kindyさん のコメント
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80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト 斎藤文彦 氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」 。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』 です!
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―― WWEスーパースターのペイジの半生を描いた伝記的映画『ファイティング・ファミリー』の試写会に行かれたそうですね。 https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=ef_dI7vTxrY
フミ はい。邦題は『ファイティング・ファミリー』ですが、原題は『Fighting with My Family』。 「家族と戦う」「家族と共に戦う」という2つのニュアンスが込められているんです。映画の場合は邦題にするときにカタカナ英語にギュッと縮めちゃうときがありますが、映画そのものは素晴らしい内容でした。
―― ボクも試写会に行ってきたんですが、かなり面白かったです!
フミ プロレスを題材にしてるんですけど、心温まる家族のお話でしたね。WWEを見ている人であれば主人公のペイジのことは知ってるはずですが、イングランド北部ノーヴィッチという田舎町で、ローカルプロレス団体を営む家族という設定は実話で。日本でいえばチャンバラの芝居を見せながら全国を旅しながら歩く一座と同じような風景なんです。
―― 大衆演劇で全国を回るような感じですね。
フミ レスリング発祥の地には諸説あって、 プロレスのルーツはフランスにありという研究もあれば、イギリスだと主張する研究もあります。 いずれにせよヨーロッパからアメリカに渡り、そこから日本に持ち込まれた文化なんですけど。あまり日本やアメリカのメディアに取り上げられることはありませんが、いまでも北アイルランドやウェールズにプロレス一座が存在している。平成の日本初のローカル団体は、みちのくプロレスで、そこから北海道や九州とたくさん生まれましたが、レスリング発祥の地と言われるイギリスでローカル団体が活動しているのはあたりまえかもしれません。
―― そのひとつがペイジの実家なんですね。
フミ ボクも一度だけペイジに会ったことがあるんです。 2~3年前のWWE日本公演。両国国技館のバックステージでボクはコーヒーを飲みながらポール・ヘイメンとおしゃべりをしていたら、そこに「元気?」と声をかけてきてポール・ヘイメンの隣に座ったのがペイジでした。ボクは彼女の経歴を知っていたので「おじいさんの代からのレスリング一家なんですよね」と尋ねたら「全然ビッグタイムではないんですよ。小さな小さな一座なんです」と。
―― レスリング一家といえば格式が高いイメージがありますよね。
フミ ハート一家やファンクス、エリック一家、ゲレロ・ファミリーやオートン・ファミリーなんかは名門と言われてますよね。 ペイジは13歳の頃に「やりたくない」と拒否してるのに無理やりプロレスの試合に出されたんです。そこは旅一座の子供が本人の意志には関係なく舞台に上がらされるところに似ていますよね。 しかもデビュー相手はじつのお兄さんで、兄弟だとわからないように様々なリングネームで戦っていた。そこは全日本女子プロレスのルーツにあたる松永4兄弟の柔拳興行、つまり柔道とボクシングの異種格闘技戦を兄弟対決だとバレないようにリングネームを名乗って戦っていたことに似ていますよね。
―― どこの国にもある風景ではあるんですね。
フミ これだけの話でも映画やドラマになりえる内容なんですが、実際に企画として動いたのが同じプロレス一家の3代目にあたるロック様ことドウェイン・ジョンソンだったことが面白いですね。ロック様のおじいさんがピーター・メイビア、おばあさんがリア・メイビア、お父さんがロッキー・ジョンソン。映画の中でも「レスリングファミリー」という言葉が使われてますが、3代目のロック様からすればペイジの半生は絶対に映画にしなきゃいけない、ということでプロデューサーを買って出たんです。日本とアメリカではプロデューサーの役割にはちょっと違いがあって、ハリウッド映画の場合は自分で制作費を捻出するか、もしくは出資者を募ったり、巨大な制作費をあちこちからかき集めてくるのがプロデューサー。ロック様は「俺もお金を出すからペイジの映画を作りたい」という気概があったんですね。そしてキャスティング的にビックネームの俳優は使えないとなると、全米公開ができない作品になってしまう場合もあるので、ロック様自ら『ファイティング・ファミリー』に出演すると。どういった場面で出てくるかはぜひ作品を見ていただきたいんですけど。
―― ドウェイン・ジョンソンはいまやハリウッドの超大物俳優ですからね。ロック様が動かなかったら映画化できなかったかもしれない。「友情出演」であり「友情プロデューサー」といった感じですね。
フミ ちょっと下世話な言い方をすれば同じプロレスラーとしての同業者意識、仲間意識もあったはずなんです。ロック様としてはそこまでしてペイジの物語を多くの人たちに知らせたい、共有してもらいたかったということですね。
―― ペイジがWWEと契約するまでの話も見どころがありましたね。
フミ 兄弟揃ってロンドンでWWEのトライアウトを受けることも実話がベースです。ペイジのトレーニング先はNXTのパフォーマンスセンターという設定ですが、ペイジの時代はパフォーマンスセンターはまだありません。実際にペイジが経験を積んだフロリダ・チャンピオンシップ・レスリングのトレーニング場所がロケ地に使われていました。
―― 実際のペイジも一度フロリダに送り込まれてイチから鍛え上げられたわけですね。
フミ 地元でどんなにプロレスの経験があってもイチから練習をさせられる。そこで生き残ったものだけがWWEに昇格できるところも映画では描かれてましたし、 WWEやNXTの試合会場の実写シーンも出てきました。クレジットには「WWEスタジオ」と入っていてWWEが全面協力している作品なんです。
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