Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマはUFC買収! 新オーナーの実力について!





UFC買収劇の舞台裏と問題点 総まとめ

新オーナーWME-IMGとは何者か、買収額はなぜ40億ドルなのか?



UFC 200の翌々日、米国時間の7月11日(月)に、大手芸能事務所WME-IMGがUFCを40億ドル(約4,300億円)で買収したことが正式発表された。


この40億ドルという金額は、2012年にロサンゼルス・ドジャーズが買収された際の価格20億ドルを大きく上回り、スポーツフランチャイズ買収額としては史上最高額となった。40億ドルという金額はまた、Forbes誌調べによる2016年スポーツチームの企業価値で世界1位に位置づけてられているダラス・カウボーイズの評価額と同額である(ちなみに2位はレアル・マドリッドの36億5千万ドル、3位はバルセロナの35億5千万ドル)。


新しい株主構成や持ち株比率の詳細は明らかにされていないが、新オーナーWME-IMGの持ち株比率は90%弱とみられる。フランク・フェルティータ、ロレンゾ・フェルティータは少数株式の保有を続ける。また、フラッシュ・エンターテインメント(アブダビ)はこれまで通り持ち株比率10%を維持する。デイナ・ホワイトは持ち株をいったんWME-IMGに売却した後、ある程度の株式を買い戻したと伝えられる。しかしどの程度の株式を、いくらで買い戻したのかは明らかにされていない。


ホワイトはUFCの社長として残る。5年契約で、会社利益の9%を報酬として受け取る。ロレンゾ・フェルティータは辞任、今後はカジノ経営にいっそう注力していくほか、NFLチームを買収しラスベガスに本拠地スタジアムを建設する事業に着手するとウワサされている(買収の標的はオークランド・レイダーズともいわれる)。これ以外の役員人事にいまのところ異動はない。本社もラスベガスのままで、建設中の新社屋への入居も予定通り行われる。


UFCの新オーナーとなったWME-IMGは100年の歴史をもつハリウッドの大手芸能事務所である。もともとは19世紀末に、ドイツ移民のWilliam Morris氏が、ボードビル(寄席演芸)のブッキングエージェント業として会社設立した。その後同社は、所属タレントにチャーリー・チャップリン、ウィル・ロジャーズ、マルクス兄弟、メイ・ウェスト、エルヴィス・プレスリーなどを擁して順調に成長。2009年に、シカゴ市長ラーム・エマニュエル氏の弟、アリ・エマニュエルが設立した芸能事務所Endeavor Talent AgencyがWilliam Morrisを買収、William Morris Endeavor(WME)として再スタート。さらに2013年にはスポーツ・ファッション業界の大手芸能事務所、International Management Group (IMG)を24億ドルで買収してWME-IMGを結成した。CEOはアリ・エマニュエルとパトリック・ホワイトセル。なおWME-IMGには今年3月、日本のソフトバンクが2億5千万ドルを出資している。


現在のWME-IMGは、数多くのアスリートや俳優、ミュージシャンが所属しており、テレビ番組や映画で、同社のタレントを目にしないことは難しいほどの影響力を誇っているという。トップタレントにはドナルド・トランプ、オペラ・ウィンフリー、ドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)、ロンダ・ラウジー、クリント・イーストウッド、リチャード・ギア、シャロン・ストーン、エディ・マーフィー、ブリトニー・スピアーズ、ザ・ローリング・ストーンズ、錦織圭、石川佳純、浅田真央らがいる。

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