kindyさん のコメント
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おなじみ 中井祐樹 先生とプロレスラーの 鈴木秀樹 選手がビル・ロビンソンやキャッチ・アズ・キャッチ・キャンを語る12000字対談です! ・“ビル・ロビンソン最後の弟子”鈴木秀樹インタビュー「弱いプロレスラーは迷惑なだけです」 ・ キャッチはどこへ消えたのか? 宮戸優光×中井祐樹「プロ・レスリング」の文化と競技論 ・「中井さん、なぜそこまで強さを追求するんですか?」■中井祐樹☓大沢ケンジ ―― 今日は、“ビル・ロビンソンの最後の弟子”鈴木秀樹さんと、ビル・ロビンソン著『高円寺のレスリングマスター』が推薦図書という中井祐樹先生の対談になります。
鈴木 よろしくお願いします(笑)。
中井 その推薦図書はね、2014年あたりの『ゴング格闘技』で秋の読書におすすめの2冊を選ぶ企画があったんですよ。その選者の1人がボクだったんですけど、1冊目が『高円寺のレスリングマスター』で、もう1冊に選んだのは『ロシアンパワー養成法』という本だったんです。この2冊はとにかくヤバイから読め! と。
鈴木 というか『ロシアンパワー養成法』ってなんなんですか? そっちのほうが気になって仕方がないです!(笑)。
中井 『ロシアンパワー養成法』は、もういまはなき出版社から発行されていたんですけど、晋遊舎という出版社から復刻されまして。その復刻のときボクが帯文を書いたんです。
鈴木 そんな経緯があったんですか(笑)。
中井 その著書は、かつて「ヒットマン」と言われたサンビストの足立弘成さんという方で。「ロシア人には力がある、それは民族的なものだ」と言われがちだけど、じつは民族的なものではなくトレーニング法だと書いてあるんです。
鈴木 へえ~~~。
中井 しかも、トレーニング法と技術……この場合はサンボなんですけど、「トレーニング法と技術が合致しているものが意味がある」ということを書いている本なんですね。ボクの知るかぎり、練習法と技術を合致させている本って見たことないんですよ。だから凄く衝撃的で。「日常生活でトレーニングしろ」とか、もっと衝撃的な話もいっぱい出てくるので凄くビックリしたんです。
鈴木 『グラップラー刃牙』みたいですね。
中井 まあ、そんな話なんですけど、ロビンソン先生の『高円寺のレスリングマスター』も凄くよかったですね。
鈴木 あの本には、ビリー・ジョイスさんがビリー・ライレージムで「相手を変えて2時間ぐらい練習していた」とかいう話が出てきますよね。
中井 そうそう、ボクがジムでやっている時間無制限スパーリングは、じつはビリー・ライレージムのオマージュなんですよ。
鈴木 ああ、そうだったんですか(笑)。
中井 ボクは、いわゆるリングの上で5分3ラウンドや5分5ラウンドを戦う人じゃないので。自分のライフワークとして研究しようと思っているんです。「時間が長いほうが技術が出るんじゃないか」とかね。ボクが道場で話していることは90パーセントがビリー・ライレージムのオマージュですから。
鈴木 ハハハハハ! 受け売りなんですね(笑)。
―― お2人とも世代が違うので、ビル・ロビンソンというレスラーに対する印象は違いますよね?
中井 ボクは、完全に記憶があるのは全日本プロレスに上がってからのロビンソンなんですね。新日本プロレス時代も、もしかしたら見ているかもしれないですが、5歳ぐらいの子供だったから記憶がないです。
鈴木 ボクも生の記憶はまったくなくて、最初に知ったのは漫画の『キン肉マン』なんですよ。
中井 ああ、ロビンマスクか。
鈴木 そう、ロビンマスクが好きだったんです。『キン肉マン』の単行本を開いたところにイラストでテリーマンとテリー・ファンクが並べて描いてあったりするコーナーがあったんですよ。その中にロビンマスクとビル・ロビンソンの回があって、あれがロビンソンを意識した一番最初でした。
中井 意外な角度ですね。
鈴木 実際にロビンソンの試合を見たのは、ロビンソン本人に教わってからなんです。具体的には2004年とかですね。じつは母親がロビンソンが好きで。母は実家が電気屋さんだったんで、早いうちからテレビでプロレスを見ていたらしいんですけど、「初めて反則をしない外国人レスラーだった」ということで好きだったみたいですね。でも、ボクは反則ばっかり教えてもらったんですけど(笑)。
中井 えっ、そうなんですか?(笑)。
鈴木 アマチュアの大会に出ようと思って指導を受けたんですけど、「あれやれ、これやれ」と教えられるのが全部反則なんですよ。「わからないようにこのへんを殴れ!」とか。
中井 ハハハハハ! メチャクチャだ。
鈴木 「わからなかったら反則じゃないから」って。たしかにそうだけど、倫理観としてはどうなんだって(笑)。でも、ロビンソンとしてはダーティなことを教えているわけじゃなく「もし自分がやられそうになったときには何か持ってなきゃダメだよ」という。
中井 ああ、そういう意味ですね。
―― でも、鈴木さんのお母さんが好きになるぐらいだから、よっぽどこれまでのレスラーとは違ったんですね。
鈴木 「いい男だ」とも言ってました。たしかに若いときはカッコいいですよね。
中井 全日本に上がっていた頃は、ちょっと崩れていたんだよねえ。
鈴木 じつはその前からちょっと崩れているんですよね。1970年頃にイギリスからアメリカに渡ってい て、そこでファストフードを食べまくったりしたことで身体を壊してるんです。自慢げに言ってました、もん。「自分はレスリングでケガをしたことはない。身体を壊す原因は全部、酒だ」って。
中井 フフフフフ。
鈴木 相当酒が好きだったみたいですからね。とくに離婚してからはヤバかったみたいで。ロビンソンが一番シェイプされていたのは96キロとか100キロ前後なんですよ。でも、そっからずいぶん大きくなられて髪もフサフサになって。1975年ぐらいに猪木さんと試合をしたときは、それでもちょっと絞っているんですよね。全日本の最後のほうとかもうユルユル。ボクはロビンソンの凄さをずっとわかってなかったんですよ。その凄さを知ったのはロビンソンに教わってからだし、それはキャリアの凄さじゃなくて、教えてもらっている技術が凄いなって。 中井 指導者としてのビル・ロビンソン。 鈴木 たとえばAを試して、ダメだったらBを試して、それもダメならCをやってと、間髪入れずに指示が出てくるんですよね。それって、どんなに自分が技を覚えていても、説明するときにちょっと止まったりするじゃないですか。ロビンソンはそれがなかったし、けっこう偏屈なボクにとって、すぐに答えを返してくれる初めての人だったんですよ。
中井 それぐらい知識として身体に入っているんでしょうね。
鈴木 ロビンソンもライレージムでそう教わったんだと思います。1から10までいっぺんに教えるし、一番困るのは1から10まで1時間半ぐらい散々トレーニングしたあとに、「じゃあ最初からね」と言われることなんですよ。ボクらは何をやったかはもう忘れているので、「おまえは練習がなってない!」と怒られるという(笑)。 <続きは会員ページへ>
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