常に過酷でえげつないイメージのある芸能界を、なるべくリアルに表現することがゲームのヒットに繋がるのでは。僕はそう考えました。そこで作り上げたゲームの設定がこちらです。

    主人公がいる握手会場の画面です。まだデビューして間もないため当然ですがファンは一人もいません。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/51.jpg

    そこでゲームのプレイヤーが秋葉原へ行き、大量のオタクを握手会場へ誘導します。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/61.jpg

    そして握手会場へ訪れたオタクと少女を握手をさせることで、オタクからお金を貰います。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/7.jpg

    このように「握手によってオタクから搾取したお金を使って、少女はどんどん過酷な芸能界をのし上がっていく」というどこかで聞いたような、まさにリアルなゲームコンセプトが確立されました。

    ●その3:主人公をさらに魅力的にする進化
    アイドル育成ゲームの醍醐味といえばやはりキャラクターの進化ですよね。他のソーシャルゲームなどでも女の子のキャラが進化するとどんどん可愛くなったり、露出が増えたりしてより魅力的になっていく傾向があります。今回のゲームでももちろん、魅力的な進化機能を搭載しました。

    先ほど説明したゲームコンセプトの中で「オタクからお金を搾取する」というものがありましたが、主人公の少女はその搾取したお金を使って、顔をパーツごとに進化させていきます。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/8.jpg

    最初は髪型、衣装から始まり目、鼻、輪郭などなど。一度甘美な変身を経験してしまった少女は更なる進化を止める事ができません。絶対的な美少女、そして国民的アイドルになることを目指して、少女はプレイヤーと一緒にひたすら芸能界を突き進んでいくのです。

    ●その4:心地よい課金ポイント
    さて、ゲームの基本内容の説明は終わりましたのでここからは少しテクニカルなポイントの紹介です。いくら多くのユーザーに遊んでもらえるゲームを作ったところでお金にならなければ意味はありません。あくまで今回アイドル育成ゲームを作ったのは一攫千金を狙うため、そういう意味では最も重要なのがこの課金ポイントです。

    前述の通り、少女の進化は秋葉原にいるオタクがその財源となっているわけですが、画面上の全てのオタクと握手をすると新しいオタクが秋葉原に補充まで少し時間がかかります。その待機時間をなくしてもっと早く少女を美少女に進化させたいという人のために、課金ポイントを用意しました。それが「イベント課金」です。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/9.jpg

    もはや説明は不要でしょう。課金して上記のイベントを開催すると、握手会場へ多くのオタクが大量に押し寄せます。効率良く一気にお金を搾取をすることができるのです。しかし機能実装後に課金テストを行ったところ、一つ問題が発生しました。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/10.jpg

    すごく気持ち悪い。

    数多くの携帯ゲームの中で、「課金すると不快になる」というゲームが過去にあったでしょうか。急いでエンジニアに依頼をかけて、このようにスッキリさせました。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/118.jpg

    この「スーパーオタク」一人と握手をすれば一気に50人分のお金を搾取できる仕様となっています。よくテレビなどでアイドルCDを数百枚買って大金使ってる男性を目にしますが、まさにそういう人のイメージです。

    早くゲームを進めたい人はこのイベント課金でじゃぶじゃぶお金を使ってくれることでしょう。

    ●その5:ダウンロードされる仕組み
    最後に紹介するのはアプリ自体をダウンロードしてもらうためのポイントです。いくらゲームとしてのクオリティが高く、心地よいマネタイズポイントがあったとしても、そもそもアプリがダウンロードされなければ全て無駄になってしまいます。そこで工夫したいのが各アプリのマーケット上に表示される「アプリアイコン」です。ここで他アプリと差別化をしてしっかり目立つことがダウンロード数上昇への重要な鍵となります。

    まずは参考までに他のアイドル、美少女系アプリのアイコンのサンプルをご覧頂きましょう。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/121.jpg

    うん、どれも可愛らしくて素晴らしいアイコンだと思います。

    そこへ今回作成したアプリのアイコンを追加してみます。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/131.jpg

    いかがですか?他のアイコンより抜きん出て「ダウンロードしてくれ」という強い念のようなものが感じられると思います。

    ヒットの法則に基づいてアイドル育成ゲームを作ってみた

    (画像が見られない方は下記URLからご覧ください)

    http://getnews.jp/img/archives/2013/11/141.jpg

    ちなみにアイコンの枠は「赤サビまみれの鉄パイプ」をイメージしているのですが、これは他のアイドル系アプリのアイコンに「赤サビまみれの鉄パイプ」が無かったので、「これだっ!」と思い差別化ポイントとして採用しました。まさに逆張りの発想です。

    さて、こうしてヒットの法則に基づいて作られたアプリ、「49人目の少女」が完成しました。もちろんこのゲームが本当にヒットして死ぬほど儲かるアプリになるのかはどうかはまだ分かりません。もし良ければ一度遊んで頂き、是非とも皆さんの目で確かめて頂けると嬉しいです。

    ダウンロードはこちらから。

    「49人目の少女 -狂気のアイドル育成ゲーム-」 『iTunesプレビュー』

    https://itunes.apple.com/jp/app/49ren-muno-shao-nu-kuang-qinoaidoru/id711119394?l=th&mt=8

    「49人目の少女 -狂気のアイドル育成ゲーム、無料で暇つぶし-」 『Google play』

    https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.inc.nagisa.fourtynineshoujo&hl=ja

    最後までお読み頂きありがとうございました。

    執筆: この記事は井上大紀さんのブログ『Gloomy blog』からご寄稿いただきました。

    寄稿いただいた記事は2013年11月19日時点のものです。

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