KISAKI BANDWORKS 30TH ANNIVERSARY SPECIAL対談
団長(NoGoD)×KISAKI×ryo(HOLLOWGRAM他)
――KISAKIさんがバンド活動30周年を記念し、3枚のアルバムを制作。4月26日に『Providence』、5月24日に『Afterglow』、6月21日に『Preuve d'etre』と3カ月連続でリリースします。今回取り上げる第二弾作『Afterglow』について、まずは聞かせてください。
KISAKI 3カ月連続でリリースする3枚のアルバムともコンセプトはすべて一緒です。第二弾作『Afterglow』は、ゲストヴォーカリストの参加が一番多い作品になりました。曲調の面でも、ヘヴィメタルからバラードまで、どれも深い世界観を持った曲たちを並べています。
――今回の対談相手に、『Midnight Whisper』を歌ったryoさんと、『Doppelganger song』を熱唱した団長が登場。それぞれとの出会いから聞かせてください。KISAKIさんとryoさんとの付き合いは、だいぶ長くないですか?
ryo お互い、10代の頃からの付き合いだからね。
KISAKI あの当時は、僕がMIRAGEで。ryoくんはD'elsquelとして、一緒に全国各地をツアーで回っていた仲。
ryo ヴォーカルがTOMOくんだったから、MIRAGEを結成して間もない頃だったよね。
KISAKI そう。本当は、その前に対バンするはずだったんですよ。
――その話、気になります。
KISAKI 僕がLa:Sadie'sの頃、新潟にツアーへ行くことになったとき、あの頃から有名で話題になっていたD'elsquelと対バンをしたくて、当時のイベンターの方に依頼。当初は、La:Sadie'sとD'elsquelでライブを行う予定でしたけど、タイミングが合わず違う対バン相手になり、その機会を逃してしまいました。その後、La:Sadie'sは解散。新たにMIRAGEを結成したときに、今度はD'elsquelに直接呼びかけ、そこからよく一緒にツアーをやるようになれば、後々、レーベルメイトの関係にもなりました。
ryo お互いに10代だったし、バンド活動歴もほぼ一緒だから、本当に同期の関係なんですよ。
KISAKI あの頃はお互いに刺激を受け合えば、互いに助け合いつつ、一緒に成長してきた関係。ただ、当時のMIRAGEは活動を始めて間もないこともあって、まだまだ模索もしていたけど。あの頃からD'elsquelは世界観を作りあげていたからね。しかもryoくんは、あのときから30年近く経っているにも関わらず、いまだに進化し続けている。僕自身、昔からryoくんの歌声が大好きだったし、信頼のおけるヴォーカリトだからこそ、ぜひ歌ってもらおうとお願いをしました。
――ryoさんは、いくつかバンドの形を変えながらも、いまだに現役で活動を続けている方。
ryo そうですね。9GOATS BLACK OUTの頃までは、バンド一筋で活動を続けていましたけど。一時期シーンを離れ、HOLLOWGRAMとしてふたたびシーンに戻ってきてからは、HOLLOWGRAM・DALLE・H.U.Gと複数のバドで同時並行に活動を始めるようになりました。その理由も、以前には身につけていなかった歌い方もいろいろ出来るようになったことから、そのスキルを生かし、自分が表現したかった音楽性を、バンドを分けることで表現していけることから。いくつものバンドを平行して動かすことでつかめたスキルは、今回の『Midnight Whisper』に遺憾なく発揮しています。
KISAKI あの表現の幅広さは、本当にすごいなと思う。
――続いて団長との出会いですが。
団長 俺がNoGoDとしてヴィジュアルシーンで活動を始めた頃から、KISAKIさんは西(関西)の御大みたいな存在でした。しかも、あの当時から"神"と言われていたのを知ったときは、「NoGoD=神なんかいねぇ」と、やべぇバンド名を付けてししまったなとも思っていたんですけど。当時の俺らは活動を始めて間もないし、すぐにKISAKIさんに。当時のバンドで言えば、Phantasmagoriaと対バンする機会なんて当分先だろうと思っていたんですけど…。
KISAKI あの頃は、確かに"神"と呼ばれることがあったからな。NoGoDとは、「漆黒のシンフォニー」のイベントで一緒になったのが、最初??
団長 そうです。忘れもしない、2006年の「漆黒シンフォニー」へ出演したときのこと。NoGoDは2005年に活動を始めたばかりのバンド。当初は、Phantasmagoriaのような有名なバンドとすぐに対バンする機会などはないと思っていたら、イベントで早くも実現。でも、楽屋は別だろからと安心していたところ、指定されたメイクルームに行ったら自分の横がKISAKIさんで、まさにメイク中だったんですよ。しかもKISAKIさんは、ご自身が掲載になっている雑誌をチェックしていたんですね。じつはその雑誌に、俺らNoGoDは、初のミニアルバムを出すことから広告を出稿していました。しかも、掲載になったページが、Phantasmagoriaのインタビュー記事の終わりの隣のページ。今でも覚えていますけど、KISAKIさんはインタビューページの最後に、太字で「神はここにいる」とおっしゃっていたんですよ。その横のページに、NoGoDの広告ですからね。あのときは「これは編集部の悪意だ。頼む、KISAKIさん、その広告を読みとばしてくれ!!」と願っていましたが、僕がメイクのため横に座ってすぐに、雑誌の広告ページを開いて「これ、自分らやんな??」と聞いてきたんですよ。あのときほど、「もう、終わった」と思ったことはなかったですね。
KISAKI でも、あの頃から団長は、すごく当たりの良い人柄だったから、悪い印象はなかったけどね。実際にそこからは、どんどん密な関係にもなったし。
団長 俺らからしたら、KISAKIさんは大先輩。しかも存在感がハンパなかったから、みんな恐れ多くて近づかないんですよ。でも、俺はそういう壁とか気にしない性格だったし、挨拶をする前に、先にKISAKIさんに声をかけていただけたこともあって、KISAKIさんの懐には飛び込みやすかったですね。あのとき、「すぐにバンド名を変えます」と話をしていたのも覚えています。
KISAKI 結局、変えてないけどね(笑)。
団長 KISAKIさんは、本当にフレンドリーな方で、NoGoDがまだ地方公演を始めて間もない頃、大阪へ行ったときに、わざわざ、たこ焼きをお土産に遊びに来てくれたんですよ。でも、なぜか俺だけ「おまえは、ネギだけいっぱい食っておけ」と言われ、ネギだけをもらったことも覚えています(笑)。
KISAKI ネギは、栄養があるから気を使ったんだよ(笑)。
団長 俺ら世代からしたら、KISAKIさんのパブリックイメージって「怖い人」なんですけど。実際に接してて思うのが、いまだにキッズの心を忘れないバンドマンの先輩ということ。しかも、今もこうやって気にかけては定期的に連絡をくれる方だから、本当にありがたいなと思っています。
KISAKI 昔から団長は、歌も歌えて、ライブも恰好いいし、トークもうまいし、マルチな才能を持ったアーティストだなと思っていたし、後輩やけど、そこは今でも尊敬しているからね。
――ここからは、それぞれに歌唱した楽曲についての話を聞かせてください。ryoさんは、どっぷりとした世界観を持ったバラード系の『Midnight Whisper』を歌っています。
KISAKI この曲には、彼の魅力を本当に詰め込めたなと思います。ひと言で言うなら、"歌の色気"がすごい。ウィスパーな声一つを取っても、女性が聴いたら、間違いなくうっとりする歌声ですからね。
ryo じつは、デモトラックをいただいたときから、「このまま形にしても良いのでは?」というくらい音が出来上がっていたし、ガイドラインとなる仮歌の時点でもすでに形を成していたから、KISAKIくんに「どう歌えばいい?」と聞いたんですよ。そこで返ってきた言葉が、「好きにして」のひと言。
KISAKI 信頼しているからこそ、間違いなく良い歌に仕上げてくれるだろうなと思って。
ryo 歌入れのときも、すでに仮歌が世界観を持っていたから、そこを崩すのではなく、歌の軸となるメロディーを生かしたうえで、それをどう自分の色として彩るか。すでに出来上がっていたキャラクターを、自分の歌い方でどう表情を豊かにしていくか。そこを心がけながら歌ったところ…。
KISAKI もう、バッチリでした。
ryo 自分が持っているKISAKIくんの印象といえば、耽美やコテビの走りの人。だから、その辺のエッセンスを出したうえで、全体を包み込むような抽象的に書いた歌詞の世界を、なるたけイマジネーション豊かに膨らませたくて、そういう歌い方を心がけました。
KISAKI 『Midnight Whisper』は、メッセージ性よりもイマジネーションが強めの世界観を持った楽曲。ryoくんは、そこを美しく耽美に描きあげてくれたからね。対照的に団長は、『Doppelgange』の中、しっかりとシャウトしてくれました。
団長 これは裏話になるんですけど、最初に依頼が来ていたのはミドルバラードの楽曲でした。正直、普段の自分が表現している世界観とは異なるから、「何かしら策を練って歌おう」と画策していたところ、KISAKIさんから「団長にはこの曲を歌ってほしい」と改めて依頼が届いたのが『Doppelganger』。この曲は、ゴリゴリのヘヴィメタルナンバー。しかも、ギターをGALNERYUSのSYUさんが弾いていることから、「これはメチャメチャ俺の土俵の曲だ」と思って、存分に歌わせていただきました。
KISAKI あの高音ナンバーを安心して任せられるのは、団長しかいないからね。『Doppelganger』は、『BLUE BLOOD』時期のX JAPANをイメージした楽曲。SYU君にギターを弾いてもらうときにも、「ギターソロのイメージは、XJAPANの『ART OF LIFE』だから」とひと言だけ言ったら、まさに求める世界を作ってくれましたからね。
団長 曲の世界観は、まさしく自分の得意分野ですけど。ただ、KISAKIさんの作るメロディーや歌詞は、自分の引き出しにはないもの。KISAKIさんは様式美を得意としていますけど。俺自身は、あえて様式美系は得意な方々に任せ、隙間産業メタルをやってきていたから、今回、真正面から様式美のヘヴィメタルに挑戦できたことは、自分にとっても嬉しいスキルアップになりました。しかも、SYUさんのギターがものすごくジャパメタしているんですよ。KISAKIさんの美しくメロディアスな歌を、SYUさんと俺が広げる形で、新たなヘヴィメタルの世界観を作れたなとも思っています。
――お2人とも、普段の自分のフィールドとは若干違う世界観で表現しているんですね。
ryo もちろん、KISAKIくん自身が、俺の歌声の色に焦点を定めたうえで選曲しているから、決してずれているわけではないけど。今まで自分が表現してこなかった手触りを持った曲たちを提示してきたところが、自分でも、新しい色を出せた要因になったんだなとは感じています。
団長 そこは、俺も一緒です。どれだけ異なる要素をミスクチャーしながら、KISAKIさんの持つ世界観を広げていけるのか。そうやって生まれた曲ですから。
――2人の歌った楽曲が、アルバム『Afterglow』の顔となるのでしょか?
KISAKI 収録した全曲が顔ですよ。ただ、アルバム『Afterglow』に関して言うなら、ヴォーカリストを含め、ゲスト陣が一番多い作品になっているから、オムニバス盤を聴いているような楽しさも感じてもらえるかなとは思ってる。
――改めて、収録した曲の魅力を語っていただいても良いですか?
ryo 『Midnight Whisper』は、ライブで歌うことは一切意識せず、作品の制作に特化した歌い方をしています。ライブのマイクでは拾いきれない歌声の音量で表現をするなど、音源だからこそ細かい歌声の表情を楽しんでほしいですね。
団長 自分の場合は、KISAKIさんの魅力の根幹を成すロックキッズの部分を、『Doppelganger』を通してしっかりブースト出来たなと思っています。KISAKIさんがヘヴィメタルバンドを結成したら、きっと、こういう楽曲をやっていますよ。
KISAKI 2曲とも、ライブのことは考えず、音源に特化した形で、自分が好きな音楽性を表現。そういう曲たちが、今回の3枚のアルバムに30曲並んでいます。6月21日に出す『Preuve d'etre』では、アンティック-珈琲店-のみく君が、アンティック-珈琲店-では絶対に歌わないシャウトの入った曲を歌えば、樹威と久しぶりにKISAKI PROJECTの楽曲を再録した曲も収録。アルバムの最後を飾った楽曲は、自分としてはX JAPANの『LAST SONG』をイメージして作っています。そういう曲たちが並んでいるので、こちらも楽しみにしていてください。
団長 KISAKIさん、一つお願いがあるのですが。もしライブをやる機会があったら、ぜひ『Doppelganger』をやりませんか?せっかくの素晴らしい楽曲だし、それこそSYUさんも招いて、KISAKIさんなりのメタル魂をライブで見せられたら楽しそうだなと思ってて。
KISAKI 今は、枠を超えていろんなことをやりたいなと思っているから、それが何時かはわからないけど、可能性がまったくゼロではないなと自分でも思ってる。正直、先の展開はわからないし、ライブのことも今は何も考えていないけど。今回の30周年に限らず、いろいろ柔軟に表現しながら音楽を続けていこうと思っているから、長い目で先のことも見据えて、俺の動きを追いかけ続けてください。
TEXT◎長澤智典
PHOT◎横山晶央
HAIR MAKE◎A・DO(KISAKI) / 美夢(ryo・団長)
KISAKI HAIIR MAINTENANCE◎hiko(UNDIVIDE)
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・ブロマガ【club Zy.チャンネル 】https://ch.nicovideo.jp/club-Zy/blomaga
5月22日(月)18:00 ゼラ
5月23日(火)18:00 DEXCORE / MIMIZUQ
5月25日(木)18:00 千聖 【MSTR Crack6 / PENICILLIN】× KAMIJO(Versailles)
5月26日(金)18:00 団長(NoGoD)× KISAKI × ryo(HOLLOWGRAM他)
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