「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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今回は、2023年02月07日(火)配信のテキストをお届けします。
次回は、2023年02月21日(火)20:00の配信です。
お楽しみに!
2022/02/07配信のハイライト
- 「スシロー事件の影響」とトルコ大地震
- 「首吊り気球並みにでかかった」中国の気球
- 「ウクライナへのクラスター爆弾供与」とお勧め『伊藤潤二マニアックス』『ヘルドッグス』など
- 視聴者質問「PTAへの参加が憂鬱」と「n分n乗方式」解説
- 同性婚問題と「結婚については国のほうが民に対してサーブする」
- 「広告とは一体何だろう」と「AI生成コンテンツと電子署名」
「スシロー事件の影響」とトルコ大地震
「本日はスシローから」(コメント)
小飼:けっこうあれは難しい問題で。日本であの類型と、なんだったっけ、冷蔵庫に入ってる動画とか、10年ぐらい前にあったけども、でもそれではなくて、グリコ森永事件ですよね。異物混入事件として捉えた場合というのは。そうなるとかなりシリアスに、まぁかなりシリアスな対応をしてますけれども。
山路:刑事でも十分に立件されるという、そういう、もっと異物混入とかなんかのダメージを与えたみたいなことでちゃんとしっかりしょっ引くみたいな、
小飼:傷害罪とかで立件しようと思えば立件できますよね。グリコ森永事件の時にも、かなりの損害がグリコと森永に出ましたし。アメリカの類似の事件で思い出されるのは、Tylenol事件ですね、タイレノールにcyanide、青酸化合物の混入があって。その時は全回収しただけではなくて、ボトルの構造を変えたんですよ。
山路:あー、1回開けると、
小飼:そう、混入されたらすぐわかるように。
山路:森永の事件あってから、日本もだいぶ変わり、違うか、日本はグリコ、
小飼:グリコ森永事件、だから結局犯人捕まらなかったけれども、あの時というのは。まぁでもタイレノール事件にしても、グリコ森永事件にしても、あっちは本当にテロリズムと言っていいぐらいで犯人もちゃんと隠れちゃいましたし。いまだに捕まってないですけども、今回のは堂々と自慢してるという(笑)、
山路:本当にな(笑)。それにしても、なんていうのか、バカが世間に与える被害がどんどんテクノロジーによって大きくなる感じありますよね。
小飼:テクノロジーによって大きくなる……、
山路:今回の場合、YouTubeでしょ?
小飼:実害を受けた店舗は一つだけだけれども、同じことが他の店舗でも起こりうるっていう、ポテンシャルがでかいんだよね、こういうものって、
山路:もしもこれがYouTubeで公開されてないんだったら、それこそ仲間内の悪ふざけだったら、
小飼:YouTubeじゃなくてTik Tokだ、
山路:Tik Tokだっけ、
スタッフ:今回のやつはちょっと意味合いがすこし違ってて。身内でしか見れないところに出してた動画を、その人たちが見えるTwitter動画とかYouTubeとかで拡散した結果、
小飼:いや、だから同じじゃん、
山路:同じだと思うけどなぁ(笑)、
小飼:だから、こないだのはアフレコっていうやつと同じだよ、
山路:あ、オフレコね、
小飼:そうだ、アフレコっていうと吹き替えの意味になっちゃうね。発音はあんまり変わんないんだけどね、まぁいいや。どこがオフレコなんだよ。
スタッフ:ちょっと私気になったんですけど、これで株価がけっこう動いたりしたじゃないですか、
小飼:まぁ要は風説の流布の一環としてやったんじゃないかというね。でも、似たような意見って確かグリコ森永事件の時にも出てたような気がするけどね。
山路:ああ、そういうふうに、
小飼:でも、今ほど株式市場が簡単にアクセスできる時代ではなかったけどね。
スタッフ:いや、これを使うようなことって今後やっぱり、やる人とか出たりするんですか?
山路:いや、それは出るやろなぁ。
スタッフ:ただわからないじゃないですか、
山路:わからないっていうのは?
スタッフ:世間としては、それが狙ってやってるものだとか、
山路:狙ってやってるかどうかって関係がある?
スタッフ:関係がないんですけど、こういうのって法規制とかもでどうしようもできない?
山路:まぁそうやろね。
小飼:なんでどうしようもできないっていうの、減らすことはできるじゃん。
山路:YouTubeだったりとか、Tik Tokとか動画サービスなんかで迷惑動画をすぐに止めるとかっていうのは一つの方策だし、あとは法規制で言うんだったら処罰をキツくするとかなんですか?
小飼:じつは処罰をキツくするっていうだけでも、だいぶ減るんだけどね。実際にグリコ森永事件とかっていうのは、それほど模倣犯出なかったわけじゃん。懲罰的損害賠償を導入しようっていう意見がありましたけれども、日本の場合、何で懲罰的損害賠償が導入されてないかって言ったら、やっぱ大陸法だからかね。
山路:判例でっていう、
小飼:いや判例でなくて、だから判例が弱めなんだよね。
山路:そうか、そっちは英米法か、今逆になっちゃった、
小飼:判例が強いのは、まぁでも日本でも実際は判例強いよね、何だかんだ言っても。判例ができてナンボだよね。
「今回の騒ぎで模倣犯減りそうだけど」(コメント)
小飼:減るかなー。というのか、でも回転寿司とかの運用が変わらざるを得ないっていうのはね。いや、でもさ、地下鉄サリン事件のおかげでゴミ箱なくなっちゃったじゃん。戻ってきてないじゃん。そういう非可逆的な、不快なレギュレーションがそのまま残るっていうふうになっちゃわないといいんだけどね。
山路:回転寿司でもね、全部ドーム付きになって、開けるのにちょっと認証いるみたいな(笑)、なんかそんなふうに、
小飼:飛行機のセキュリティでもさ、靴脱がされたりとかさ、戻ってきてないじゃん。
山路:結局、バカが増えると社会的なコストが高くなりますわな、本当に。
小飼:(コメントを見ながら)回転寿司よりも三浦瑠麗さんだっけ、10億円ね、はい。
山路:まぁしかしそれにしても、いくらぐらい賠償請求されるんでしょうね。
小飼:いや、いっぱい請求しても、たくさん取れないですよ。何だったっけ、電車、山手線止めたりしても、何億円も実害があっても実際、何億取れるかっていったら、別の問題でしょう。
山路:まぁそうですけどね。ただ、ある程度ちょっと見せしめというか抑止効果にはなんのかな、みたいなふうには思いましたけども。じゃあちょっと今日のやつで、さっきのニュースを見るたびにどんどん被害者が増えていくトルコ地震、
小飼:ねえ、
山路:なんか記事によってはそれこそ1万とか2万とか亡くなった方、行くんじゃないかみたいな推測をしているところもありましたけど(編注:2月13日時点では、トルコとシリアの両国ではあわせて3万3000人以上が死亡)。
小飼:出るでしょうね。トルコとシリアの間で、アナトリア半島の付け根、けっこう範囲広いんですよね。地震の。これ、日本に照らし合わせると瀬戸内が全部一斉に揺れたみたいな。
山路:えー。そら怖いっすね。
小飼:けっこうでかい。でも、けっこう地震で何万人と亡くなる地域でもあるよね、アナトリア半島って。
山路:前もでかい地震が起こってましたね。なんかテレビの映像を見てると、
小飼:(コメントを見ながら)あ、もう死者5000人超えて、僕が今朝見た時には千何人だったんだけども。
山路:それなりの高さのあるビルが、レンガ積みみたいなのがあっさり崩れてる映像ってのがよく流れてましたけど、わりとよく起こってるわりにはあんなもろそうな建物で大丈夫なんかいみたいなふうには、
小飼:日本ほど建物の耐震性っていうのは、全世界的に弱いよね。日本はだから断熱ではショボいけども、耐震性ではわりと、でもわりとしっかりしてても、なお阪神淡路大震災の時には今回のトルコ地震の時の五階ぐらいの建物というのも、ペシャンコになってたわけじゃん。
山路:そうか。それは対策の甘さっていうふうには言えないわけか。
小飼:いや、でもトルコってけっこう大きな構造物があって、明石大橋よりも長い吊り橋も今ありますし。トルコですよ。そっちはちょっと忘れちゃったけども、それよりもひとつ前の吊り橋っていうのは日本が建ててた。日本のがJVが建ててたはずなので。だから、そっちのほうはまぁ、たぶん、
山路:耐震構造が活かされてるんじゃないかと、
小飼:日本の橋並みに耐震設計はされてると思うけど。でもべつにトルコだけじゃなくって、イランとかの地震でもバタバタ倒れてるじゃん。確かにもう少し何とかしろよと、
山路:鉄筋とか、筋が、柱が通ってる感じじゃないというか、
小飼:筋交いすらまともに入れてないんじゃないかという、
山路:そうそう、
小飼:筋交いという言葉があるのかという。
山路:ただ積んでるだけ、みたいな感じがしちゃうんですけどもね。
「日本の木造家屋だったら生きたまま焼かれる苦しい最後」(コメント)
小飼:ああまぁ確かに、僕の実家が全焼した時も、あっという間でしたね。
山路:経験者ですもんね。
小飼:ただね、それはねはっきり言って建物の耐火設計がもうはっきり言って、なってないというのか、何も考えてなかったという。だから、火のまわりがとてもいい。
山路:それにしてもなんか、地震予知ってできないもんすね。
「弾さんの本が多かったからじゃない?」(コメント)
小飼:いやあ、確かに本は多かったけど、燃えたのは、いやでも本当に、焚き火のような家だよな、今振り返ると。
山路:焚き火のような(笑)、
小飼:どういうことかって言うと、茅葺き屋根だったのに、そこにトタンを拭いたのね。なぜか知らないけど。だから、前住んでたのが父方の祖母なんだけど、その代のときにそういう構造になって、それが煙突代わりになって、とても火のまわりが速かった。
山路:怖。茅葺きの上にトタンを載せた?
小飼:そうなの。
山路:それは変なことをしましたね。
小飼:いや、まぁでもそれやんないとたぶん雨漏りとかしたんじゃないかな。だから、茅のままで吹き直しっていうのはかなり手間暇もかかるので。たぶんトタンのほうが速くて安いということでそうしただろうけれども。おかげでそれが煙突になってくれて、とてもよく燃えたな(笑)。
山路:怖(笑)。それにしても地震予知ねえ、
小飼:(コメントを見ながら)トルコ鉄筋入ってるはずだけど、でもちゃんと筋かいを施工してるのかな。こういう縦横だけだと、やっぱ崩れちゃうよ。こういう斜めのやつも配置しておかないと。もちろんそれも鉄筋で手抜きされると、もうアウトなんだけどね。日本だってけっこうあるじゃん。それのケースというのは。
「トルコは先進国でいいですか?」(コメント)
小飼:OECDのメンバーではあるよね、確か。もちろんNATOのメンバーでもあるんだけども、でも、EUにはなかなか入れてもらえないんだよね。
スタッフ:なんか今ちょっと調べてたら、トルコって去年の11月23日ぐらいマグニチュード6.1の地震があったりとかしてみたいです。
小飼:地震がいっぱいある国ではある。日本ほどではないけれども。地中海一帯というのは地震あるんですよ、イタリアもあるでしょ。なんだけども、どう見ても日本みたいな対策はしてないよね。
山路:それは国民性なのか、歴史的なものなのか、
小飼:あるいはたんに頻度の問題なのか。
山路:トルコ、地震研究、進んでてもおかしくなさそうな気がするんだけど、でも地震研究進んでも予知できるかどうかはまた別問題だしな。
小飼:いや、研究しててもなお阪神淡路大震災だったり、東日本大震災だったり、どうしようもないやつ、やっぱり地球に比べると人類ちっちゃいんで。
スタッフ:ちょっと不思議に思ったんですけど、地震の研究とか、地震を調べたり調査するっていうのは、
小飼:(コメントを見ながら)エルドアンの20年、竹中平蔵の20年、けっこう、いやそれはちょっと比較に、それはやっぱりリンゴとミカンを比べるってやつじゃないですか、今コメントに対して返事してるんだけど。今なんて言った?
スタッフ:地震を調べたりするとかっていうのは、つまり地球を調べたりするっていうことなんですか?
小飼:そういうことです。
スタッフ:私たち、そんなに知らないっていうことですか?
小飼:知らない、知らない。
山路:プレートテクトニクスみたいなのはわかってても、それでもまだ予知できないっていうのは不思議な気はしますけどね、
小飼:いや、だから知れば知るほど地震って予知できるわけがないよなという(笑)、結論になるという。プロほど予知無理ですって言うもんね。
山路:これ、他の惑星とかなんかでも、たとえば火星震は観測されたみたいな話とかあるじゃないですか、月震とか、
小飼:(コメントを見ながら)まぁ津波が定期的に来てた東北で原発してたのが間違いなんだけども、福島第一原発に関しては一番の間違いというのは、直すチャンスがあったのに、それを安倍政権の時に棒に振っちゃったことだよね。これはもうはっきり記録があるので。そう、電源喪失、これだとする可能性があるんだけど直しませんかって、いやそんなわけないじゃんって流しちゃったんだよね。
山路:さっきナオヤさんが言いかけてた、そういう地球で地震が起こる仕組みみたいなっていうのは、他の惑星とかでも火星震とかあるじゃないですか、あるいは月の、
小飼:月震もある、
山路:月震もあるって、かなり活発に地震が起こるのは、まだ地球が若くて元気だからなんですか?
小飼:太陽系の岩石型の、地球型って言い方しますけど、の中では地球が一番大きいわけです。一番大きいというのは一番冷えるのにも時間がかかるわけです。
山路:冷えるのに。
小飼:そう、だからじつは地震というのは地球がだんだん冷えていく過程の現象なんですね。火山とかもそうだし。
山路:なるほど、なんていうか、ぎゅーっと冷えていく時にひび入ったりとか、そのいろんな、
小飼:ぎゅーっと冷えていく、要は重力で収縮するだけだと地球の年齢も、今は46億年って出てますけれども、そんなに持たないだろうということで、核崩壊で温まってるっていうこともわかったわけで。そうなんですよ。放射性物質の崩壊というのも、それもまた冷却過程ですよね。
山路:じゃ、ずっと先にはもう本当に冷えた、あんまり地震の起こらない星になる?
小飼:まぁいずれはだけれども、でも太陽に飲み込まれるほうが早いんじゃないかという、
山路:ああ、そうなんですか(笑)、そうか、そっちのほうが早くなる、
小飼:あと60億年もあると。あと、じゃあ地球が一番、地震学的に活発かというと、上には上がありまして(笑)。木星の衛星でIo、
山路:イオ、
小飼:イオというのがあって、あれは木星の力でシェイクされているので、潮汐力で。
山路:地球よりも地震が多いってこと?
小飼:というのか、地球以外で初めて活火山が見つかった。
山路:はー、はいはい、聞いたことあるな、そういや。
スタッフ:つまりそれは汐の満ち引きのように地盤がグーッと歪んでいくというか、
小飼:そうです、地殻が。地球よりもずっと大きい天体に、月よりもずっと近いところを回ってるわけなので、それはよくシェイクされますよね。
山路:じゃあイオとかはちょっと人は住めなさそうな感じかな、
小飼:かなり無理だね。
山路:人間、少なくとも人間は。
小飼:原野商法で、太陽系の不動産を売るというのがあるけれども、やっぱりイオが来たらもう真っ先にお断りするべきですよね。
山路:いや、それがイオじゃなくても(笑)、
小飼:まぁでも火星だとどうなんだろうね、太陽系最大の山というのはオリンパスモンスと、要は火星のオリンポス山と言われてるけれども。もう完全に死火山と言っていいのだろうかね。どうなんでしょう。
山路:そこも面白いですよね、火星探査でいろいろ見えてくるといいですけど。
小飼:ちなみに2番目は日本、地球にあるハワイ島とのことです、
山路:マウナケア、
小飼:てっぺんはマウナケアになりますけれども。この場合てっぺんではなくて、ハワイ島というべきですね。
山路:なるほどね。
小飼:(コメントを見ながら)同じです。オリンポス山でやってた、そう、オリジナルのギリシャのほうのオリンポス山で、
山路:そこでやった競技会がオリンピックなんですよね、
小飼:そうそうそう。
「首吊り気球並みにでかかった」中国の気球
山路:あと、今日話題になっていたと言えば気球ですよね。
小飼:ああ(笑)。気球といえば首吊り、あ、ちょっと違った。『首吊り気球』っていう作品、知りません?
山路:知りませんね(笑)、
小飼:伊藤譲二さんの。今ね、『伊藤譲二マニアック』というのをNetflixでやってるので、そこでも首吊り、アニメ化された『首吊り気球』というのがあるので、首吊り気球で、
山路:そもそも怖すぎて、あの人の漫画なかなか読めないんですけど(笑)、
小飼:Twitterで彼にフォローされててちょっとびっくりしたんだけど、
山路:へええ、
小飼:なぜか伊藤潤二先生と相互フォローになってたので、
山路:Netflix確認してみますわ(笑)、寝る前はやめとこ。
小飼:ケニアのWi-Fi気球は、あ、そうだ、糸柳君もちょっと、どこか行っちゃってるんだよね、Wi-Fi気球で思い出してしまったけれども。まぁでもここでの話題というのはこないだアメリカが大西洋沖で撃墜したやつですね。
山路:これ、気球って撃ち落とさなきゃいけなかったんですか、
小飼:アメリカの言い分には、じゃあこれはもう偵察機材だと、reconnaissanceだと。なんだけれども、できることは何かというふうに言ったら、偵察衛星とあんま変わらないだろうと。スパイ衛星変わらないだろうと。スパイ衛星はアメリカももちろん持ってますし、世界で一番いいのを持ってますし、ロシアも持っている、中国ももちろん持ってる、日本ですら持っている。ので、今さら気球ごときに見られたところで大丈夫、だけれども、領空侵犯されたのは確かなので、という言い分ですね。
山路:これ、撃ち落としちゃいましたけど、捕まえるわけにいかなかったんですか?
小飼:で、捕まえるって簡単だと思うでしょ? そんなに速いものでもない、ただプカプカ浮いてるもんだし。これが難しい。
山路:これってどれくらいのところ飛んでたんでしたっけ?
小飼:なぜ難しいかっていうと、今回の米空軍の発表だと6万5000フィートって言われてて、2万メートルです。これ、もちろんヘリコプターはそんなに高く飛べませんし、普通の飛行機もそこまでは上がれません。だから、なかなか到達するのが難しい、
山路:宇宙に足を踏み入れかけてるような高度なわけですね。
小飼:だからロケットでちょっと通過するだとか、撃墜するとかっていうのはそんな難しくないんだけども、じっとしててそーっと捕まえるっていうのはまず無理、
山路:気球しか行けないところなんだ、
小飼:気球しか行けないところ。
山路:行けないというか、滞在、滞空できるのが気球だけってことか、
小飼:厳密にはそういう飛行船を作れば飛行船も行けるというツッコミはありえますけれども、要は浮力を利用して浮上する飛行物体でないと留まれない。まぁ後はU-2みたく、ものすごい細長い翼を持った飛行機をゆっくり飛ばす、じつはNASAもまだU-2持ってるんですよね。
山路:そのU-2だったら行けたんですか?
小飼:行けたけど、そーっと捕まえるのは無理だよ。だって飛行機、翼があるものというのは推力があって初めて揚力を得られるので、じっとしてられない、
山路:進んでないとダメなんですよね、
小飼:そうなんです。あれ、少なくとも翼に風を受けていないとダメなわけです。だから、もちろん捕まえるというのは無理です。気球を捕まえることができるのは気球だけです。だから首吊り、違う(笑)、どうしてもあれだな、やっぱり、そっちに行ってしまうな、
山路:そこで首吊りと結びつくっていうのはすごいことだけどな(笑)、
小飼:今回、F-22はミサイルを打ったんですけれども、F-22も、この高度には到達してないです。だからプレスリリースをよく見ると、下のほうから打ってます。だから6万までは上がったんだけれども、気球よりも下のところからミサイルを発射してます。だから、これもヒントになります。ちょっと皆さんに問題です。じゃあ、風船を、風船ってどうしても言っちゃうな、英語だとどっちもバルーンなんですよ、風船も気球も、を撃ち落としなさい、と言われました。じゃあ、なんで地上発射のミサイルじゃないんです、Patriotとかではなかったんでしょう。
山路:なんでF-22からの、
小飼:まぁF-22に限らず、なんでAAMだったのか、要は飛行機から発射するミサイルだったのか。戦闘機なので、機関砲も持ってます、バルカン砲も持ってます、だからなんでバルカン砲じゃなかったのか。
山路:ミサイルだったのか。
小飼:空対空ミサイルも、F-22は少なくとも2種類持ってます。どっちかっていうとF-22の主兵装は今回使ったサイドワインダーではなくて、AMRAAMって呼ばれている電波誘導の、レーダー誘導のミサイルなんですよね。そっちは使わなかった、なぜでしょう?
「熱を発していないから」(コメント)
小飼:おお。いや、熱を発していないはずだったら、なんで赤外線誘導? じつは新しいやつなので、赤外線イメージ誘導なんですけれども。
「動くから」「高くて届かない」(コメント)
小飼:あれくらいの高度だと、マイナス50度ぐらいなんですよね、背景は。それに対して太陽で温まってる状態なので、だから十分ボヤンと明るく見えます。ミサイルの目からすると。
山路:それはもう本当、熱でターゲッティングできるからという、
小飼:ここでアメリカの立場になってみましょう。皆さん、また風船って言ってしまった、気球がやってきました、外国のスパイ機材が乗った気球です。あなたなら、どうしたいですか、とにかく、できるできないは置いといて、どうしたいですか、あなたがアメリカ政府の立場だったら。撃ち落としたい?
山路:できれば無傷で手に入れたい。
小飼:そうですよね、できれば捕まえたいですよね。だけれども、捕まえるというのはアメリカの技術を、現在のアメリカの技術を持っても不可能だと、さっき言った通り、じつは難しいと。あれだけ高高度なところにプカッと浮いているものというのをカッと捕まえるのは難しいと。じゃあ次善の策は何か?
山路:まぁ落とす、
小飼:でも同じ落とすにしても、大抵の気球というのは下に、下にぶら下げてるものをゴンドラと言いますけども、をぶら下げてますよね。そこだけでも回収できないかと。今回アメリカが目指したのはそこなんですよ、だから表向きは地上に落ちてきたら、けっこうな被害が出るから海まで出るのを待ってたって言いましたけれども、実際のところはゴンドラをなるべく無傷で回収しようと思ったら、それが一番いいですよね。まさにそれをやったわけです。それで何でAMRAAMではなくって赤外線誘導のサイドワインダーを使ったかって言ったら、風船のほうだけ落としたかったわけですよね。だから、首吊り気球だと首のほうですね、縄の下の部分というのはそのまま残したかった。
山路:サイドワインダーで照準できるほうを、
小飼:そう、だからあの撃墜映像を見ても、ゴンドラのほうは殆ど無傷でしょ、その時の状態で、あれ見事ですよね。そうなんですよ、拿捕したかったんですよ。捕まえたかったんです、撃墜じゃないんです、したかったことというのは。
山路:これ、なんかキャッチの方法って考えてたんですかね、落ちてくるゴンドラをより完全に、安全にというか損傷なく、
小飼:今回の方法というのは前から考えてたでしょうねというのも、今回が初めてではなくて、その空軍のプレスリリースでしれっと前政権の時にも少なくとも3回、同様の気球来訪というのがあったぞって、しれっと書いてあったんですよね、しれっと(笑)。
山路:じゃあもうけっこうシミュレーションとかもしてるわけだ、
小飼:だから、トランプ政権の時にはシカトしてたんですね(笑)。でも今回、何で領空侵犯してたのに落とさないんだよって大騒ぎしてたのはね、どっちかっていうとGOPの人たち、
山路:共和党っていうこと?
小飼:うん、だったのに、おまえらが政権の担当してた時には何もしなかったじゃないかという(笑)、
山路:なるほど、確かにそれはちょっと笑えるな(笑)。じゃあ今までも散々あったと、ある意味、共和党が騒いだからこういうふうになったとも言える?
小飼:とも言えるですし、今回あれは中国がうちのものですっていうふうに言って、コントロール不能になったのでって言いましたけれども、じゃあ、ここで問題です、気球って全くコントロールできないものなのだろうか?
山路:なんかガスとかをプシュっとやってコントロールみたいなこと、聞いたことがありますけど、