・コンデジの新しい方向性―撮影者含めたムービー・写真のストーリー保存・F1.8の明るいレンズに「DiGiC6」エンジンで画質の担保は万全
・丸みのあるコンパクトかつ高級感のあるボディ
・バリアングルとタッチパネルで直感的なインターフェース
●チェックポイント
・レンズ明るさはどう?
メインカメラは24-120mm相当、光学5倍F1.8(広角端)の明るいズームレンズを搭載している。最近はF値が2近辺のコンパクトカメラが珍しくなくなったとはいえ、実はすごいことだ。小さいボディを担保しつつレンズの明るさを稼ぐという努力の結果、子供や動物などの動きが予測できない被写体や、薄暗いパーティーなど「撮影的に過酷な環境」にも対応できるようになっている。
・画質はどう?
本機種の新コンセプトでもある、「ストーリーの保存」は、動画・静止画の両面から、撮影者と被写体を含めた「思い出」を記録するというもの。この新機能についてはのちに詳しく説明しよう。
こうした、コンデジが駆り出されやすい「日常的な風景」は先にも述べたとおり、露光が足りなくなりがちな撮影的にシビアな場面が多い。
最新エンジンである『DiGiC6』については、静止画性能はもちろんのこと、動画性能のアップにも大きく貢献している。動画に関しては『DiGiC5』の9倍のノイズ処理能力を持っている。
レンズとエンジンのおかげで、画質は高水準で保たれていると感じた。
・重さはどう?
大きさは104.5x67.5x35.8mmと完全に手のひらサイズ。重さは289gなので、大きさの割に意外とズッシリという印象はある。これを重さとみるか「高級感」とみるかは人によるところだろうが、持ち運びに難がある重さではないだろう。
・起動時間やレスポンスはどう?
全く問題ない。従来機種よりも動画の撮影にもウェイトが置かれたモデルだが、きびきびとした反応を返してくれる。(『DiGiC6』の恩恵が大きいかもしれない)
タッチパネルの感度も良いのでUI的なストレスは感じなかった。
●さわってみて
先にも述べたように、この『PowerShot N100』のコンセプトに「思い出をストーリーで残す」という考え方が反映されている。撮影した環境もひっくるめ、静止画と動画を融合させ「撮る」人、「見る」人との間で「共有」する。
『N100』には「ストーリーカメラ」と呼ばれるサブカメラが液晶モニター側に搭載されている。いわゆるケータイでいうところの「自撮り」用のレンズに近い。
これにより、メインカメラの映像・画像に“撮影者の表情”をワイプで自動的に合成することが出来るのだ。(デュアルキャプチャー機能)
ファインダーをのぞく必要のない、(液晶を見ながら撮影する)コンデジだからこそ成しえた機能だろう。
ストーリーカメラは広角25mm相当なので、複数の撮影者がワイプに収まることも可能だ。
しかしながら、『N100』はただの自撮り機能が付いたコンデジではない。
「プラスムービーオート」機能では、シャッターを切る直前の約4秒間の動画と静止画を一緒に記録することが可能。
そして、カメラ内のメモリーカードに記録された画像や動画から、カメラが自動で“大切な写真”を選び出して新たな動画アルバムを自動生成する「ストーリーハイライト」機能が搭載されている。
編集のテーマは多くの静止画が撮られた『イベント』、特定の日付から選択する『日付』、登録された人物を中心に選択する『人物』、自分が指定した静止画だけを対象にした『カスタム』など、4つのテーマからムービー生成を選択することができるのだ。
その場面、思い出を関係者と「共有する」という、コミュニケーションを前提とし、ここまで特化したデジカメというのは、知る限り無かった。
アルバム動画の編集は機械が自動的にしてくれることからもわかるように、ユーザーにとっては最小限の手間で自分たちの動画をコンテンツとして楽しむことが出来てしまう。
当たり前にこれらのことができるためには、『N100』の地力として動画性能や写真機としての性能が求められる。使いやすさと性能が求められる部分でもあるのだ。
コンデジだからこそ、手軽に撮れないといけない。けれども手ブレしやすい撮影者や被写体を撮影するにはスペックに余裕がないといけない。
こうした新しい試みに応えるべく、実績とノウハウをもって臨んだ『PowerShot N100』は、文字通り「カメラにおける新しい価値の提案」に成功したモデルだと言えそうだ。
キヤノン:PowerShot N100http://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/n100/ [リンク]
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