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カッパを着ているとはいえ、文字どおりの「年寄の冷や水」である。氷水をかけてくれたフローレンス代表の駒崎弘樹さんは、「田原さんが倒れられたらどうしよう」と、大変緊張したそうだ。
「アイス・バケツ・チャレンジ」とは、難病である「ALS」の支援運動だ。正式には、筋萎縮性側索硬化症という。筋肉萎縮と筋力低下が急速に進み、発症するとほとんどが数年以内に死亡する難病だ。有効な治療法は確立されていない。
「アイス・バケツ・チャレンジ」では、指名された人物は、24時間以内に頭から氷水をかぶる。もしくは、100ドルを支援団体に寄付する。どちらかを選ばなければならない。もちろん、その両方を選択してもいい。そして、次の人物を3人指名する……。このように続いていくのだ。
アメリカ発のこの運動は、ビル・ゲイツがかぶったことで話題になった。日本でも、ソフトバンクの孫正義さん、ノーベル賞受賞の山中伸弥教授などがすでに氷水をかぶっている。24時間以内に行動し、次の3名を指名するから、運動は世界中にすごい勢いで広まっている。
寄付やチャリティという行為に対して、人それぞれいろいろな考え方があるだろう。だが僕は、こうした運動もあってよいのではないかと思う。著名人が氷水をかぶって話題になることで、ALSという病気を知らなかった人も関心を持つようになる。もちろん寄付も集まる。
そもそも日本人は「寄付」がヘタだ。文化的な理由があるのかもしれない。一方、欧米では「寄付」という行為は日常的な活動の一部になっているようだ。たとえば欧米の大学では、卒業生からの寄付金が相当額あり、大学の運営に役立てられている。日本の大学では考えられないことだ。政治家への献金も同じである。日本では企業献金がほとんどだ。個人献金、すなわち寄付はほとんどない。
国民それぞれが「応援したい」という政治家を自分の意思で決め、自分の収入の中から可能な範囲の寄付をする。投票もするが寄付もする。これが、政治に参加することだと僕は思っている。
おおっぴらにすることでもないが、僕は期待している政治家数人への寄付をし続けている。何か事を成すとき、お金が必要なのは当たり前のことだからだ。
国民が寄付しやすくなる、税制面での改革も必要だろう。だが、まずは僕たち日本人が考えを変えるべきではないのか、と僕は思っている。応援する「心」を、寄付という「形」にする。そういう発想をもっと持つべきだ、と僕は考えるのだ。
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