「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2020年05月26日(火)配信その2をお届けします。
次回は、2020年7月21日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2020/05/26配信のハイライト(その2)
- しょぼいけど褒めてあげたい持続化給付金のシステム
- 「日銀のETFをベーシックアセットに」の意味
- 「失業したら生徒になる」社会と教育についての財務省の一番の罪
- 香港と台湾のこれから
しょぼいけど褒めてあげたい持続化給付金のシステム
山路:じゃ持続化給付金の話から。
小飼:10万円のやつのオンライン申請が始まった日に、(持続化給付金が)入金されました。
山路:早えなあ。
小飼:でもこれ1番早い人は、1日に始まったですけども、8日に入金があったみたいなんで。僕の場合はちょうど1週間ですかね。
山路:へえ、マイナンバーでガチャガチャやってたんがウソのような。
小飼:でもそれでも切羽詰まった人は、本当に「まだかまだか」と毎日のようにTweet書いてて。興味があったので持続化給付金で1日に1回は眺めるようにしてたんですけども、時々「入金されました、やったー!」というのがある一方、それを上回るペースで「まだかまだか」で、「銀行はここだから遅いのかな」みたいなのが出てて、ちょっと辛かったは辛くて、具体的な数字は既に100万件申請が来てて、30万件に入金したっていってますけど、要するに事務の負荷がそれくらいだという。
山路:これその持続化給付金の申込みは、面倒じゃなかったですか?
小飼:ちょろい。あのですね、TwitterにTweetするのに毛が生えたくらいの難しさですか。
山路:アハハ
小飼:もちろん、最初にメールアドレスを入れて、ポチッとすると仮登録されて、入力したメールアドレスのほうにアクティベートするためのリンクが送られてきて、それをポチッとやると具体的な申請サイトに行けるんですけれども。
あれですね、Twitterよりは難しいかなというのも、結局僕がアップロードしたファイルは、6個でした。
山路:ほうほう。
小飼:具体的にどんな構成になっているかというと、まず通帳に関するものというのが2つ。
これは口座番号を正しく入力しているかどうかというのを、審査する方が手でチェックするためのものでしょうね、これは。だからLINE PayとかPayPayとかで、要するになんちゃらPayで初期設定した人というのは、ご存知だと思うんですけれども、銀行口座というのをリンクというのの機能が初めから実装されていれば、この2つはいらなかったことになるんでしょうね。確定申告に関するものが2つで。1つは要は去年の売り上げがちゃんと確定申告されているかという。
山路:確定申告のコピー。
小飼:そう確定申告のフロントページ、1番最初のページですね、1番最初のページの右肩に出てる筈です。ようは事業所得がわかるということで。もう1つは僕の場合は確定申告は電子申請してるというより、電子申請して貰っていたので、電子申請にした時のe-Taxの受信通知のページ、これはだから要するにPDFで1ページ1ページという感じですね。これで4つですね、あとの2つというのが、まず1つは今年の売上が下がった月の売り上げがわかる、売り上げ台帳の写し。
山路:それってもう自分で作ったものでいいんですか?
小飼:手書きでさえOK。
山路:アハハ、そこはけっこう大盤振る舞いというか。
小飼:だって正しい売り上げ台帳のフォーマットというのは、ないじゃないですか。
山路:会計ソフトを使ってるとかそんなレベル。
小飼:バランスシートに関しては、ここにこれを書きなさいというのが、会計原則として出てますけども、売り上げ台帳というのは、それこそ自由というのか、大福帳というのか、僕の場合も本来は特に作ってなくて、通帳の入金記録をそのまま転記するだけ。
山路:あ、そういうレベルでいいんですか?
小飼:そういうレベルでいい。これはもうあれですよ。Numbersでチャッチャッと作って。30秒くらいで。それをスクショして。
山路:通帳とかのスクリーンショットでいいんですか?入金、つまり通帳が今現在いくらで、ここんとこで入金。
小飼:いらないいらない、自己申告でいい。
山路:かなり珍しくないですか。
小飼:だから却って1番大変なのはゼロの人。少なくなかったみたいですけども。ゼロの場合というのは、記録もゼロになるわけじゃないですか。その場合はどういうふうにしたらいいかというふうに。
山路:ないことを証明することになるわけか。
小飼:そうなんですよ。
山路:ああ。
小飼:だからその場合も、表計算にゼロと書くみたい。
山路:ああ、そういうレベルで。
小飼:だからゼロと書かなきゃいけないの。ないものは出せない、って言った人たちが申請を、要は書類が足りないっていう形で蹴られたみたいで。
山路:それはもったいない話ですね。
小飼:最後が本人確認で、僕の場合は免許証の表面だけで、だから住所が途中で変わった人とかっていうのは、裏面のコピーとかいるみたいですけども。計6枚。
山路:何かそれってもう本当、いちいち細かい審査するというよりは、もうたぶん皆恐らく最大限で申請してくるわけじゃないですか、もうそれを払うつもり前提で作っているということですよね。
小飼:そうなんですよ。そうなんですよ。もう何が何でもあげます。但し書類の不備というのは認められませんけども、だからOKの書類の幅というのは、ガバガバです、というのはそれ説明書を見ればもう明らかなの。
山路:これだったら何かもう本当に楽そうですね。
小飼:だから僕、何と言えばいいのかな、補助金の類を申請したというのは、じつはこれが初めてで、個人、法人を通じて。
山路:確かに私もないかも。後で調べて貰っておけばよかったというのは、いくらでもあったけど。
小飼:法人の入札資格というのは申請出したことがあるし、無申請でもくれるもの、たとえば民主党政権時代の子ども手当とか、はいはい、そういうものは貰ったことあるんですけれども。だから、ちゃんとアクティブに申請出してお金貰ったというのは、今回が初めての経験で、まぁでもやってること見てたら、はっきり言って、窓口でやっているということをウェブページを介してやってるだけで、実際そのウェブページもしょぼいはしょぼいです。
どういうふうにしょぼいかというと、たとえばこの手のものというのはいったん申請を出したら、同じページにログインしたら、現在審査中とか、これが足りませんやり直しって履歴が出たりするじゃないですか。送金完了しましたとか、全くない。そういうのは。
山路:メッチャ不安じゃないですか。
小飼:メッチャ不安です。
山路:アハハ、何か気が利かねえな、それは。
小飼:その代わりハガキが来たんですけども。だからこのハガキが来たっていうのも、かなり遅くて、これがなければ、少なくとも見た目は完全ペーパーレスだったじゃないですか。
山路:振り込みが来てから、ハガキが来るみたいな?
小飼:そう、だから振り込みが先でした。振り込みが15日で、15日って金曜日でしたね、週明けでした。ハガキが来たのは。
「ハガキいる?」(コメント)
小飼:でしょう。でしょう。
山路:だってメールでいちおう認証、やり取りするわけなんですよね?
小飼:いやメールはですね、アカウント作る時に来ただけです。1回だけ。
山路:でも何でそれを連絡に使わないんでしょうね?
小飼:ねえ。
山路:振り込み通知くらい。
小飼:あるいはウェブページそのものに、ログインしたら現在の給付金の申請状態がどうなるかというのがわかるように、それわかるのは申請に不備がある場合だけなんです。
山路:アハハ
小飼:不備があった場合には、ここに不備がありますっていうエラーメッセージが出てくるんです。
山路:漢(おとこ)のシステムですね。
小飼:なんだけれども、基本的に必要条件は満たしているわけじゃないですか。
山路:まあとにかく1番手っ取り早く金撒くという要件は満たしてるわけですもんね。
小飼:そうそう。だから銀行口座の情報は電子的に入力できると、エビデンスというのも電子的に届けられると。実際にチェックするのは人だけれども、だから人に関しても、申請に不備がなければOKボタンを1回押すだけで行きますよ。まさかそうなってないとは言わせないよ。まさかこの申請フォームの情報を、わざわざ手で打ち直しているとかっていうことはないだろうな。
山路:そんなんだったら……。
小飼:でも10万円のほうは絶対に打ち込み作業が発生する仕組みになってるから。
山路:まぁ経産省のほうでそれやってたら、たぶんこんなスピーディな。
小飼:うん、この速度ではならないですよね。
山路:そんなことやってたら。へえじゃあ。
小飼:これはまぁ褒めてあげたい。しょぼいシステムだけども、しょぼいっていうのを言われるのを承知で、ぬるいっていうのを言われるのを承知で、でも何が何でもなるべく多くの事業者に100万円ないし200万円受け取って欲しいんだという意思が嫌でも伝わるような仕組みになってましたね。
山路:いや本当、自分で会社やってたり、あるいはフリーランスの人っていうのは、これはもうやんないと。
小飼:なんだけども、これをこのウェブサイトを作ったところというのが、まあちょっとケチをつけてるところであって。
山路:ああ、そうかそうか。
小飼:一般社団法人サービスデザイン推進協議会というところがやってるんだそうです。
山路:あれ、なんか凄い話ですよね。
小飼:このしょぼいところが事務費用として700億円。
山路:うん、なんかそんなものだって、手数料としてその団体が取っているという、自動化給付金を撒く上で。
小飼:うん、でも予算、持続化給付金の予算というのは、2兆いくらだっけな? も配るのに700億円というのは、高いか安いかという話はあることはあるけど、でも700億?
山路:そんなかかっているシステムとか、あるいは事務作業にしても、そこまでかかる仕事とは思えないんですけどね。
小飼:いや、でも700億かけたんだったらさ、ちゃんとウェブページで現在の審査状況がわかるようにしてよ。もしかしてハガキが高くつくのかな? わかんない。
山路:言っちゃあなんですけど、みずほのシステムだって、7000億とかそんなレベルじゃなかったでしたっけ? 何千億という。
小飼:そうそう。
山路:だからこの700億円の10倍出したら、みずほのシステムが出来るのかと思ったら、えらく700億円が高く感じる。
小飼:高く感じるでしょうね。でしょうね、じゃない、他人事じゃねえ、俺貰ってるんだから。
山路:うん、しかもこれいろいろその、この団体がちと怪しいという、ことを検証した記事ですよね。さっき出したんですけども。
小飼:だけれども、1番重要な、実際に役所に出向かずリモートでペーパーレスで出来るという、本当にごく最低の要件は満たしているので、だからこういったことというのは、今後もスムーズに出来るようにしとくべきなんですよね。
山路:それが本当に今後こういうことが、スムーズに出来るんだったら、ここんところの。
小飼:一過性のものにしたくない。
山路:こういう怪しげな団体というのも、まだ存在が許されるのかもしれないですけど。
小飼:まあでも必要最低限の要件は満たしたというのは、はい。これは大きいです。5月1日にちゃんと出来ましたしね。
「10年分の人件費と考えれないですか?」(コメント)
山路:いやこれずっと10年でこれやるわけじゃないと思うんだけどな。
小飼:もちろん他にも問題あるわけですよね、実際にもっと僕らよりも明らかに困ってる人たちというのは、確定申告はしてたけど、雑所得で申告しちゃったから、事業所得が減ったという証拠が示せないみたいなのがあって、だからそれを現在も少しずつはアジャストしてるというのは、はい。実際に申込期限というのは、来年の1月15日だっけ? 今のところは。
だからまだ申し込めない人も、今後申し込めるようになるかもしれないというのか、その公算も大きいので。
山路:これ流石にPayPayのポイント還元じゃないから、先着順ということはないだろうし。
小飼:最初先着順になってないじゃないか、こら! という声がいっぱい溢れたんですけどね。
山路:え? この持続化給付金に関しても?
小飼:要するに5月1日、だから初日に申請したのに。
山路:ああ順番に来てねえという。
小飼:何で順不同なんだ!? というのが、いっぱい出たみたいですけどね。
山路:まあまあ1週間の前後だったら、それはまあ許容範囲じゃないかなと思うんですけどね。
小飼:でも確定申告の還付よりは早いんじゃないかという。
山路:確かに確定申告の還付って1ヶ月くらい。
小飼:そうね、3週間……。
山路:3週間はかかった気がするんですけどね。
小飼:うん、2週間では来なかったかな。
「日銀のETFをベーシックアセットに」の意味
山路:あと、じゃあ金回りでもう1つ、そもそも企業、この経済政策に絡んでいろいろ政府が行っている、企業に支援を12兆円規模で行う、その資本注入を行うって言ってるんですけど、このコロナでダメージを受けた。
小飼:それいる? それは特にダメージがでかいところ? たとえばエアライナーとかそういうところは適当かもしれないけども、だってコロナ以前にね、日銀株買いまくってたじゃん。
山路:そのあとETFで言うんだったら、そのETF繋がりでいっちゃおうかな。そのETF繋がりで言うんだったら、ちょっと変わったことを主張している経済学者の人がいるという、日経新聞のそういう記事なんですけども。これで貯蓄から投資へみたいな、よくわかんないタイトルがついてる記事なんですけども、ここで言っている面白いことっていうのは、学者先生が言ってることなんですが、その日銀が買ってるETFとかをもうそのまんま国民に渡しちゃう。
小飼:ああ、なるほどね。
山路:日銀が保有するETFを国民に配る。
小飼:それってベーシックアセットじゃん。