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高野孟:沖縄県知事選の自民党分裂騒動が意味するもの
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高野孟:沖縄県知事選の自民党分裂騒動が意味するもの

2014-06-20 09:00
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11月にも行われる沖縄県知事選をめぐって、自民党沖縄県連で早くも分裂騒動が始まった。同県連は今のところ、海兵隊基地の辺野古移転を容認する現職の仲井真弘多知事の3選出馬でこれに臨む方針だが、それには同県連内のみならず保守陣営や経済界でも反発が強く、辺野古移転反対の立場を明確にしている翁長雄志現那覇市長の出馬を求める声が広がっている。同市長の与党である那覇市議会の最大会派「自民党新風会」の市議11人と安慶田光男議長(会派離脱中)の計12人は、さる5日、県連幹部の制止を振り切って「移設に敢然として反対していることに県民の評価は高い」として翁長に出馬を要請、それに対して県連側は9日の役員会で12人を除名処分とする方針を固めた。

他方、7月に発足総会を開く予定の「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」に参加を決めている県下の県会議員と市町村会議員130人以上が7日、全県議員団会議を開き、普天間基地の撤去とその県内移設断念、オスプレイ配備反対を日本政府に求めた「建白書」実現の運動を盛り上げていくことを決めた。昨年2月に県下の全県議、全市町村議が東京に集結してその建白書を突き付けたときに、先頭に立ったのが翁長市長で、この集まりも事実上、翁長出馬を促す狙いがある。「島ぐるみ会議」は、仲里利信元自民党県連顧問や経済界の大物=呉屋守将・金秀グループ会長も共同代表に就くことになっており、那覇で始まった自民党分裂は全県に広がっていくことになろう。

経済界では、その呉屋会長とかりゆしグループの平良朝敬代表が12日に「翁長雄志知事を実現する同志会」を立ち上げる。平良によると「呼びかけに応じて、すでに100社以上の県内企業の経営者・役員など320人から賛同を得ており、間違いなく千人規模の広がりになる見通し」とのことで、自民党が必死で恫喝を振り撒いている中、前例のない同県経済界の反自民の政治的決起となる。

翁長と仲井真の対決となった場合、県議レベルでは中間派はもちろん社民、共産など革新系も翁長支持でまとまると見られ、翁長の圧勝はまず間違いなし。そうなると、翁長辞任に伴う那覇市長選でも彼の後継者が勝つ可能性が高く、自民党沖縄県連は総崩れに陥って、政府・自民党は辺野古移転を強行する足がかりを失うことになろう。▲

( 日刊ゲンダイ6月11日付から転載)


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<高野孟(たかの・はじめ)プロフィール>
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。
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日本政府が、米国従属化に一途に進んでいるときに、このような沖縄の動きを聞くと、沈んだ気持ちに活力がわいてきます。
当たり前のことを当たり前に主張され、平凡なことが非凡になっています。
戦争の体験が親から子供に確かな方法で伝えられている、本土では忘却のかなたにあり戦争に麻痺しているのが恥ずかしい。

No.1 119ヶ月前
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