名無しさん のコメント
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前澤 驚かせてスミマセン(苦笑)。ツイッターやフェイスブックにも、皆さんから凄くメッセージをいただいて。
―― 32歳で引退って、けっこう早いですよね?
前澤 そう思ってもらえます? 惜しまれて終われるなら自分は幸せですね。下がりながら終わっていくより、強いままで終われたらなというのもありました。
―― ズバリ引退理由はなんですか?
前澤 じつは自分の気持ちの中では意外と前から「引退」の二文字はあって。「いつ頃から」とか「こうだから」とかいう明確なものはないんですけど。
―― となると、いろいろな状況が重なって?
前澤 私の目標はベルトを獲ることだったので、DEEP JEWELSのタイトルを獲ったときは「引退したくなるかな?」と思っていたんですけど、そのときは「このベルトを守っていかなきゃ」という気持ちだったんです。ただ、RIZINではハム・ソヒ選手に負けて「トップとはこんなに差があるのか……」と。その前には浅倉カンナちゃんにも負けましたしね。当時は、まだやめたくないなあと思いつつ、でも差があることも痛感して。
―― アトム級のトップ戦線は熾烈ですもんね。
前澤 自分は身体が小さいから本来ならミクロ級の身長だと思うんですけど、減量はあまり得意じゃないですし。でも、やっぱりどっかで身体のコンプレックスもあって。それを認めたくない反面、ハム・ソヒ選手と試合をしたあともフィジカルの差を感じてしまったというか。ボヤーっと感じていたものに、しっかり輪郭ができちゃったという感じですかね。
―― 戦ったからこそ、わかってしまった。
前澤 でも、すべてのことに対して「思い出づくり」と思われるのも悔しいので、防衛戦もやってきましたし、……私、チャンピオンになったときに、ある人から「チャンピオンといっても、どうせ判定で勝ったんだろ」って言われたことがあって。
―― それは、なかなか辛辣なコメントですね。
前澤 それが悔しくて「防衛記録をつくりたい」と思ったこともあったし、嫌いな減量を頑張ってミクロ級に転向しようかなと思ったこともあったり、よくも悪くも次のステップを考えている中で、選択肢の一つに「引退」というのがあったという感じです。そうこうしているうちに、新型コロナウィルスが凄いことになっちゃったので。
―― コロナの件も気持ちの変化に影響が?
前澤 自粛が始まって練習できない時期が続いたじゃないですか。だから、自分も家で1人でトレーニングしたりしていたんですけど、だんだん「不要不急ってこういうことなのかな……」と思ったり。なんか一回落ち着いちゃったんですよね。毎日「今日死んでもいい」という気持ちでピリピリして過ごしていたのが、自分を守るほうに入っていっちゃったんですよ。
―― なんというか、魔法がとけちゃったような。
前澤 自分より身体の大きい男子選手とスパーリングしても、いままではなんとも思わなかったけど、ちょっと休んだだけで「怖い」と思っちゃいました。……あと私、結婚したんですよ。
―― えええっ! いつ、誰とですか?
前澤 今年に入ってです。格闘家ではない一般の方なんですけどね(笑)。
―― それはよかったです、なんとなく(笑)。
前澤 ハハハハハ。だからそれも大きいんだと思います。毎日「死んでもいい!」と思っていたものが、コロナや結婚のこともあって「生きていたい」と思っちゃったというか。だから、大きく言うと落ち着いてしまったんだと思います。
―― 勝手な印象ですけど、浜崎朱加選手と戦ったこともあったのかなと思っていたんですが。
前澤 ああ、それもありますよね。引退する前に最強の選手と手を合わせてみたいというのはずっと思っていたので。私なんか相手にされないだろうなと思ってたけど、DEEP JEWELSでグラップリング対決の話をいただいたので、「対戦要求しちゃおうかな」って(笑)。
―― 7月23日DEEP JEWELSで行われたグラップリングタッグマッチのときですよね。前澤選手の予期せぬ対戦要求がありましたが、浜崎選手のあんなときめいた顔見たことなかったです。
前澤 イケメンでしたねえ。
―― あのマイクは見切り発車だったんですか?
前澤 完全に。プロレスチックな感じで「言っちゃえ!」って。ああいうリング上での対戦要求って、ある程度固まった中でやることが多いみたいですけど、私、格闘技の常識とか全然わかってないんで(笑)。
―― あとで怒られませんでした?
前澤 金原正徳代表からは「おまえじゃ絶対に勝てないんだからさ」みたいなこと言われましたけど、私だけが自分を信じて言っちゃった感じですかね。本当に実現すると思わなかったですけど。でも、同階級のトップと2番目の人との試合が叶って、これ以上のことがあるのかなって。でも試合では「思いっきり殴ったれ!」と。
―― 前澤選手の打撃もけっこう当たってましたよね。
前澤 本当にKOしたろうと思って戦っていたので。誰も私が勝つと思ってないから、何かしら爪痕を残したいと思ったし、将来、格闘技の試合で検索したら出てくるような名勝負になればいいなと思って。怖かったですけど、本当に浜崎さんが懐深く受けてくださったことに感謝というか、浜崎さんなら全力で私のことも殴ってくれるだろうなって。
―― いや、その言葉のとおりでした。
前澤 もう打撃も見えなくて、唇も凄い切れちゃったんですよ。人生でこんなに切れたことないというぐらい。いまも跡があるんです。いまだに舌で舐めると傷跡があるから、いつも浜崎さんとの試合を思い出しますね。
―― まだあの試合の味がする!
前澤 なんか、私たちって憎み合って殴っているわけじゃないじゃないですか。だから、浜崎さんとあんなふうにさわやかに試合ができたことで、「こういう試合もあるんだよ」というのを伝えられたらなって。まあ、それは叶ったのかなと思います。
―― 試合後は、浜崎選手と食事に行かれてましたよね。
前澤 そうなんです。血液検査とかでお世話になっている斉藤クリニックという病院があるんですけど、そこに浜崎さんが勤めていて。最初はそのお礼を、と思って私が斉藤先生に挨拶に行ったんですけど、斉藤先生から「じゃあご飯でも行こうよ」と。その流れで「浜ちゃんも呼ぶ?」みたいな。「そうなったら、うれしいです」とお伝えしたら、浜崎さんが時間の都合をつけて来てくださったので、なんか緊張しましたね(苦笑)。
―― どんな話をしたんですか?
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