by 高森明勅
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女性宮家創設に対抗する形で新しく提案された 「尊称だけの内親王」案。 政府内部の検討の結果、「あっさり否定」された。 この案については以前、「高森ウィンドウズ」で問題点を指摘した。 要は、憲法の定める「法の下の平等」に反するってこと。 政府は私見を参考にしてくれたのか、 独自の検討で同じ結論に至ったのか、 とにかく当然の理由で排除された。 ところが、産経新聞の記事などを見ると、 このあたりのことがよく分かっていないようだ。 「尊称だけの内親王」にわずかな前例があると言っても、 それは「身分」制社会でのこと。 憲法は、国民については「法の下の平等」を定め、 明確に「身分」制度を否定する。 天皇とそのご近親でいらっしゃる皇族については、 憲法が国民統合の中軸とする世襲の「象徴」天皇制度との関わりで、 国民に当てはまる「法の下の平等」の範疇外とされる。 当然のことだ。 ところが、尊称だけの内親王は、 既に皇族の身分を離れて、国民になられた方が対象になる。 ならば、「法の下の平等」から外れる訳にはいかない。 よって、国民の中に新たな身分を設けることになる 尊称だけの内親王は、憲法上、否認される他ないのだ。 いや、「身分」制社会を復活すべきだ、 という意見があっても、もちろん結構だ。 だがその為には、憲法改正から手を着けなくてはならない。 「尊称だけの内親王」という提案では、 皇室と国民の区別がよく理解されていなかったようだ。