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『 福岡アジア美術館 トークショー 』 【Vol.140】
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『 福岡アジア美術館 トークショー 』 【Vol.140】

2013-05-29 13:00
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皆さま ごきげんよう。
私の ブロマガを 購読して下さり、
ありがとうございます。

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5月18日の 「国際博物館の日」 を 記念して 九州博多にある
〝福岡アジア美術館 〟 にて 『福岡 ミュージアムウィーク 2013』 が
催されました。
『福岡 ミュージアムウィーク』 とは、 <出会いの場> <知識の場>
<発見の場> である 博物館・美術館を アピールする9日間で
その初日の イベントとして 私のトークショーが ございました。

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始めに 私のビオグラフィをまとめた VTRが映し出されました。
インドネシアへ行く前の私、 インドネシアへ渡ってからの スカルノ大統領との
生活、 政変、 パリの亡命時代、 社交界の私、 ニューヨークへ移住し
40年間の外国生活から 日本へ戻ってきて 現在に至るまでの
Short VTR です。

左にいらっしゃる方は 聞き手として 九州大学大学院 人文科学研究院の
後小路 雅弘 (うしろしょうじ まさひろ) 教授です。
故 スカルノ大統領との 写真を まずは ご紹介いたしました。
私は 1959年9月に 大統領のお招きで インドネシアに参りました。
2週間の予定が 永遠になったのは 皆さま ご存知の通りです。

1959年 大統領官邸にて

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1961年 大統領官邸 ムルデカ宮殿にて 結婚後の 記念撮影

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母と弟を 1962年に 時を同じくして 亡くした 悲劇。
悲しみと苦しみの どん底にあった私を 慮って
大統領は チパヨン (ジャカルタより 70km位) に
母の名 (政子) をとって マーサ荘という 山荘を、 ジャカルタに
弟の名 (八曽男) をとって ヤソオ宮殿を 建ててくださいました。
後方のポートレートは 大統領が 当時 インドネシアで 最も有名な画家
バスキ・アブドゥラ氏に 描かせたものです。

1964年 ヤソオ宮にて

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私は、1962年に 当時 華僑系インドネシア人の 画家として 第一人者の
リー・マン・フォン氏と共に 膨大なスカルノ大統領の 絵画 ・ 彫刻 ・ 美術品の
収集を 5冊の 大画集にするプロジェクトを 持ちました。
1956年に 一度 中国によって スカルノ大統領所蔵の美術品が
画集として 出版されましたが その後 世界中から 集められた
最高級 そして 稀で見事な作品が 数多く 足され 1000点以上に
なったためです。
ここに そのほんの一部を ご紹介致します。
ご紹介する 作品の中に 数点 福岡アジア美術館の コレクションの
ものもございます。

伊東深水 「舞妓」

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伊東深水画伯は 戦争中 陸軍の 宣伝班の一員として
インドネシアに従軍しており 3年以上 おられたと思います。
その間 何千枚に及ぶ 水彩の写生を残され その一部を 私は
譲って頂き 後に ジャカルタで チャリティ展示会を 開かせて頂きました。
インドネシアの人々にとって 戦争中の インドネシアの人々の生活や
様子が判る 大変 貴重な 歴史的なものでした。
スカルノ大統領は 後に 画伯とご子息の勝田祥三氏を
インドネシアにお招きし 私の肖像画を ヤソオ宮殿おいて
描いて頂きました。

スカルノ大統領も 大変 絵を書くことが お好きで 私達はお互いの
ポートレートを描きあいました。
しかし、 お互い時間がなく 写真を許に 絵にしました。

スカルノ博士 「貴夫人像」

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ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ 「スカルノ大統領」 1962年
こちらは 私が描いた 大統領のポートレートです。

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バスキ・アブドゥラ 「スカルノ大統領」
これは、 バスキ・アブドゥラ氏が 数分で描き上げたデッサンです。
大統領の 迫力が 伝わってきます。

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リー・マンフォン 「たたずみ」
こちらは リー・マンフォン氏の 私のポートレート
板の上に 描かれた油彩です。

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リー・マンフォン 「金魚」(福岡アジア美術館コレクション)
まるで 金魚が 生きて 泳いでいるようですね。

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バスキ・アブドゥラ 「あけぼの (婦人像)」
大統領は バスキ氏に 薄紫色の 民俗衣装を着た私、
水色の サリーを着た私、 黒いドレスを着た私と 4点の
ポートレートを描かせ 大統領宮殿とヤソオ宮殿に
飾られておられました。
他に リ・マン・フォンによる 黒い着物を着た 肖像画と
伊東深水画伯による 紫と銀の サリーを纏った 肖像画があります。

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スカルノ博士 「リニの肖像」
大統領の 家庭教師です。

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伊東深水 「バリの舞姫」
伊東深水画伯による 画面いっぱいに 書かれた 珍しい 貴重な絵です。

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バスキ・アブドゥラー 「バリの女性」
うら若き バリ島の乙女。
頭の上に 強い香りを放つ 〝セダップ・マラム〟という花を
付けています。 水浴の後 これから 花嫁姿になる前の
ポートレートかと思います。

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ヘンドラ・グナワン 「しらみ獲り」
面白い風俗画ですね。
でも、笑ってはいけません。
日本では戦争中は、 しらみ、 のみだらけでした。
私が 小学校に入った時 (戦後 国民学校から 初めて小学校に変わった
1946年) 学徒疎開から 帰ってきた先輩達が たくさん のみと しらみを
持ってきてしまったのでした。
全生徒が 校庭に集められ 頭を 突き出され 真っ白い〝D.D.T〟を
シュッシュッと かけられたものです。
今考えると 恐ろしいことですが 当時の 幼い子供達は
〝白い幽霊だ〟 と 遊びはしゃいでいました。

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スジョシノ 「斥候」
独立戦争の凄惨さと 寂寥さが 伝わってきます。

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S・スジョヨノ 「蘭の花」(福岡アジア美術館コレクション)
同じ画家の うって変わった静けさと 穏やかさを 感じさせる絵です。

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モリ・キンセン(森錦泉/吉五郎) 「ウォノソボの風景」
「森錦泉氏」という画家が 1958年に描いた絵が 残っています。
私が インドネシアへ行ったのは 1959年 その頃 彼の存在
を知っていたらお会いしたかった。 とても 残念です。

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モリ・キンセン(森錦泉/吉五郎) 「スンビン山の眺め」
(福岡アジア美術館コレクション)
森錦泉氏の風景画は 非常に バスキ・アブドゥラ氏の絵と
驚くばかり 似ています。 どちらが どちらの影響を 受けたのか
同じ時代に生きた 二人の名画家、 それとも 同じ ジャワの景色
だからでしょうか。
残念ながら ここでは バスキ氏の 美しく雄大な 風景画を
お見せできなくて 残念です。

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ここから 違う時代に 描かれた 大統領のポートレートに 移ります。

F・アモルソロ (フィリピン) 「スカルノ大統領」 1951年

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バスキ・アブドゥラ 「スカルノ大統領」

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トークショーが終わったあと、美術館の展示作品を
見させていただきました。
アジア22ヶ国・地域の、 多様なジャンルの 作品 約2700点が あるとのこと
質量 ともに 世界でも類をみない ユニークなものです。
たくさんの展示作品の中から 一部を 明日 ご紹介しましょう。


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では 皆さま 次号をお楽しみに。




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