「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2023年01月24日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年02月07日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/01/24配信のハイライト
- 「別次元? の少子化対策」と「コロナ対策疲れ」
- 「自動生成コンテンツへの対策」と「MicrosoftのOpenAI投資について」
- 人はAIの手足になる
- 視聴者質問「天才と聞いてまず思い浮かべるのは?」と「南米共通通貨構想」
- 教員不足とジェントリフィケーション
- レオパルド戦車供与の意味合い
「別次元? の少子化対策」と「コロナ対策疲れ」
山路:今日めちゃめちゃ寒いですよね(笑)。
小飼:でも、もっとさらに寒くなるっていうふうに聞かされてたので、だから今日昼間のちょっと晴れて、ちょっとだけ暖かくなって、よかったなあっていう感じ、
山路:東京はまだ、
小飼:でも一番寒くなるのって、今晩からじゃなかったっけ?
山路:ですかね。東京なんかあまり雪とかたいして降らなさそうだからいいんだけど。
小飼:なんか日本の日本海側はすごいよね、熊本とかでも雪降ってたしね。
山路:天気予報とかに出てくる雪のマークがもう雪だるまが吹き飛ばされるみたいな感じのマークになってる、
小飼:熊本ってもう日本海側ではないね、もう博多とか北九州とかは、小倉とかはまぁ確かに日本海側だけれども、玄界灘。
「札幌めちゃくちゃ寒いです」(コメント)
山路:札幌大変そうだなあ。最高気温がマイナスですもんね。
小飼:僕も新千歳に閉じ込められそうになったことあったな、そういや、札幌に、YAPCでよかったと思う、講演に行ったら。僕は幸いにして飛行機に乗れなかったんだけども、飛行機どうしようもなくって、函館まで出て、なんとか(笑)、新幹線に乗って帰ってきたという(笑)、
山路:そんなことが、
小飼:でも日本はまだまだみたいで、中国だと黒竜江省でマイナス53度(笑)、イルクーツクでマイナス60度になったとか、ちょっとあれだね、南極点なみだね、でも南極でも確か、マイナス80度というのか、ドライアイス以下の温度まで下がるらしいですね。
山路:そんな地方に生まれたら、私は間違いなくすぐに家を出てると思いますけどね(笑)。
「札幌ってバナナで釘打てるの?」(コメント)
山路:札幌は無理なんじゃないかな。
小飼:北海道のほうが、もうこういう言い方もなんだけど、内地よりも暖かいよ、
山路:二重窓とか、
小飼:そうそうそう、
山路:よく弾さんが言ってた、特に本州とかの建物が寒すぎるぞと、断熱がぜんぜんできてないやろっていう、
小飼:その代わり東京とかのほうが、夏はエアコンで快適だったりもするんですけど(笑)、
山路:日本の建物の断熱とかがしっかりしてないっていうのは、昔ながらの伝統みたいなものを引きずってるからなんすか?
小飼:それは、すごく大きいね。
山路:冬は寒くあるべしみたいな感じの。
小飼:ただ、建物自体の寿命もすごい短いんだよね、日本の場合。
山路:鉄筋コンクリートなのに使い捨て感覚で建てて捨ててるみたいな感じがありますよね、
小飼:そうそうそう、おかげで経済回ってるという意見もないことはないんだけれども、でも、いまや建築廃材とかも立派な産業廃棄物なので、躯体を長持ちするようにしてほしいね。ただ、ヨーロッパの石造りの家みたいなのだと、じゃあ、電気きました、じゃ電線どこにひけばいいでしょうかと、かそういう問題が今度やっぱりまた出てくるからね。古い立派な家屋だけれども、どうしても、壁にくっつけてハーネスが見えてしまうと、壁の中に入れるというのが難しくなるので。
山路:それは想像したことがなかったな、
小飼:だから日本の安普請にも、いいところがないというわけではないけれども、でもやっぱり無駄に建てて無駄にぶっ壊すというのは避けたいところだから、だって、アルミサッシュってやっぱり戦後のものだから。あんなものがまかり通ってしまうというのは。まぁでも日本でも、タワーマンションとかだとそうせざるをえないんだけど、それでも二重サッシは入れられるからね。
山路:私ら、毛布膝にかけてますもんね(笑)。
小飼:いくら温暖化と言っても、寒くなる時には寒くなるのさ。みなさんも暖かくしてね。
山路:寒い話ついでに、これから行っときましょうか。異次元の少子化対策(笑)、
小飼:異次元の少子化対策……、
山路:寒い話ついでに(笑)、
小飼:異次元以外になにか具体的になにかやるっていうのは出てきたんだっけ、
山路:検討して、6月ぐらいになんか詳しいことを言うらしいですよ、あ、寒っていう(笑)、
小飼:あのさ、これ、もしかして別次元というのを異次元と混同しちゃってる?
山路:あるいは異世界転生ブームにあやかろうとしてるか(笑)、
小飼:そうそうそう、日本の人口はもはやどうしようもないけれども、別次元のalt日本では、これから少子化対策ができるんじゃないかという、
山路:分岐世界で(笑)、
小飼:そうそうそう、今から間に合う少子化対策があるんですか? みたいな、今から間に合う保険があるんです、「今から入れる保険があるんですか?」のノリで(笑)。だから、今さら少子化対策って言ってる時点で、
山路:そもそも人口動態動かすなんて、どの国も成功したことなんていまだかつてないじゃないですか、
小飼:増えてる国というのはまあ、移民で増えてるか、あるいは人権軽視で増えてるか、たとえばアフガニスタンとかまだ増えてますよね、
山路:でもフランスはいちおう、ちゃんと少子化対策してるか、
小飼:それでも2まではいかない、出生率が、
山路:そうですね、ギリギリ2いかないぐらいで、
小飼:減らないぐらいで、プラス移民がおもにアフリカ北部から入ってるので、それで人口が微増という感じかな。イギリスもやっぱりあちこちからの移民が来てるじゃないですか。
アメリカの専売特許じゃないんですよね、移民で人口を維持するというのがもはや、というのか、もう先進国が先進国であり続けるためには、やっぱり世界中にお願いして人に来ていただくしかないんだよね。
山路:これ、やっぱり少子化って、出来る限り抑えるべきなんでしょうかと。
小飼:人口爆発を抑えるほうが、全世界的には重要なことなので。だから、その意味では人類、なんとか間に合ったねと。人口爆発したら、今度はイナゴとかと同じで、食えるものを食い尽くしたら、ガツンと餓死してガーッと減るしかないわけです。だから、そういう人生を送りたいですかということですよね(笑)、人類だってそうなる可能性というのはいっぱいあったわけですよ。
山路:そこんところで言や、中国ももうなんか人口減少に突入という。結局、少子化自体は世界的なトレンドでは、
小飼:今年やっとインドが抜くんだよね。20世紀の初めには、もう2010年代にはインドが中国を抜くって言われてたんだけど、実際には今年なんですよね。なんで遅れたかって言ったら、インドのほうの人口増加というのも、当初予測よりも低かったから。
山路:ただこれ、今はリンク出したクーリエジャポンの記事で、中国の人口学者が言ってんのは、何か計算してみたら中国の人口って14億にもいったことないんじゃないかと(笑)、
小飼:実際、13億すらいってないんじゃねっていう意見もあります。その一方で一人っ子政策が一番厳しかった頃というのは、いや、これ人口統計に載ってない子供がだいぶいるんじゃないかと言うのも、
山路:なんたら孩子(ヘイズ)みたいな(※編注:黒孩子)、戸籍のない子供たちっていうのがよく言われてましたよね。
小飼:でも日本ですら、時々出るよね、要は親が出生届出してなかったという子供が、時々ニュースになりますね。アメリカとかになるともっと多いわけですよ。
山路:そうなんですか?
小飼:はい、たぶん日本ですら、数千人程度は、どんなに少なく見積もっても数千人は取りこぼしがいるだろうし、万のオーダーかもしれない。意外と難しいです。すくなくとも、役所のほうではもうペーパーワークでやってるので。たぶん、日本の場合は出生未届けよりも、死亡届のほうが多いと思う。けっこう死んだのを届けないで、年金をもらい続けてたっていうあるじゃん、ニュースになるじゃん、
山路:あるあるある、けっこうじゃあ日本の統計っていうのも、相当ズレはあるんでしょうなぁという。
小飼:きちっとやってても、やっぱりペーパーワークベースでやる限りは、そうなるよね。もう、それこそ発信機でもつけてないと(笑)、もう生まれた時からなんか、バイタルを計測するインプラントでも入れとかない限り、漏れゼロにはできないでしょうね(笑)。
「中国政府がコロナ放置してるのって、あの国なりの異次元の少子高齢化対策だと思うんですが、どうなんですかね?」(コメント)
小飼:それはうがちすぎだと思うけどなぁ、まぁ実質の白旗だよね。
山路:それは考えがあってとかじゃなくても、もうしょうがねえからって言う(笑)。
小飼:もうお手上げにした、手をあげる時にガツンと手をあげたというのは、これまた凄いなと、
山路:降伏の仕方が(笑)、
小飼:で、表向きはもうその他の対策もうまくいったし、今やってるやつというのはlethalityも、もう毒性も弱まってるからというふうに言って、もう国民の過半数はもでに感染して、このまま行けば、
山路:集団免疫、
小飼:集団免疫に、ただ集団免疫成立しにくいっていうのもまた、
山路:これしかし、仮にワクチン未接種の人がコロナに罹って、今大量に亡くなって、なんかに2、300万人ぐらいは亡くなるんじゃないかと言われてるじゃないですか。
小飼:そのオーダーで亡くなるでしょうな、だってアメリカの死亡率そのまま当てはめるだけでも、今中国、4倍弱ぐらいだから、それだけで400万ってことになる、えらい数に、
「共産党幹部はすでにmRNAワクチンを打っているのでは?」(コメント)
小飼:ああ、その可能性はあるけれども、それはちょっと口が裂けても言えないね、少なくとも今の中国はまあmRNAワクチンは認可してないから。
山路:さすがにコロナの死者って、いくらなんでもいろんなところの統計で不自然に出てくるんじゃないかと思うんですけど、それどうやって辻褄を合わせるんでしょうねっていう、
小飼:いや、ただそうは言っても、たとえばGDPとかっていうのは、数パーセントのズレぐらいというのは簡単に演出できるので。
山路:死亡者も1000人に一人とかだったらごまかしようが、なんかいくらでもなんかごまかしようはあったりするか、まあそれはそうか。
「人類はウイルスに負けたの?」(コメント)
小飼:負けたのっていうのか、人類滅亡してないでしょ。だからべつに負けたわけではないけれども、少なくとも音を上げたよね。コロナ対策疲れを、全人類的にしちゃったのはもうこれ間違いない。日本も、中国はもう何もしなくなったって言ったけど、いよいよ何もしてなくなるらしいしね。
山路:5類への移行をやるみたいな、あと屋内でのマスクも外すみたいな話を、
小飼:ああ、外すというのか、しなくてもいいよというふうに、
山路:5類への移行に関してどう思います、弾さん、
小飼:一つ言えるのは、今まで無料で受けられた,対策のサービスが軒並み有料になるっていう事だよ。
山路:ワクチン、これまで打ってなかった人なんかっていうのは、ますます打たなくなるというか。
小飼:で、病室足りるのっていうのも。
山路:本当にどう出るか、ちょっと読めないですよね。なんかせめて中国の春節がどうなるか見てから対策決めても良かったじゃないかと思いましたけどね。
小飼:いや、まあでもやっぱり中国は参考になるのかな、どうだろう。いや、でもPCR検査は、あれだけは真似するべきだったね。
山路:ああ、全数検査ね、
小飼:そう、あれだけは真似するべきだったね。できたし。
「自動生成コンテンツへの対策」と「MicrosoftのOpenAI投資について」
山路:PCR検査に関わってた仕事の人、えらい失業して苦労してるそうですけど、今、一気に失業して。ちょっとそのITのほうの話に行きますかね。また最近話題になってるAIの話なんですけど、Microsoftが出してきたのが3秒分の音声を入れるだけで、その人の音声を真似ちゃうという。3秒分ってすごくないですか?
小飼:これちょっと、実際のを見てみたいね。これ、まだデモとか見てないんだよね。
山路:あと、この音声に関するAIで言うと、そのDiff-SVCっていうのかな、声を、歌声で別の人の音声に入れ替えられちゃうっていうやつですよね、それがもうあんまり、
小飼:VTuber、すごいウェルカムだけども、でも、これってもう、フェイクボイスがいっぱい出てくるのも必須だよね。
山路:前回のフェイクニュースの話に時なんかは誰が言ったかっていうことが重要っていう話で、それこそスパム対策みたいな技術が導入する必要があるんじゃないかって話だったんですけれども、こういうフェイクボイスというか、そんなものっていうのも、ちゃんとしたコンテンツはもうこの認証マークがついてないとダメとかっていう方向に行くんでしょうかと。
小飼:でも、よく考えたらさ、マンガもアニメも絵の部分っていうのは、フェイクイメージなわけだよね。フェイクと言っちゃうとアレだけども、フィクションなわけですよね、非実在なわけですよね。だから、そうやって考えると完全にアニメーションをフィクションにするためには、声もフィクションのほうがいいんじゃないかという意見もあるよね、だれのものでもないという、
山路:なんか、ただそれはそうと、完全なAI制作コンテンツの世界に行く前には何かこう、既存のコンテンツのやつを流用されて、みたいなことが必ず段階としてはあるわけで。そうなってくると、本当にちゃんと流通できるのはもう承認マーク付き、なんかGoogleさんとか、あるいは国とかの電子透かし入りとかでないとみたいな世界が来るのだろうかうっていう、
小飼:その可能性がかなりある。
山路:ああ、ある? もう本当に、どのメールにもある意味、なんかSPFとかDKIMがネイティブで関わってんのと同じぐらい、
小飼:声紋もさ、いちおう個人認証にできるレベルでの個性はあるわけじゃん、実際に犯罪捜査でも使われるわけだし。
山路:けっこうそれはそれで、また何て言うのか、息苦しい世の中になんのかいなみたいな気もしますけれどもね。
小飼:なんで息苦しいかって言うと、もう自動生成コンテンツの重みに押しつぶされてという感じではあるけれども。
「篠田某の修羅場音声もニセと言い張るしかない」(コメント)
山路:これは偽物だって言い張りやすくなったとは言えますよね(笑)。たしかに、これだけ精巧になってくると、相当ヤバい動画とか撮られてても、これはAIだと、
小飼:ジョージ・サントスはすべてAIだったとか、そういうオチはない、待て、何だったっけ、日本だったらガーシーさんだっけ、
山路:暴露系の?
小飼:いや、暴露系の、要するに議員になったけど、日本に来てない人。じつは全部AIだったとかさ、そういうオチないかな、要するに全部、非実在だったというね、
山路:希望が持てますけどもね、そういうSF的展開になるんだったら。このAIに関して言うと、やっぱり今一番たぶん大手で力入れてんのがMicrosoftなんじゃないのっていう感じがなってくるんですけど、
小飼:ねえ、HoloLensの部門とかバッサリ切っといてあれか、もう全部AIのほうに、
山路:これ、ちなみに先にメタバースのHoloLens切った話のほう、ちょっとしとくと。あれ、全部切っただけじゃないにしても、AltspaceVR、
小飼:(コメントを見ながら)ChatDAN、そうだね、今ここにいる僕がAIでない証拠を見せろって言ったら、どういうふうにするのがいいのかな。
山路:たとえば、これが素数かどうかを聞いてみるとか(笑)、
小飼:で、わざと57は素数ですとかって言うのかな(笑)。57は本当によく素数に間違えられるからね。数学者ですら間違えるくらいだから、グロタンディーク素数という別名がついて(笑)、
山路:今時のチューリングテストって、ほとんどの人に解けないぐらい難しい話になってますね(笑)、
小飼:もう無理だね、
山路:ですよね。このMicrosoftの大胆な転換というか、もうメタバースを、
小飼:大胆な転換っていうか、けっこうこれからLinuxやるよっていう時も、ドカッとやったので、そういうのを見てるとあんま驚かないね。やっぱ来たって感じだね。
山路:これ、一番デカいのはOpenAIにすごい投資、1億3000万ドルを複数年にわたって投資するというような話をしてるらしいんですけど、かなり複雑な仕組みというか、OpenAIにどうやって払うのかっていうのが、なんかややこしい、どういうふうに投資を回収するのかっていうのが、今ちょっとリンク出したんですけども、かなりややこしいやり方になってますよねと。初期に、最初にまあ投資した人なんかにはそれをちゃんと投資分払って、さらにその後に従業員とか、その人に対する利益みたいなものを払って、残り75パーセントはMicrosoftが払い戻しを、
小飼:もしかしてこのディールも、AIにやらせたのかな(笑)、だから、どういうふうにするのがお互いの利益になりますかみたいなのやって(笑)、確かにちょっとぱっと見て「ええっ」てなっちゃうところはある、
山路:得なのか損なのか、よくわかんない。これは、すべて、ここんとこでいろんな投資したぶんとかOpenAIの利益から払って、すべてお支払いを終えたら、利益がすべてOpenAIのものとなり、OpenAIは営利団体となるみたいな感じにはなってんですけど、これってMicrosoftは結局、どれぐらい得するのかいまいちよくわかんないというか、いくらぐらいの利益をあげたら、いくらぐらい得するのかっていうのが、何かよくわからないんですけれどもね。弾さんだったら、このディール、受けますか、こんなディールあんまり見たことがないような気がするんですけど。
小飼:いちおうChatGPTに聞いてみようか(笑)。お前だったこれ受けるかっていったら、Would you accept this deal?(笑)、
山路:これってMicrosoftは絶対損しないようになってるんですかね、ある意味。つまりChatGPTとか、そういうものも全部Azure上で提供しますし、
小飼:まぁでも総投資額が、たかだかって言っちゃうとナンだけども、あれでしょ、thirteen billion dollors、130億ドルでしょ。マスクは個人でもっと(笑)、お高い買い物をしてるわけで、これ、全損したところでさ、
山路:Microsoftは痛くも痒くもない、
小飼:そうそうそう、Nokiaをまるまるすりつぶしているんだよ。
山路:「なんの成果も得られませんでした!」けど(笑)、
小飼:なんの成果も得られませんでしたでも、いいわけ。それですら、競合にOpenAIを渡さなかったという。
山路:はー、なるほど。
小飼:効用が残るわけ。
山路:なるほどなー。
小飼:それですら。だから、けっこう競合相手に買わせないという戦略というのもあるからね。それで自分とこで飼い殺しっていうのも、けっこうあるシナリオじゃん。でも、そうは言っても、OpenAIはけっこうMicrosoftのプロダクトとも、相性がいいと思う。
山路:イルカとか、なんとか先生とかよりもかなりちゃんとした回答を返してくれそうな気配はありますよね。
小飼:これ、OpenAIの製品やMicrosoft製品じゃないけども、誰かGoogleスプレッドシートからGPT3を使えるようにした、
山路:関数作った人が出てきたんですよね、
小飼:そうそう、事例があって、だからそれだけでさ、Office部門はホクホクじゃん?
山路:確かにな。
小飼:製品にAIを組み込むっていうのもさ、Azureに転がしといて、適当にAPI作っておくだけで。だから、あんま損をしない。
山路:いくらでも金の稼ぎようがあるというか、
小飼:(コメントを見ながら)買うならMicrosoftでしょうと。いやでもさ、やっぱり振り返ってしまうと、いっそMicrosoftがSunを買ってくれればいいのにってなんか、
山路:そこまで振り返るの(笑)?
小飼:うん(笑)。
山路:それはもう今さら詮ないことのような気もするが(笑)、
小飼:ただね、やっぱり何と言えばいいのかな、こういうAIの回答というのは、9割本当で、1割嘘みたいな回答があって、その1割嘘がどこに紛れ込んでるのかっていうのは知ってる人でないとわからないというのがあって、そういうとこのゴミ取りってどうすればいいのかなと。ただ、正確性が求められないところでは、もう本当に閾値を超えたなとは思いますね。
山路:たたき台作るのはね、
小飼:もう俳句とか、こいつらに全部書かせればいいんじゃないの、
山路:それは、俳句ファンからかなり恨まれそうな気もするけども、
小飼:でもさ、正しい必要はないわけじゃん。
山路:まぁ確かに(笑)そうだけれど、
小飼:そうそう、シンガーソングライティングとか、とてもいいんじゃないかという。
山路:まぁいいやつだけをピックアップするっていう仕事が人間には残るという、キュレーション……、
小飼:人間の仕事なのかどうかというのはアレだけれども、こう言うのもなんだけれど、正しいデータだけ食わせていけば、正しくなるのかと言ったら、どうもそうはいかないようなんだよね。本物っぽく見える、要は入力と出力を比べて、要は差異が最初になるような、
山路:損失関数を最小にするってやつですよね、
小飼:そうそうそう。
山路:ディープラーニングの基本、
小飼:結局、比べてるのはコサイン類似度(2つのベクトルが「どのくらい似ているか」という類似性を表す尺度)でしたみたいな(笑)、
山路:前回もちょっと出てた、Wolfram|Alpha、そういう数学なんかのためのエンジン、それなんかとうまくこのChatGPTとかを組み合わせられないかって議論なんかも、もう出てますよね。
小飼:もちろん。
山路:論理的な話になった時は、そういうものにタスクを振るみたいな仕組みができないかと。
小飼:あるいは両方比べるとかね。
スタッフ:ChatGPTに聞いてみました、
山路:ChatGPTに聞いてみた?
小飼:これはなかなかいい仕事ではある、
質問:「AIが生み出した利益は誰が受け取るべきか?」
ChatGPTによる回答:「AIが生み出す利益は、多くの場合それを開発提供する企業や組織によって受け取られます。しかしAIの技術は社会全体に影響を及ぼしますので、それに応じた社会的な責任も存在します。AIの技術はビジネスや産業において革新的な成果をもたらし、経済の発展に寄与することが期待されています。しかし、それと同時に労働力の置き換えやプライバシーの侵害などの問題が生じる可能性があります。そのためAIの技術を持つ企業や組織が社会的な責任を持つことが求められています。それにはAIによって生み出される利益を社会全体に分配することが含まれます。たとえば労働力の置き換えによって生じる不利益を救済するための取り組みや、プライバシーの侵害に対する対策を講じることが求められます。また政府や研究者もAIの技術の発展に伴う問題を認識し、適切な対策を講じることが必要です。これで法的な枠組みの整備や研究開発の支援が含まれます」
小飼:なかなか中学生新聞に出てくるような(笑)、
山路:中学生がこれ、あげてきたらAをつけざるを得ないというか、大学生が出してきたら、可ぐらいでとりあえず単位は取らせてやるが、みたいな(笑)。つまんないけど(笑)、つまんなくはある、
小飼:人間が扱うデータというのも、100パーセント正確性が求められるというのは非常に少ないわけだよね。たとえば、画像とかっていうのは、もう静止画像でも、正しいデータというのは10パーセントしかないわけじゃん。JPEGとか。これが動画ともなると、フレーム間の差とか取ってるから、1/100とかそういう(笑)、
山路:補完してるわけだから、
小飼:そうそうそう、そこにモスキートノイズとかがあっても、気にならないじゃん。だからやっぱり絵とかとの相性とかっていうのはいいよね。いいけれども、指の数がおかしくなったり(笑)。
山路:あと、髪の毛がラーメンの丼に入って、それをすすってる女の子の絵を、AIが生成してましたよね、
小飼:あれはいい、ほんとに。あれは本当に、なんかいつのまに永久機関を発明してるやんおまえ、みたいな(笑)。ソバージュのソバが蕎麦なわけね(笑)、
山路:自分の画像生成AIで、自分をタイムトラベルなんていう人も出てきたりとかね、
小飼:あと、そうそうそう、昔の人と一緒にセルフィーを撮ってたりするやつね。
山路:こういうのは時代考証が多少間違ってたとしても、みんな目くじら立てたりはしないわけだし。
小飼:でもな、やっぱり57が素数と証明しろって言ったらさ、証明しちゃうというのがさ(笑)、
山路:しかも説得すると、考えを変えるってあたりが非常になんか人間っぽいですよね(笑)。
小飼:かえって、仕事をいっぱいしてくれる分野と仕事が増えちゃう分野と、新しい技術っていうのは往々にしてそういうものではあるけれども。
「どこの株を買えばAIが生み出す利益を自分のものにできるかな」(コメント)
山路:まさにそれですよ、今みんなが考えてるのは。
スタッフ:AIに聞いたらいいんじゃないですか?
山路:ChatGPTに聞いてもなあ。新しい物事が生まれる時っていうのは新しいテクノロジー自体を提供する会社じゃなくって、その周辺で儲けるところに投資しろっていうのはよく言われることだったりしますよね、
小飼:まさにその周辺というのか、AIが必要なコンピューティングリソースを提供できるわけだよね、Microsoftは。
山路:クラウドとか。あるいは、周辺って言うんだったら、それこそ半導体作ってたりとか、その辺ということになるのかね。
小飼:なるね。
山路:私も自分が買うとしたらそういうふうに考えて買いますかね。
人はAIの手足になる
小飼:でもさ、さっきのChatGPTの模範解答じゃないけれども、やっぱり人間がやるには辛いものというのをAIに投げてってしたいんだけど、現実はむしろ逆になりそうだよね。