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出来ていないことの口惜しさが残るのが、プロデューサーの役どころなんだろう、と、いつもアニメでも舞台でも作品が完成し結果が出てから思う。
何も思わないくらい完璧にできたっていう記憶が無い、いや、TVアニメの「タッチ」だけは例外かもしれない。天才演出家の杉井ギサブローさんが僕が気になって仕掛けた議論のすべての事柄に真剣に議論に応じてくれた。それはクリエイター視点と観客視点のぶつかり合いだったのだが結果いつもどこかに落ち着いていたので、もう議論の余地がないくらいにあらゆることに納得のいく作品になった、事ぐらいかな。
これって僕のプロデューサー人生45年にたった1回の出来事っていうことになる。
青春舞台「1518」も想定の範囲の中ではあるけど、結局できていないことが思い返されそこは残念、ということになってしまった。なにがどうとは言わないけど、気が付く人は気が付いていると思う。芝居見慣れた人の何人かの友人は指摘してくれている。そのくらい明白なもっと良くなる側面がある、って伸びしろがあるっていいことですよね。
悔しいことは内容だけではなくビジネス面でも起こる。ただ、今回はビジネスの結果が出きっていないので、この次があるかないかはまだわからない、なのでビジネス面は於いて、内容については次があったら基本のところから細部までのなかに、何が何でもあそことあそこははこうしたいって思う個所いくつもある。
でもこの「1518」は、そういう僕の気持ちとは別に、観てくださった方々にはおおよそ好評のように思う。それはそれでありがたいと思うのだけど、でも好評以外の言葉は直接には当事者に聞こえない所でささやかれるのが常なので、好評は心の引き出しの奥にそっとしまっておこうと思う。
作りたいものを作りたい方法で作る人が多い作り手の側の人間の中で、唯一、観客目線で作品を客観的にとらえる視点を持つのが僕の役割だと思い長くやってきたプロデューサーという仕事、そこで培った自分の感覚に素直に従っていつか来るかもしれない次の機会に備え、反省点を頭の中に整理しておこうと思う。
なにを観客の心に残すのか
なにを見せて楽しんでもらうのか
これらが僕がいつも心がけていること。
この目標に到達するためにどういう演劇を作るのか、どういう方法を使うのか、
★パターン・スタイル・類型の模索
★ミュージカル・ストレート・音楽劇・パントマイム・オペラ…
★井上ひさし風・平田オリザ風・文学座風・つかこうへい風・野田秀樹風・宝塚歌劇団風•歌舞伎座風…
これらだけに特定するわけではないが概ねこのような中からイメージをどのあたりに置くか、をスタッフと共有できれば観客に伝わりやすい演劇が作れる、といつも思いながら仕事している。
「1518」では僕は、いのうえひさしさんの戯曲を鵜山仁さんが作るときのように音楽と歌を静かな演劇の中に旨―く取り入れて笑いと涙誘いながら観客の心の奥に語りたい事柄を深く沈みこませる、あのセリフのやり取りの間を大事にして余韻を残すスタイルが似合うのではないかとイメージしたが、そこはうまくいかなかった。
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