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小飼弾の論弾 #181「SFの盛り上がりと、出版のためのGitHub活用」
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小飼弾の論弾 #181「SFの盛り上がりと、出版のためのGitHub活用」

2020-12-05 07:00

     「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
     無料公開部分の生配信およびアーカイブ公開はニコ生・ニコ動のほか、YouTube Liveでも行っておりますので、よろしければこちらもぜひチャンネル登録をお願いいたします!

     今回は、2020年08月18日(火)配信その2をお届けします。

     次回は、2020年12月8日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2020/08/18配信のハイライト(その2)

    • ブラウザ戦争
    • アラブ世界とイスラエルの複雑さ
    • 土木SFと「異星人との戦争は大変」
    • ゲストと共に「共同編集のためのGitHub入門」

    ブラウザ戦争

    小飼:ああChromeOSというのか、Chromebookの方向ですよね。今どきのChromebookというのは、Linuxも動きます。ただしブラウザの中で仮想マシンを動かすというやり方です。だからまさにOSなんですよね。Chromebookの場合は。

    山路:それをやるためにGoogleとしては、APIの自由度をどんどん高める方向にはいきたいというのはあるんでしょうけどね。

    小飼:いやまあ、でも収集つかない、でも流石にちょっとダボハゼすぎるよね、最近のGoogle。WebブラウザがサポートすべきAPIとかを、要はメーカー横断的なAPIを決める場があるんですけど、ちょっとWeb Bluetoothってなんだよ! おめーな。

    山路:ブラウザ戦争というかブラウザ戦争自体はもう終わってんじゃないですか。

    小飼:まあ、でも第何次ブラウザ戦争になるんだろうけどね。

    アラブ世界とイスラエルの複雑さ

    山路:じゃあ次ちょっとITの話から離れて。これはちょっとでかいから言っておかないといけないないのかなと、イスラエルとUAEは国交正常化という、これって相当凄いことじゃないですかって、バカみたいな感想なんですけど。

    小飼:うん。小さくはないんだけれども、うん。

    山路:だけれども?

    小飼:だけれども、どう……。

    山路:これから皆アラブとイスラエルがバーッと仲良くする方向に行くというわけでもない?

    小飼:でもないというのか、何がUAEを動かしたかということなんだけども、やっぱりイランの牽制なのかな。それで1番貧乏クジ引かされているのはパレスチナの人なんで。

    山路:何というか、この辺のそのアラブ世界をめぐるこの辺の感覚というのが、どうしてもよく肌感覚として理解しづらいところがある。

    小飼:そう、だからアラブ諸国自体は仲がいいのか悪いのか、1度アラブ連合というのが出来たことがありますよね。そのアラブ連合ってどれだけアラブアラブしてたかっつうと、エジプトだけでなくてシリアも入ってたんですよね。
     だからかなり広い範囲なんだけども、でもイスラエルの前に各個撃破されたというのか。

    山路:あと、その同じイスラム教なのに、そのイスラエルとは手を結んでもイランとは絶対に敵対するみたいな、その辺の感覚っていうのも。

    小飼:まず同じイスラム教と言いましたけども、スンニとシーアという差があるので。だから少なくともカソリックと英国教会ぐらいか、それ以上の違いあるわけですよね。
     だから同じとは言い難いわけですよ。アラビア文字を両方とも使ってますけども、ペルシャ語はアラブ語ではありませんからね。そう、だから文化が違うといえば文化が違うので。

    山路:なんか教科書なんかでも見るスンニ派とシーア派の違いって、何代目だったかの継承者がそれが正当かどうかみたいな、アリーでしたっけ? 4代目のアリー。

    小飼:よくご存知、はい。

    山路:それ、そんなに問題? みたいな感じが、もう異教徒からしてみると、それそこまで恨み骨髄に思う程のことなん? みたいな。

    小飼:そもそもムスリムから見たら異教徒というのは人じゃないんです。だからイスラム教徒ですか、キリスト教徒ですか、あるいはユダヤ教徒ですか?

    山路:どれでもない。

    小飼:どれでもないので人でなし、なんですよ。人でなしなんですよ。

    山路:キリスト教徒は人なんでしたっけ?

    小飼:キリスト教徒は、人なんです。要はアブラハム一神教則という言い方が成立してるかどうかわからないんですけど、リチャード・ドーキンスはそういう言い方をしてますよね。

    山路:ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の。

    小飼:そうそう、キリスト教がユダヤ教2.0で、3.0がイスラムであるというね。イスラムの場合、更に巧妙なことに、聖典はもう1種類1言語だと。これがキリスト教の新旧約聖書に関しては翻訳したものもやっぱり聖書だと言ってるんですけども。

    山路:あれはアラブ語で書かれたものでないと、認められないという。

    小飼:そう、そうなんですよ。なのでイスラムをよく知ってるけども、ムスリムでない入信してないという人はありえない構造になってるんですよ。前にもこれ言ったと思うんですけども。

    山路:結局、それっていうのが、外部からの批判というか、内部からの改革を起こしにくい仕組みにもなってるんだろうなとは思うんだよな。

    小飼:そうなの、だから僕はもうはっきり卑怯だと思う。非常に卑怯なやり方だなと。ここに関しては僕はもう本当にドーキンスの言ってることに、もう同意するしかないと。なんですけど、その一方で世界15億人でしたっけ?信者が1番多いのは、もうイスラムになるのかな(※編注:2015年のPew Research Centerのデータによれば、キリスト教徒が23億人、イスラム教徒は18億人)。

    山路:これでなんか単純にいくとは思わないけれども、何かいい動きにも繋がるといいですよね、というのは楽観的過ぎるんですかね? これによってまた何かよりごちゃごちゃした方向に行くのだろうか? この今回のイスラエルとUAEというのは。イランの反発を招いてまたどんどん泥沼になっていくのか、それともちょっとマシな方向にいくのか?

    小飼:いやうーん、まあ僕ももうわからんとしか。でも1つちょっと勘違いして欲しくないのは、いちおう建前としてはイスラエルというのはユダヤ人の国ではあるけれども、ユダヤ教徒の国ではないんですね。あくまでも現代的な政教分離の建前を守っている民主国家でもあるんですよね。
     なので、ムスリムのイスラエル人というのは実際います。いろんなとこで差別を受けてるみたいですけれども、それでもいます。いちおうだからけっこう、政教分離というのは大事な建前にしています。

    山路:ただユダヤ人の定義って、ある意味ユダヤ教徒にニアイコールだったりしませんか? 人種的な違いじゃなくて。

    小飼:確かにユダヤ人というのは、母方がユダヤ人であればほぼ問答無用でユダヤ人にしてくれますからね。入信しなくても。

    山路:だから、その辺のところっていうのが、ちょっとなあとは、本当に政教分離とは見てはわからんでしょうね。

    小飼:そう、その筈なんですよ。本来はユダヤ教徒イコールユダヤ人の筈なので、人種的な概念ではない筈なんですけれども。

    土木SFと「異星人との戦争は大変」

    山路:まあ有名になったユダヤ人の人種的な特徴というのがクローズアップされてるところはあるかもしれないですよね。じゃあちょっとまた毛色の違ったニュースで、ケレスの話とかからいきますか。

    小飼:おお。

    山路:政治の話の次は、科学の。

    小飼:『天冥の標』が本当にありそうな、という。

    山路:こういう話は何か楽しくていいですよね。

    小飼:楽しくていいですね。

    山路:準惑星ケレス。火星と木星の間ですよね、1番小惑星帯として有名な。

    小飼:小惑星帯の中では1番大きいやつですね、小惑星番号1番ですね、セレスは。セレスと言うべきなのかケレスと言うべきなのか。僕は英語読みついしちゃうのだけど。

    山路:そこんとこでなんか生命を育める可能性のある物質がけっこう海になってるという話で、あったかもしれないし、現在もしかたらそういう生命を生み出す可能性もあるんじゃないかと、言われてる。

    小飼:いたりしてね。

    山路:いたりする、意外に近いところですよね、だとしたら。セレス、まあケレスといえば、『天冥の標』というか。

    小飼:はいはい。

    山路:小川一水さんの。

    小飼:いやでも言い過ぎるとネタバレになっちゃうんだよ。

    山路:ああそうだ、アハハ。

    小飼:そうだよ。

    山路:おっと気をつけないとな。

    小飼:1巻以前ではその辺明らかにされてなかったからね。

    山路:だけどその、だって、その途中の舞台、たとえば3巻とか、3巻から5、6巻ぐらいの舞台がセレスっていうのは間違いないじゃないですか。

    小飼:間違いない。だから大事な舞台の1つですから。

    山路:大事な舞台のうんうん。その小川一水さんがまた。

    小飼:そうなんですよ。

    山路:新刊を出すという。

    小飼:新刊というのですかね、昔出た本の文庫化なんですけど、非常にユニークな話です。

    山路:へえ。

    小飼:そもそも土木SFというのがそんなに数ないので、でも数少ない土木SFというのはほぼ傑作間違いないので。

    山路:あれ? もしかして月のやつ? 月ではない?

    小飼:第6惑星も土木SFなんですけど、その意味でいえば、土木SFを複数ものにしてる作家でもあるんだろうな。

    山路:ああそれとは違うんだ。

    小飼:というのも、自己複製機械がメインのギミックなんですけども、普通、自己複製機械というと、それこそ人工細胞とかそういう感じなんですけれども、そうではなくって、土で出来てるんですよ。

    山路:あっ、それもしかして、昔読んだかも。ソノラマから出てたやつですか。

    小飼:はいはい、です。今度文庫化されるにあたって、僕が解説書いたんですけど。

    山路:おお。

    小飼:まぁファンタジーの世界で1番似ているといえば、ゴーレムですかね。土で出来てる。なんですけど、なぜかファンタジーの世界のゴーレムというのは、魔法で作られてはしても、ゴーレム自身がゴーレムを作りっていうの、なぜかあんまりやってないんですけど、自己複製型ゴーレムなんですよ。

    山路:オートマトンというのかな。

    小飼:はいはい。

    「ゴーレムの現代的解釈」(コメント)

    小飼:そうなんですよ。

    山路:この小川一水さんのSFのアイデアっていうのは、1巻1巻けっこう凄いんだよな。

    小飼:またTwitterのUIが変わってるよ。俺のところに行けないよ、もう本当にムカつくなあ。

    山路:アハハ、怒っとる怒っとる。朝日ソノラマ、うん、朝日ソノラマ好きな人多そうですよね、この視聴者の方々も。小川一水さんのでハズレって、今の所なかったと思うんだよな。どれも面白かったな。昔の何か『天冥の標』以前の作品も、凄いそれぞれ良かったですよね。もともと確かラノベで、ラノベ的なところでデビューされた方じゃなかったでしたかね?

    小飼:そうですね。もう10代の頃に。

    山路:え? そうなんですか?

    小飼:そうですよ。かなりデビュー早かったですね。

    「TwitterのUI変更は伝統芸」(コメント)

    小飼:しかも勝手にスクロールしやがるしね。

    山路:見つかりました?

    小飼:見つかったんだけども、勝手にスクロールダウンしやがった。Twitterのつぶやきからリンクを持ってこようしてるんだけども。いやでも本当PC版の、クソ過ぎる、付き合ってられないよこれ!

    山路:これから見ようと思ってたところが、スクロールしたりとかするんだよな。

    「勝手にスクロールは本当にイライラするよね」(コメント)

    山路:本当そうですよね。きっとページビューというか、広告とかを稼ぐためには、自動でスクロールして。

    小飼:出た。やっと出た。

    山路:本当? 不完全世界、ああ。はいはい。

    小飼:そうそう『不全世界の創造手』ですよ。

    山路:そうだそうだ。不全世界。

    小飼:ちょっと名前、損してるかもしれない。すぐにパッと読みが出てこない。

    山路:うんうん。読んだ記憶がなんかありますね。

    小飼:けっこう前の作品ですね。2008。かなりシブいです。本当に土木ロボットなんですよ、これは。あくまでも土木をやるために自己複製するんですよ。

    山路:じゃあこれは次回以降にまた詳しく。

    小飼:そうですね。

    山路:紙届いてからやりますか。

    小飼:そうですね、まだAmazonでも予約段階で、僕もまだ現物持ってる状態ではないんで。今日初めて編集の方から、リンクが、リンクのURLが来たので。

    山路:これ最近、小川一水さんの昔の作品の何というか、リバイバルというか再出版、多くないですか?

    小飼:そうですね。

    山路:しかも1つの出版社だけじゃないですよね。これなんか、これソノラマ、朝日文庫からですもんね。

    小飼:これはもともとソノラマだったので朝日文庫、そう。

    山路:『天冥の標』がやっぱ売れたのか、という気がするんだけれども、じゃあこれ小川一水さんの紹介したのでもう1つSF、なんか弾さんが紹介したいって。

    小飼:そうそう、1つあって、林譲治先生の『星系出雲の兵站』がこれシリーズ9冊目でついに完結します。

    山路:これ、5ですか?

    小飼:そう『遠征』の5で、その前に4つ出てるので、計9冊、9巻目ということになるのかな、これで。

    山路:じゃとりあえずリンクを。

    小飼:ついに完結します。最近のSFではむしろ珍しい宇宙人と戦争するやつですね。異星人と戦争するやつですね。

    山路:URLが長すぎてすぐに送れない。Amazonでコピーしたやつが、すみません、ちょっと時間かかるんで、とりあえず。え? ほんで、いかがでしたか? という9巻。

    小飼:やっぱり作者、人が悪くていいなという。

     
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