「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2023年09月19日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2023年10月03日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2023/09/19配信のハイライト

  • iPhone 15 Pro、どう?
  • Unity問題と「素材を売るビジネスは難しい
  • 「AIとクリエイター」とUAWストの「週休3日制」
  • 視聴者質問「面白かった本」「人生初の体験」「過去の思い出」
  • 糖尿病治療とメタンロケット、リチウム鉱脈4000万トン、温暖化のこれから
  • 「今年のイグノーベル賞」と「ジャニーズ問題と企業」

iPhone 15 Pro、どう?

山路:まぁしかし9月に入ってもう後半だというのに、この暑さですよ(笑)。

小飼:あと、もう秋分まで1週間ないんだよ。

山路:マジか(笑)、お彼岸、

小飼:けっこう日が落ちるの早くなったし、日が落ちてから聞こえてくる虫はどうも蝉じゃなくて鈴虫なんですけども。

山路:しかしなんか日中の気温がぜんぜん下がってないという、

小飼:だからやっぱりまだ日中歩けませんね。

山路:感覚的にバグる感じ、ありますよね。太陽の傾き具合と気温の関係みたいなことが。

小飼:そうそうそう。秋分さんが来るあたりで一挙に下がってくれるといいなぁ。

山路:最近めちゃ蚊に刺されるようになったんですけど、蚊がようやく活動できるようになったらしくって。35度ぐらい日中ある日っていうのは、けっこう蚊が活動できないそうですよね。今ぐらいが蚊にとってはじつは一番いいのかもしれないですけどね。

小飼:じつはタワマンのてっぺんで一ついいことっていうのは蚊も少ない。じつはけっこう標高差でありますね。上に人が多くいると一緒に蚊を連れてきちゃうっていうのはあるんだけれども、外から入るっていうことはまず考えなくていい。

「タワマンってゴキブリ出るの?」(コメント)

小飼:ゴキブリも少ないですね、というのか、うちでは出たことないですね、ゴキブリは。

山路:関係あるんですか、

小飼:蚊は人が連れてくるのが。

「札幌今22度で半袖だと寒い」(コメント)

山路:ああ、そうなんだ。

「12階に住んでいる人は、セミは来る?」(コメント)
「タワマンのてっぺんて暑そうって言うけど、暑いですか?」(コメント)

小飼:そう、基本的に確かに暑くはなるんですけども、うちの場合、リフォームの時に断熱材も入れたので。それもあって、まぁ暑いけどれも、てっぺんゆえに暑いという暑さではないと思う。

「下に飲食店が入っているとゴキ必至」(コメント)

山路:確かにね、でも下に飲食店入ってるって、あんまり高層階ではないとは思いますけれどもね。この9月といえば、Appleファン大喜びの、iPhoneの発表が。

小飼:ついにLightningでなくなったという。

山路:弾さんは予約したんですか?

小飼:まぁ、僕は毎年してますね。というのも、ちゃんと一つ世代が下がったのは妻や娘に譲るので。

山路:ちゃんとというよりは、自分の罪悪感の捌け口ですよね。いいことしてるみたいなこと言ってますけど(笑)。

小飼:まぁでも、3世代ぐらいは平気でもつので。

山路:私は今使っているのがiPhone12 Proで、それで3年ぶりに予約して買い替えるんですけれども、15 Proに。USB-C以外にもいろいろけっこう面白い機能ついてるなぁと思って。

小飼:Proと無印のやつの違いが今回は大きいよね。

山路:特にUSB-Cの転送速度。

小飼:今まではSoCも同じだったんだよね。無印とProで。でも今回は無印のほうはだかA16 Bionicで、これと、これ14proなんですけど、これと同じで。どうせ買うのであれば、Proですね、今回はお勧めは。Titaniumとかそういうのを除いても。でも、無印のほうは確かにUSB-Cにはなりましたよ、でもなったというだけで、たとえば転送速度が上がるとかそういうことはぜんぜんないんです。

山路:今のLightningと変わんないわけですよね。

小飼:転送プロトコルはUSB2であると。だから安物のAndroidと同じだという。

山路:それだったらiPhone、最新の15にしなくても13とか14とかの中古でもいいんじゃねえかみたいな、

小飼:なんだけど、じつは今回一番驚きだったのはAirPods Proの、(コネクタを指さしながら)ここも変えたこと。これも変えたんですよ、今回。

山路:エントリーモデルもやっぱりUSBにせざるを得なかったということでしょうね。あと個人的に、今回久しぶりにiPhone15 Proのカメラまわりにはかなり興味もってまして。たとえば、この12とかでもポートレートモードとかあるじゃないですか、14とかなんかはたとえば後からフォーカス変えたり、ボケ具合変えられるみたいなことがあるんですけど、iPhone15 Proだと普通に撮った写真に関しても深度情報を持ってて、それで後からフォーカスを変えられるという。

小飼:まぁそれもあって1枚あたりの容量というのはまた増すんだろうね、

山路:私、1テラのストレージのやつ、予約注文しましたけどね。

小飼:今回、けっこうニュースとして大きかったのは、iPhoneだけではなくてiCloudのストレージも一挙にマックスの奴が6倍か、2テラが今までマックスだったのが、12テラになったという。でも、たぶんそれでも足りないって言ってる人たちは足りねーんだろうなぁ、動画とか落としてる人たちは。

山路:カメラマンは、かなり写真に関して、スチルの写真だけでも、もうぜんぜん足らないって言ってる人が多かったんで、そういうプロ向けに用意したサービスだとは思うんですけどね。

小飼:うちはファミリーシェアで2テラの半分ぐらい、半分弱ですかね。僕が一番使ってないか(笑)。

山路:弾さん、iPhoneのストレージをいつも最小のに、できる限り小さい奴頼もうとしますね。

小飼:あ、でもないよ、さすがに128は飛ばしてます、

山路:あれ、128でしたっけ、今回の最少ストレージは、

小飼:そうなんですよ、というのか、いまだに128のモデル用意するんかよ、お前っていう感じなんで、

山路:安いのも出してますって、エクスキューズ。

小飼:Proは256かな、どうなのかな、とにかく僕はもういつも256のやつを買ってますね、ストレージは。

山路:あとカメラで気になっているのが空間ビデオを、iPhone15 Proでは撮影できるようになったという。

小飼:でもさ、それはVision Pro自体をカメラにするのが一番良くね?って思うんだけど、

山路:それはそうだけど、でも今からなんか記念の写真を空間イメージングで撮っておきたいみたいな、そういう用途もあるじゃないですか。

小飼:(コメントを見ながら)使用済み、あ、ファミリーのちょうど半分だな、半分弱かと思ったけど、今うちファミリーが、

山路:ファミリー共有のiCloud?

小飼:長女が一番使っているな、僕が一番使っていない(笑)。僕が一番写真撮らないからな。

山路:それにしても相変わらずAppleのそのストレージのボりようには、

小飼:そうなの。だからストレージいっぱいボるのにさ、いつもiPhoneに1テラ……、

山路:今使っているMacBook Air、余裕で超える値段ですからね。

小飼:でも、CPUの性能もついにProのほうに載せている、A17 Proになるのか。ついについにM1よりも高性能だという。

山路:なんかねAV1のハードウェアデコーディング機能ついたりとか、

小飼:でもdecoderだけなのか、さすがにまだencoderは詰めないのかと。やっぱりencoder積んでなんぼ、なところあるので。

山路:まあ配信なんかとかの用途だったら、そらそうなんでしょうけど。あとそのA17 ProのにはGPUにレイトレーシングの機能、

小飼:そう、あれはすごいやらあきれるやら。いや、だからリアルタイムのゲームでレイトレーシング使えるようになるのけっていうのは、ちょっと感覚がバグりますね。

山路:私のレイトレーシングのイメージって、90年代にCGとかいろいろ出始めた頃に、めっちゃ時間がかかる手法みたいなイメージが、

小飼:そうそうそう、1枚レンダーするのにクラスターぶん回して一晩かかるみたいなね、

山路:そのイメージがまだあるもんだから。なんかレイトレーシング、スマホに載るっていうのはびっくりですよね。まぁそんな感じで、とりあえずiPhoneとかはそれなりに楽しみにしてますよということなんですが、それ以外で何か今回の発表とかで気になることありましたか?Apple Watchの新モデルとかいろいろありましたけど。

小飼:まぁ順当といえば順当なんだけれども、でも確かに、ムーアの法則の果てが見えてきたと。今回のあのA17 Proの売り口上に、トランジスタの幅がシリコン原子12個分だと、12個? リソグラフィーでそこまでいけるのって、

山路:数えられるんだ。

小飼:もう後は、もうフラッシュメモリーみたいに立体化するしかないよね。

山路:日本の半導体を盛り上げたい人たちは日本にはそういう3Dの積層技術があって、みたいこと言うけど、それ本当に世界の中で競争力あるのか、正直ちょっと私がようわからん、

小飼:日本にあるんじゃなくてキオクシアにあるんだがな、だからその辺、勘違いしてほしくないよね。いや、だから日本すごいんじゃないんだよ。じゃあ仮に日本がすごくても、「あなた」はすごくないから。

山路:あっはっは、そうですね。そこのところで、その技術を持っているのは企業だったりとかするわけですからね。

小飼:そうそう、あるいは傑出した個人になったりね。だから、そこは勘違いしないほうがいい。

山路:積層技術って、私も半導体のほうの最先端のこと、そんな詳しくないんですけど、そんな、それこそ来年とか再来年のオーダーでそういう3D積層技術みたいなものでロジック半導体って作れるものなんですか?

小飼:まぁ歩留まり、どうなるかだよね。今ですらさ、コアが複数あるものというのは、かつてだったら不良コアが1個でもあったら全部捨てたのを、今はそこだけdisableして売ったりしてるじゃないですか。

山路:そうやって、クオリティによって区分けして売れるような力がある企業だったらうまく回せるかもしれないけど。

小飼:本当でも、また最近になってシリコン需要を喚起するアプリケーションが出たからね。LLM(大規模言語モデル)という。だから同じAIでもLLMだね。ただ、どこにシリコンが必要かというふうに言ったら、学習フェーズなので、(iPhoneを示しながら)こっち側ではないんだよね。

山路:まぁ推論フェーズに関していえば、けっこうでかいLLMのモデルも、このAppleシリコン上でけっこう使えるみたいなふうな話も出てきて、またそこでちょっとAシリーズとかMシリーズでAIを動かすのが流行ってくるかもしれないですけどもね。
 私、今回iPhone 15 Pro、1テラのストレージのやつ頼んだのは、もしかしたらこれから3年ぐらいのあいだにLLMのでかいやつとかを使ったアプリがいっぱい出てきて、取っ替え引っ返して使うみたいなこともあるんじゃないのと思ったんですよね、

小飼:あとあれか、iPhoneと一緒にiOSも入れ替わるんですけれども、iPhone 8とiPhone Xがサポートの対象から外れましたね。ついに外れてしまいましたか、まだけっこう使ってる人いるのに。

山路:でも、なんだかんだAppleサポート長いほうではありますよね。2年ぐらいでOSサポートをやめちゃう会社も、けっこうあったりしますからね。まぁなんだかんだ言って、iPhone 15、個人的にも楽しみにしております。本当ね、立体写真とかどうなるのか、すごい楽しいんですよ。私昔から、立体写真が好きで(と言いながら、FinePix REAL 3D W1を取り出す)

小飼:これすごい、コンデジとか久しぶりに、しかもコンデジで3Dで撮れるコンデジだ、

山路:撮った奴を3Dで見られるというとてもマニアックな製品です、

Unity問題と「素材を売るビジネスは難しい

山路:本当にこういう立体写真をiPhone15 Proで撮って、何らかの形でネットなりとかね、そういうところでも共有できるんだったら、3D写真マニアとしては嬉しいところなんですけれども。ということでちょっと、IT絡みでもう一つ、Unityですよ。

小飼:ああ、

山路:iPhone 15は楽しげな話題だったんですけど、Unityはまぁまぁやらかしちゃったんじゃねーのみたいな話がありまして。このUnity、ゲームエンジンですよね、最近のそのもう、立体に限らず2Dのゲームなんかでも、本当、

小飼:『ポケモンGO』とかも。Nianticのゲームも3Dは確かUnityだったと思う。そう、これ最初出た頃っていうのはUnityのクレジットも出てたんだよね、ポケモンGOとか、

山路:今は出なくなった?

小飼:今はNianticとザ・ポケモンカンパニーのロゴだけだね。『ポケモンGO』が出た当初はUnityのロゴが出てたよ。確かに覚えてる。

山路:このUnityが、ライセンスのルールとかを変えて、まぁインストールベースでカウントしようと。

小飼:ただ、本当に豊作貧乏を地で行ってて、Unityの、だから決算の推移を見てると。売上は順調に伸びてるんだけども、累積赤字はもっと順調に伸びているという(笑)、ちゃんと売上をあげる術を。いやー、でもなんと言えばいいのかな、コンシューマーが手にするファイナルプロダクトではなくて、中間物を作ってるソフトウェアインダストリーっていうのは本当に、どうやってそれを現金化したらいい、なんかマネタイズっていう言葉、なんなんか僕引っかかって使いたくないんだけど、難しいところはあるよね。だから、そうやって考えるとAdobeってすごいよな。

山路:あのね、ほんとけっこう毎月高い使用料をとって、それでも売り上げ伸ばしてますもんね。

小飼:だってMac税よりも高いよね、Adobe税って、使ってる人たち。ハードウェアよりも高くつくもんね、今はサブスクリプションになってて、いっぺんにドカンとかかるのではなくて、毎月毎月取られるように、

山路:月6000円以上かかりますよね、

小飼:でも、ちゃんとそれだけのお金を取れるわけだ。それで少なくともAdobe製品を作って使った作品には、Adobe税はかからないよね。いや、だからPhotoshopで描いた絵が100万バズしたので、1インプレッションあたりAdobeにいくら払えっていうことにはならないよね。

山路:それやったら、Adobeから一斉にユーザー離れるだろうなあ。

小飼:なんと言えばいいのかな、ソフトウェアプロダクトそのものに値段をつけて売るという点では、Adobeって本当に古き良きソフトウェアカンパニーなのね。

山路:機能を確かに毎月のように向上はさせてるし、なんか金を払うことの納得感というは作ってるわけですもんね。

スタッフ:あれ、Microsoft Officeもそうでしたっけ、

山路:Officeは、今はもうほぼサブスクがメインになってますよね。

小飼:そう、だからMicrosoftといえばOfficeはまさにそれのモデルですよね、サブスクリプションであろうが、ワンオフであろうが、ソフトウェアそのものに金を取って、そのソフトウェアを使って、作ったプロダクト、パワポのスライドにまでMicrosoftの金払えなんて言ったらえらいことだよ、
 でもUnityがやろうとしたことというのは、まさにそれではあるんだよね。

山路:ただUnityのライバルと言われるUnreal Engineっていうのはぜんぜん違うライセンス体系で、あれは何でしたっけ、100万ドル以上の売り上げのある企業は5パーセント払えみたいな話でしたっけ、なんかそれでうまく利益を出してたりするじゃないですか。何が分かれ目になったんでしょうかね。

小飼:最近になって経営者が変わったので、そろそろちゃんと売上げで黒字化してくれっていう圧力はかかったんだと思うんだけど、でも本当に難しいよね、どこでお金取るのかっていうのは。

山路:これって結局、ゲームエンジン単体でマネタイズするというのは、本質的には不可能で、アプリストアを抱えてたりとか、なんかそれこそでかい企業の別の部署があってその中の一環として組み込まれてて初めてなんか成立するみたいな話だったりするんですかね。

小飼:ねぇ。

山路:それこそ、今だったらUnityってすごい株価も下がってるし、どこか、VR、ARをやろうとしている、AppleだったりMicrosoftだったり、なんかその辺のところが手を出して、

小飼:Oracleだったり。

山路:Oracle? そんなところに手出してくるんですよね(笑)。

小飼:わからん。

山路:そしてダメにする、みたいなことになったりとかするんでしょうか。

「Unity、そもそも違法アセット問題とかまだ解消してない気がする」(コメント)

山路:ほー、なるほどね。Unityって使いやすいっていうことも言われてたりするし、

「いらすとやさんが急に値上げしたら、日本終わる」(コメント)

小飼:いや確かに思考実験というのも面白いね。ある日いらすとやさんが急に有料化したとか。いらすとやさんのライセンス、野放図に使えるものではないんだよね、確か。

スタッフ:はい、決まってます。一つの動画につき、20個までは無料で使っていいってなってます。

山路:それ、あんまり守ってない人も多かろうなぁ。

スタッフ:まぁそうでしょうね。

山路:大手のメディア会社なんかはけっこうちゃんと払ってると思うけれども。

「いらすとや、たまに海外でも使われている」(コメント)

山路:へええ、海外のポスターにも使われている。すごいグローバリゼーション。すごいけれども、本当になんというか、いらすとやさんはあれ、個人でやってるんですよね。いちおう今でも。

小飼:確か個人だと思います。

山路:だからなんというか、もうそこのところは自由度を高くできるんだろうけど。株主がいたりとかして、でかい規模のビジネスやらんといかんところは大変ですよね。

スタッフ:ちょっと単純な質問なんですけど、こういうケースの場合、こういうケースというか違うなぁ、

山路:Unityの場合ってこと?

スタッフ:Unityもそうなんですけど、いらすとやさんもそうですけど、お金を得るためにはどんなことをすればいいんですか?

山路:はっはっは、

スタッフ:たぶんTwitterにも言えるのかなと思うんですけど、

山路:それがサクッと一言で言えたら、私は億万長者にすでになってますよね。

小飼:まぁでも、最終製品を作ってるというのは強いね。Appleがまさにそうじゃん。まさにエンドプロダクトなわけじゃん。

山路:前、弾さん、B2BよりもB2Cのほうが遥かに難易度が高いってことを言ってましたよね。

小飼:そうそうそう。でも、その代わりやり遂げた場合は遥かに強いんだよね、B2Cというのは。UnityはまさにB2Bなわけじゃん。

山路:ある意味、他の代替のツールがあったりしたら、そこに逃げられちゃう、

小飼:AdobeはB2Bのようにも見えるんだけど、じつはB2Cなのね。だからいちおうエンド(のクリエイターが顧客)なわけよ。

山路:確かになぁ。個人のユーザーでも使ってたりはするし、アマチュアからプロ、クリエイターっていう最終的なところは握ってる、

小飼:だから素材じゃないんですよ。Unityは素材なんだよね。だから素材を売るビジネスというのは、なかなか難しいものがあるよなぁ。

スタッフ:それはコストが安いからこそみんなに広まって使われて、コスト安い上に儲からない、

小飼:いや、だけれども、要はコストというのは何に対してというもので、Adobeぐらい高くても、Adobeぐらいいろいろなことが、Creative Suiteぐらいいろいろなことができれば、みんな高い高いと言いつつ買うわけじゃん。

山路:あと、もう最初からプロフェッショナルを対象にしてたということがありますよね。プロフェッショナルというか、プロクリエイターと言えばいいのかなあ。

スタッフ:あとは先行者利益って言ったら、あれですけど(笑)。

山路:まぁそういうところはあるな、いろいろその印刷、DTP業界みたいなところでも、デファクトスタンダードになったりとか、

小飼:だからUnityもいっそ、そこまでを目指すか。だから単に3Dのアセットとライブラリを提供するだけではなくて、そこで3Dゲームに限らず、3Dアプリケーションの開発がだからすべて完結するような。

山路:AR、VR、なんかゲームみたいなことのやつを全部握れるみたいなものが、

小飼:Visual Studioのすごい奴みたいな。っていう方向性がありなのかもしれない。

山路:でも、それってすごい開発コストと時間が、

小飼:全くその通り全く、その通り。

山路:Microsoftだって一朝一夕にこのVisual Studio Codeなり、あるいはVisual Studioを作ったわけじゃないですからね。大変な時間をかけて作ってきたわけですからね。

スタッフ:なんか稼げるものを片手に抱えた状態で、こういうUnityみたいな活動するっていうのが一番よろしいということですね。

山路:まぁMicrosoftはそういうところありますよね。Visual Studio Codeとか、無償で提供してもそれこそクラウドで稼いで。それを使ってる人がもうVisual Studio Codeを使ってみたいな流れ、作ってたりしますしね。いや、ほんとビジネスって大変、ITで稼ぐのって、ほんと大変だわ。

小飼:エンドを持ってないというのは辛いところだよね。だから要は、他を使いますっていう今回の騒動のようになってしまいがちだよね。

「Appleのように金払いのいい客向けのB2Cが最強」(コメント)

小飼:本当にその通り。だけど本当にそのニッチというのは狭いわけだよな。(iPhoneを示しながら)これに至っては、椅子は2つしかなかった、iOSとAndroid。Microsoftですら、3つ目の椅子は取れなかったという。

山路:しかも大抵のスマホメーカーは儲かってないという(笑)。

小飼:そういうことです。それはなぜかと言えば、スマートフォンは作ってもエンドプロダクトは作ってないから。なんでAppleが金のなる木を持ってるも同然の商売をしてるかって言ったら、エンドプロダクトになってるからです。今すごい強烈なのは、(iPhoneを示しながら)これだけ作ってもエンドプロダクトじゃないんですよね。AppStoreとiCloudがあって初めてエンドプロダクトになるわけですよ。だから、今時のエンドプロダクトを作るっていうことの重さがわかるでしょ。

山路:恐ろしい(笑)。

スタッフ:じゃあひょっとしたらですけど、SteamといUnityが組めばけっこういいところ、

小飼:それはなんかすごい幸せな構図に思えるけれども、じゃあSteamってそんなに財務状況いいの? どうなんだろう。

山路:Steamは非上場の方針みたいですね、ずっと。ただあそこは儲かっていて、本当にPCゲームの世界ではもうある意味一強というか、のポジションではあります。ただPCゲームの世界ってひっくり返りやすい。

小飼:だからエンドポイントを持ってるよね。

山路:Unreal Engine作っているEpic Gamesは、そのポジションを取ろうと必死なわけですね。

スタッフ:今のところ、そういった意味だとEpic、Unreal Engineのタッグはけっこう盤石ですね、こういうことがある、ないっていうのは一貫しているというか、サービスがって意味だと。

山路:まぁ本当、EpicがSteam的なストアを手に入れたら鬼に金棒みたいなところはあるんだろうけどもなぁ。

「つまり弾さん山路さんの欲しいものを作ればいいの」(コメント)

山路:私はともかく、弾さんが欲しいものを作れたら、確かに。

小飼:でもえらいハードルが高いな、

山路:あんま金使わないですからね、弾さん(笑)。弾さんも買うApple Watchを作るために、一体どれほどの企業がスマートウォッチにチャレンジをして破れていったかという、

小飼:いや、でもさすがにVision Pro買っちゃうんじゃないかと、いや、いつ買えるようになるのかという。来年アメリカから、というふうにはなっているけどね。

スタッフ:しかしSwitchとかでも、いわゆるUnityが対応して「おーっ」って、これで同人系のようなSteam系のゲームとか入ってくるぜとワクワクしたんですけど、

小飼:(コメントを見ながら)Xiaomiもストアを持ってない、App Storeを持ってない。

スタッフ:ああいうのって、任天堂さんからライセンス料とかもらえないもんなんですか?

山路:ん?

スタッフ:要は、SwitchがUnityに対応したっていうの、

山路:ああ、それは考え方なんやろうね。それはただビジネスモデルはけっこう根本的に変えなきゃいけないから、それはいいアイデアですねって言っても、すぐできるようには。個々人の開発者から取るっていうんじゃなくて、そういうアプリストアを持っているような会社からライセンス料を取って、Unityはビジネスをしたらどうかって言ってるわけですよね。

スタッフ:そうですそうです、

山路:それはさっきSteamなんかで言ったように、うまくいけばいいんだろうけど、

小飼:任天堂ダメだよ、プラットフォームが持ってるがゆえにプラットフォーム固定になっちゃうから、だからSteamはいいアイデアだと。

スタッフ:ああ、なるほどね。

小飼:いや、Steamといえばさあ、前、山路さんが持ってきたじゃん、

山路:SteamDeckですね。

小飼:そういう製品はあるけれども、あれがなくてもやってけるじゃん、Steamのメインの端末はWintelのゲーミングPCだよね。プラットフォームは。

スタッフ:ただいちおう、今回の騒動の原因としてはインストールに対して課金をしたのが、もうそもそも、

小飼:しかもインストール数をどうやって数えるのかっていうのが、もうぜんぜん不明瞭なわけだよね。しかも、今まであのダウンロードされた分というのまで遡って課金するぞみたいなことを言っちゃったらしいね。

スタッフ:ちょっとね、いろいろコロコロしてましたね。要はリセマラって、1回アンインストールして、またインストールしてガチャ引き直すとかってありますけど、こういうのは1回として認めますとか、でも機種を変えたら、それは2回ですとか言ったりとか、そこら辺もちょっとフワフワしてましたよ。

「ゲームのアナリストですが、ダウンロード数数えるの超しんどいです」(コメント)

小飼:超しんどいよ、

山路:技術的にそんなんできるのかよ、みたいな話ありますもんね。

小飼:しかもAppleとか総ダウンロード数しかつまびらかにしないからね、客層とかっていうのはダウンロードされたほうにも教えないからね、App Storeって。だから、それはプライバシーなんですよ。ソフトウェアデベロッパーもいくつ出たか、ぐらいしかわからないんですよ。

山路:そうか、もう本当に最初の最初から原理的に無理なわけだ。

小飼:細かいmatrixというのはわからない。

スタッフ:というか、できるとしたらそのカウントするバックドア的な仕組みが入っているということになりますね。

小飼:あるいはゲームをする時に、そのゲームアカウントのほうを数える、アプリアカウントではなくて。たとえば僕の場合、同じあのIDでポケモン、iPhone2つで運用してるんですけど、両方に『ポケモンGO』が入ってますけど、それは一つとして数えるべきですよ、アカウントの数を数えるときは。

山路:でも、そうなると本当にきちんとUnity IDを取った上での、アプリみたいな形、そうとう紐付けるの、

小飼:そもそも、数え方をUnityに左右されちゃうわけで、それはなかなか厳しいでしょう。

山路:本当にUnity頑張ってもらいたいですけども、なかなか大変ですねというところで。

小飼:中間は辛いよ、というやつですね、まさに。

山路:よく”Winner takes all.”みたいな言い方をするじゃないですか。だけど最近の物事って、全部取らねえと勝者になれないみたいなところないですか、