「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2019年9月17日(火)配信その2をお届けします。

 次回は、2019年10月29日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2019/09/17配信のハイライト(その2)

  • メディアラボのスキャンダルと社会不適合者
  • 電子タバコ禁止とオピオイド訴訟
  • ドローン攻撃での「サウジ軍の不甲斐なさ」と各国の二枚舌
  • Uberのビジネスモデルにとっての自動運転
  • 月からの軌道エレベーターの使い道

メディアラボのスキャンダルと社会不適合者

山路:じゃあ、メディアラボの話行きますかね。メディアラボのスキャンダル、これっていうのはエプスタイン、ジェフリー・F・エプスタインでしたっけ。そういうアメリカのヘッジファンドで大成功して富豪になった人がおるわけなんですけれども、この人がいろんな科学者であるとかTEC業界とか大学とか、そういうところのタニマチになっていた。このエプスタイン氏は未成年の児童を。

小飼:まぁクズだったわけですよね。

山路:アハハ、凄いもう一瞬で要約されてしまった。

小飼:あの、引き籠もってセックスする部屋のことを、ヤリ部屋というそうですけど、なんの工夫もない表現ですけども、エプスタイン氏は金持ちだったので、部屋じゃなくて、島丸ごと、はい。ヤリ島。

山路:ヤリ島(笑)。

小飼:そこにおっさんと、連れてきた少女を閉じ込めて。だから文字通りセックスしないと出られないという島というのをやったわけですよね、なんの冗談も抜きに。まあそういう、クズのタニマチがいたわけなんですけども。

山路:前回話した段階ではMIT、マサチューセッツ工科大学のメディアラボというのがそのエプスタインからの資金を提供を受けていたっていうことが明らかになって。

小飼:受けていたというだけではなくって、これは受け取ったらヤバい金だよ、金出す人というのは本当はヤバい人だよというのがわかった上で、受け取ったというのが明らかになったので、重いわけです。知らずに受け取っていたというのであれば、まだいいんですけども。

山路:最初は伊藤穰一氏は、それは知らんかったみたいな感じのことを言っていたんだけども。

小飼:でも、とてもよく知ってるじゃんという。

山路:積極的に隠蔽工作をしてたということがわかって。

小飼:ちょっと弁護のしようがないな。でですね、けっこう寄付者の身元っていうのは、アメリカの大学っていうのはうるさいです。

山路:ほう。

小飼:昔からうるさかった。僕がいた時もですね、笹川良一の、要するに今でいう、今だと日本財団になっている、でも大昔は「お父さん、お母さんを大切にしよう」という凄い面妖なCMをやっていたところです。

山路:あの、ボートレースの協会。

小飼:要するに政治力を駆使して公営ギャンブルの1つを牛耳ってた、牛耳ってる?今もそうなのかな?あのところというのが、バークレーに寄付してくれることになったんですけど、やっぱり直前に蹴ったという。

山路:へえ。

小飼:"The Daily Californian"という校内新聞があるんですけども、校内新聞のニュースになるくらいでしたから。そういうのもちゃんとチェックするんだなあと。
当時日本は、バブルの真っ最中だったんで、僕自身はスカンピンなのに、日本から来たということでお前、金持ってるんじゃないかっていって、ずいぶん迷惑だったんですけど、それはさておき。ちょっと身元のヤバい金というのは、受け取れませんよというのは。

山路:しかもメディアラボの元の先代の所長だった、ニコラス・ネグロポンテなんかっていうのも、いろいろヤバい発言をしてまたこれが話題になっているわけですよね。

小飼:まあヤバい人だったわけですけどね。

山路:なんかもう金の出所はええんやから、金出してくれるんやったら、とりあえずもらっとけみたいな、そういうことを改めて言ったとか、まぁ大ブーイング。

小飼:私立だしね。

山路:ネグロポンテは、性犯罪者とわかっていたら受け取らんかったよみたいなことを、後で言い訳はしてるんだけども。

小飼:そんなわけねえじゃん。どころか、ヤリ島に一緒に行ってたかもしれないので、今思い返すと。

山路:本当に最近でいうと、またこれが別のところにも火が広まりまして。フリーソフトウェア財団の設立者であり、EmacsとかGCCとか。

小飼:もうあれですよ、ハッカーと言うと真っ先に名前が出てくる人ですよね。

山路:リチャード・ストールマンが、またこれの火の粉をかぶるというか。

小飼:いや違う。火の粉をかぶるんじゃなくて。あの鎮火してたのに。

山路:火をくべちゃった方ですよね。

小飼:くべちゃった方です。

山路:これはマービン・ミンスキーに関して、言及したんでしたっけ、マービン・ミンスキーの報道が出た時に、このエプスタインのそういうヤリ島パーティなんかに、人工知能研究者のマービン・ミンスキーが。

小飼:そこに来た女の子というのは、未成年かもしれなくても、本人たちもやりたくて来たんだろうっていうことをメーリングリストで言っちゃったんだよね。

山路:そういうのはレイプにあたらねえみたいな感じのことを言っちゃって、非常にもう不用意というか、アホな発言だと思うんですけども、結局それで大炎上。

小飼:でもこういう文字通り心にもないことを平気で言う人という、そういう評判は有名でしたよね。

山路:ああ、そうなんですか。けっこう今までそういう舌禍というか、災のその。

小飼:だから凄いことを成し遂げた人だけれども、一緒には働きたくないという人が後を断たない人でもあったわけですよね。

山路:アハハ、FSFの理念自体はかなりイデオロギーの塊というか、かなりまあキツいものではあって。

小飼:そこは正しいんですけどもね。

山路:凄い頑固者というか、まあそれくらいの変なキャラクターでないと、ああいうものを立ち上げて、なんか世の中を動かしていくみたいなことは出来なかったのかな。

小飼:だからそこなんですよ。そういう人でないと、そういう組織のを立ち上げられないのかなというのは、けっこういい設問なんですよね。

山路:ほう。

小飼:だから卓越した才能の持ち主が、卓越した業績を上げるのと引き換えに、どこまでクズであることを許容するのかっていうのは。答えのない、答えの出にくい設問かもしれないですけども。

山路:うんうん、「下半身の力と金儲けはリンクしている」(コメント)、まあリチャード・ストールマンは金儲けのほうはあんまり上手くなかったと思いますけど。スティーブ・ジョブズなんかも今は。

小飼:ジョブズは本人がクズだって認めてますからね。

山路:今はいい人イメージがずいぶん流布してますけども。

小飼:はい、だから本当にそれは正直に初めの娘というのは認知しなかったし、要するにその人の母親をやり捨てたわけですし、そういう言い方してますよ。2番目にちゃんと結婚した方は、わりとちゃんとやってた、父親してたっていうのはありますよね。

山路:まぁアメリカ人って、クズな人間が更正するっていうストーリーが好きっていうのはあるかもしれないですけどね。

小飼:死んでも治らないような人が今、ホワイトハウスにいるわけじゃないですか。

山路:でもアル中から立ち直ったみたいな話もありませんでしたっけ?(編注:アル中から立ち直ったのは、ジョージ・ブッシュ(ジュニア)元大統領でした)そういう風なエピソードとかっていうのが、アメリカ人に刺さるところがもしかしたらあるのかもしれないですけどね。

小飼:でもアメリカ人に刺さる云々ではなくって、全世界的に、多から少なかれ偉業を達成した人というのは、ある種の社会的……。

山路:不適合者。

小飼:そう不適合があったがゆえにそれを成し遂げられたというので、まあ、それ故に大目に見てもらうことが多いんだけども。でも、それってあれだよね、設立、だから創業当時というのはまだそれが海の物とも山の物ともつかない頃っていうのは許されても、もうそれがカウンターカルチャーではなくて、もうメインストリームになった時点で、そういったものっていうのは、かつて許されていたことが許されなくなってくるんだなというのは、ITの世界でも当然起こってきたのかなと。