このむらの水路にイワナがすんでいるということは、それだけそのエサとなる昆虫類が多いということでもある。その昆虫類が多いということは、山が豊かだということでもある。


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 Gさんが、むらの入会権を解体し、法人格をもつ森林組合などの管理に移行することに反対したのは、そこに、天然林を伐採させ、スギ、ヒノキの単純林にしてしまおうとする国の意図を感じ取ったからでもある。養蜂家でもあるGさんは、年間を通してさまざまな木の花の咲く天然林があったほうが、ミツバチだけでなく、ほかの昆虫や鳥や獣にとってもよいことを知っていた。

 むらでは、Gさん宅のほかに入会林組合長さん宅、部落会長さん宅にお邪魔したが、どの家でもお茶請けはタラノメやウルイ、ミズなどの山菜類と漬物で、買ったものはほとんどなかった。山が豊かだということは、人の食卓も豊かだということだと思った。

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 またむらの水路にイワナがすむということ