那須川天心vs堀口恭司のスーパーファイトをプロはこう見る！　第１弾はJB SPORTS BOXING GYMの 山田武士 トレーナー。ボクシングやキックのみならずMMAファイターの指導歴も長い「プロ」の分析とは？　 【関連企画】 堀口恭司のマネジメントが語る那須川天心と絶対に戦うべき2つの理由■石井史彦 ―― 山田さんは那須川天心選手とはいつお知り合いになったんですか？ 山田 　彼が中3ぐらいのときに、JB SPORTSに練習に来てからですよ。 ―― 当時はどういう印象だったんですか？ 山田 　そりゃもう当時から全然モノが違いましたね。彼が高校生のときに、ウチにいる日本ランカーとバッチバチにスパーして、まったくボクシングだけでイケてましたんで。帝拳ジムさんで世界チャンピオンとかとも普通にスパーできてたみたいなんで、まあボクシングでもすぐに世界を獲るだろうなという印象でしたね。 ―― いろんな選手を見ている山田さんから見ても逸材なんですね。 山田 　ぶっちぎりですね。圧倒的です。 ―― そもそも那須川選手はどこが凄いんでしょうか？ 山田 　基本がメチャクチャしっかりしている中で、何をしてくるかわからない……という部分でしょうね。とくに蹴りはいろんな技を持っているし、パンチに関してはひたすら速い。瞬間的なスピートは群を抜いてます。どれも普通じゃないんですよ。それに、いまパンチを見ている岡本（祐爾）トレーナーが言うには、練習でも絶対に妥協させないらしいですね。どんな人間でも練習で楽をしたい日ってあると思うんですけど、周りも「オマエは天才じゃないんだから練習で作れ！」って楽をさせないらしくて。天心が天才じゃなかったら、誰が天才なんだって感じなんですけど（苦笑）。 ―― つまり、周りにも恵まれているんですね。 山田 　そうです。もの凄い才能があって周りのスタッフもそうやって厳しく育てていれば、そりゃあ強くなりますよね。 ―― 一方で、堀口恭司選手はどういう印象がありますか？ 山田 　彼も怪物ですよ。やっぱり伝統派空手の距離感が抜群で。ボクサーやキックボクサー、レスリング出身の選手からすると、MMAの戦う距離って遠いんですよ。ただ、伝統派空手はMMAよりもう一つ後ろ、もう一つ距離がある中からボンと入ってくる感じなんですよね。で、堀口くんはその距離感が抜群なんです。 ―― 間合いが独特なんですね。 山田 　それに、堀口くんってグラウンドに倒されることを恐れていないですよね。倒れたら倒れたで「また立てばいいや」という感じなので、打撃に対して躊躇がないですよ。 ―― テイクダウンされることを恐れず打撃が打てる。 山田 　MMAの選手って、打撃のあとは一つタックルを切るという動作が入ってくるので、なかなかおもいっきり手を伸ばせないんですよ。でも、堀口くんにはそれがない。そして、もう一つ言えるのはあの体幹の強さですね。RIZINでの扇久保博正戦なんかは「この人、なんでこんなに簡単にタックルを切れるの？」という試合でしたから。 ―― 扇久保選手が健闘することで堀口恭司の底知れなさが伝わってきましたね。 山田 　本当にビックリしましたもん。ボクも扇久保のことは知っているんですけど、修斗のときはお互いに拮抗した中で堀口くんが一本獲ったというイメージだったと思うんですよ。今回は判定決着でしたけど、扇久保のすべてを受け止めた堀口くんの横綱相撲でしたよね。 ―― その堀口選手が那須川選手とキックルールで戦うことは、どう思われますか？ 山田 　そもそも堀口くんは初めてキックルールを戦うわけじゃないですか。キックの練習をするのか、それともMMAのルーティンを変えないまま天心戦を迎えるのか……その差はかなり重要じゃないかと思うんですよねぇ。 ―― 堀口選手はMMAのルーティンのままで試合に臨むらしいです。 山田 　え…………!? 本当？ ―― 堀口選手のマネジャーも含めていろいろ話は聞くんですけど、堀口選手は本当に余裕しゃくしゃくらしくて。 山田 　いやあ、凄いなあ～～！ そのメンタルの強さはなんなんでしょうね。本当にキック対策をせずに、いつものまんまでやるんですか？ ―― どうもそうらしいですね。 山田 　スゲえなあ！ スゲえ男だなあ！ ―― しかも「お祭りだからいいでしょ？」というような破れかぶれじゃなくて、勝つためにそれを選択しているという感じで。 山田 　へえ～！ やっぱりUFCで猛者たちの中で相当揉まれて、そこから逃げずにやってきたという自信があるんでしょうね。しかも、ある程度日本で金を稼げるようになっても、あの厳しい練習環境は変えてないし。そういうハングリー精神みたいなものがスゴいんだろうなあ。 ―― いまだにATTのジムの２階に寝泊まりしてるわけですからね。MMAのルーティンだけで臨むことをどう思いますか？ 山田 　最近はMMAファイターの打撃スキルは上がってますからね。フロイド・メイウェザーとボクシングで対戦したコナー・マクレガーもそうですし、堀口くんはMMAファイターでも打撃系の選手じゃないですか。そこは魔裟斗くんとK-1ルールで対戦した川尻とは状況が違いますよね。 ―― 川尻選手は、もちろん打撃はできるけど、決して“打撃系”ではないですよね。 山田 　そう。MMAである程度強いというのを評価されて、「打撃もできるんだったらK-1に出てみる？」という感じだったから。だから、スタート地点が打撃側の堀口くんがキックルールで戦ったときにどうなるのか。天心側からしたら、スゲエやりづらいと思うんですよねえ。 この続きと、追悼KID、天心vs堀口、本間聡、朝倉未来、木原のオヤジ、新日vsWWE…………などの記事がまとめて読める「 10万字・記事21本の詰め合わせセット」 はコチラ　 http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1676298 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック！