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by 高森明勅
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産経新聞は、10月4日付の「世紀の大誤報」よりも、
むしろ6日付の紙面によって一層、信頼を失墜した。
メディアと言えども所詮、人間のやることだ。
完全無欠なんてあり得ない。
だから、時には誤報も避けられないだろう。
確かに今回の産経新聞の誤報は、
たちが悪いし、事柄の性格上、余りにも重大だった。
だが、逆にそうだからこそ、
事後の対処の仕方が大切だ。
大きな過ちだったけれども、
産経新聞が、皇室典範改正にからむ自社の政治的な思惑も越えて、
誠実に、率直に非を認め、謝罪して、記事を訂正すれば、
それはむしろ評価に値することだったはずだ。
しかし残念ながら、6日の記事は完全に開き直ったものだった。
「政府は…提出を断念する方針を固めているが、
(政府の方針を公式に伝える)
藤村氏は『必要ならば提出する』と述べた」という、
苦し紛れの捩れ切った文章まで、飛び出した。
だが、「断念する方針」がもし事実なら、
産経新聞は6日に、何故あれほどの紙面を割いたのか。
1面の半分を占めるトップ記事、
2面の「主張」、
5面「女性宮家に関する論点整理の要旨」、
21面3段を使った記事。
じつに盛り沢山だ。
そもそも、既に政府が「断念」した典範改正案に対して、
わざわざ社説で批判する必要がどこにあるのか。
「主張」では
「女系天皇に繋がる懸念は依然、消えていない」と、
心配している。
側室不在の状況下、
男系限定は皇室の存続を不可能にするのだから、
まことに馬鹿げた「懸念」だ。
だが、そんなことより、
政府が「皇室典範改正を断念」(4日トップ記事の見出し)
したのに、何故「懸念は依然、消えていない」のか。
実に不思議だ。
1面の「論点整理」にケチをつけた記事も、
既に「断念」されたプランなら、
こんなゴタクを並べるには及ぶまい(中身も見当外れだが)。
6日の紙面そのものが、「世紀の大誤報」を裏付けている。
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