もくじ

1.HOTトピックス

  • ざっくり紹介:変わるのか?2期目のオバマ政権
  • フォーカス:ジェレミー・ハモンド もう一人のブラッドリー・マニング
  • トリビア:★月に願いを★ロブスター解放党あらわる

2.DN大好き:フアン・ゴンザレスってどんな人?
3.書籍&映画:マット・デイモン主演映画がエネルギー業界に投げかける波紋
4.コラム

  • 「アメリカの食の危機」  -関 房江

5.字幕スクリプト付き動画: アパルトヘイトへのロードマップ
6.DNコーパス アクティブ市民のための英語



HOTトピックス



Democracy Nowから最新のトレンドを抽出してざっくり紹介。ニューヨークを中心に、米国の良識派や進歩的文化人やアクティビストが、いま注目している話題をお届けします。字幕では古くなってしまう事件、気になる事件のフォローアップ、トリビアなどのコーナーも有り


ざっくり紹介:変わるのか?2期目のオバマ政権


1月21日に予定されている就任式を目前にオバマ大統領の政権2期目を担う閣僚が続々と指名され、話題を呼んでいます。デモクラシー・ナウ!でも、1月第2週に、ジョン・ブレナン、チャック・ヘーゲル、ジャック・ルー各氏のそれぞれCIA長官、国防長官、財務長官への指名が持つ意味を、番組で検討しました。

「暗殺の帝王」ジョン・ブレナン

CIA長官の指名を受けたジョン・ブレナンは、CIAで約25年の経歴をもつ機密情報分析とテロ対策の専門家です。実はブレナンは、2008年にもオバマ政権のCIA長官候補として名があがったのですが、ブッシュ前政権時代にCIA高官として「強化尋問テクニック( enhanced interrogation techniques)」(つまりは拷問)や「特例拘置引き渡し」への支持を公言し、また国家安全保障局(NSA)の非合法的な令状無しの盗聴プログラムを手助けした通信事業者に対する免責付与を強力に主張していたことが問題視されて、候補を辞退しました。ところが、オバマにより国土安全保障・テロ対策担当の大統領補佐官に任命されたブレナンは、オバマの強い信任を得て、超法規的な無人機戦争の仕掛け人的な役割を果たすようになりました。ニューヨーク・タイムズ紙によると、無人機による暗殺リストを編成するのはブレナンの役目です。また、CIAに「識別特性爆撃(signature strikes)」を実施する権限を与えるよう推進したのもブレナンだと言われています。識別特性爆撃とは、「すでにブラックリストに掲載され、素性が明らかになっているテロリスト以外であっても、テロリストに特徴的な行動パターンを識別でき、米国に対する切迫した脅威だと判断される場合に、許可される攻撃」のことで、イエメンにおけるアルカイダ幹部暗殺作戦に使われています。ブレナンが「暗殺の帝王」と呼ばれる由縁です。

しゃあしゃあと嘘をつくのもブレナンの役目というか、特長のようで、2011年には「無人機攻撃による民間人死者は1年近く出ていない」と主張しました。ブレナンはまた、米国によるオサマ・ビン・ラディン殺害計画にも大きな役割を果たしたのですが、「急襲作戦の時、ビン・ラディンは米海軍特殊部隊と銃撃戦を繰り広げ、妻を盾代わりに使った」と述べましたが、soその後の米当局の発表によりビン・ラディンは武装しておらず、当初、伝えられたような銃撃戦は行われなかったこと、妻を盾にした事実もなかったことが明らかになりました。

ブレナンが貢献したオバマ政権第1期にCIAの役割は大きく変わり、情報収集を超えて無人機作戦へと拡大しました。軍の活動が基本的に公的な承認を必要とするのに対し、CIAの活動は機密保持を理由ひとにぎりの人間で決定することが可能で、国民による監視が難しく民主主義とはほど遠いものです。CIA長官就任には、連邦議会上院の承認が必要です。無人機作戦には与党民主党の中にも反対意見をもつ議員がおり、ブレナン承認の過程で、これまで公開されてこなかったさまざまな無人攻撃にまつわる情報が少しでも多く明らかになることにせめてもの希望をみる人も少なくないようです。

物議をかもすチャック・ヘーゲルの国防長官指名「暗殺の帝王」