かもすさん のコメント
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―― 関根さんはクレベルとの付き合いは長いんですよね。
関根 自分がボンサイで柔術を始めたときからなので、今年の9月で13年目かな。いまクレベルは31歳なので、彼が17、18歳の頃。
―― 10代のヤング・クレベル! かなりヤンチャだったそうですけど。
関根 いまはかなり落ち着いてますけどね。柔術の試合で対戦相手と乱闘しちゃったりすることもあって(苦笑)。ブラジル人同士になると、アカデミー同士のライバル意識がすごいんですよね。どっちが勝ったか負けたか、勝ったあとのアピールの仕方に怒ったりとか。
―― 今度は拳で勝負だと(笑)。
関根 あの頃と比べたら、クレベルはだいぶ大人ですよ(笑)。
―― イタズラ好きというか、子供っぽいところもあるんですよね。
関根 ありますねぇ。ブラジル人って悪ノリしてくるところがあるんですよね。自分は当時35歳だったので、最初は変な絡み方はしてこなかったんですけど……慣れてきたら(苦笑)。
―― 本領発揮しましたか(笑)。
関根 サトシはクレベルと同い歳なんですけど、サトシのほうは昔からエリートで品行方正、非の打ち所のないスターなんですよね。 柔術紫帯のときに黒帯のチャンピオンを倒しちゃったり、ずっと表街道の格闘家で。 クレベルはRIZINに参戦して、ようやく日本の格闘技ファンから注目されてますけど。
―― 同じボンサイの柔術家でも歩んできた道のりはまるで違うという。
関根 クレベルは昔から柔術の草大会にも出てて。 いろんな大会にすごい出てるし、負けてるし。 最近クレベルが有名になったことで「むかし柔術でクレベルに勝ったことがある」と言い出している人はいますけど、クレベルはそういう叩き上げなんですよね。 試合ではガンガン前に出るから面白い試合になるし、すごく親しみやすいキャラクターなのでサトシと違う人気を持っています。
―― いろいろとやらかすけど、愛されキャラというか。
関根 クレベルは小学校は卒業したけど、来日後は中学校にほとんど行ってないと聞きました。それもすごい話なんですけど、日本でずっと生活して、そして格闘技を学んだんですよ。 だから当然日本の思い入れも深くて。日本で生まれたり、育ったりした外国人選手って日本の国旗を掲げて海外で戦うことが多いじゃないですか。 クレベルも日の丸を掲げてKSWでチャンピオンになってますし。 どれだけの日本人選手が海外のメジャー団体で試合をするときに、国旗を背負って入場してくれてるのか?ってことですよ。
―― そこは日本への思い入れがあたりまえにあるからなんでしょうね。
関根 そうなんですよ。サトシやクレベルって海外から引く手あまたなんですよね。海外で柔術道場を開けば人は集まるし、日本よりも儲かる。
―― それでも自分が育った日本にこだわっていると。朝倉未来戦が決まったことでクレベル本人から何か感じるものはありますか?
関根 朝倉選手に対するリスペクトは凄いですよね。 そこはすごく感じますよ。 逆に朝倉選手もそうじゃないですか 。クレベルに対しての評価が高いでというか、いままであそこまで相手を認めるコメントをしたことはないですよね。 そこが試合にどう出るかのか。
―― 記者会見でクレベルは緊張していたんじゃないかって声もありますね。
関根 いや、クレベルはカメラを向けられると緊張するんですよ(笑)。
―― そういうことですか(笑)。
関根 サトシと違って最近まで、なかなか注目されなかったこともあって。そこがかわいいところでもあるんですけど。
―― クレベルはかなり早い時期からMMAをやってましたけど、寝技以外の練習はどうやってきたんですか?
関根 クレベルはボンサイの中ではいち早くMMA をやりましたね。打撃は途中からボンサイ内でムエタイクラスもやるようになって。 クレベルの打撃は当時からガチャガチャしてたんですけど。
―― 変則的で軌道が読みずらい打撃ですね。
関根 クレベルはボンサイでも打撃の指導をしていますが、そのときはきれいな打ち方なんですよ。試合ではあえて変則的にやってるわけじゃないけど、きれいな打撃というのはカウンターがうまい人には取りごろ。朝倉選手なんかには読めちゃうと思うんですね。
―― そこはガジャガジャした打撃のままでいいってことですね。
関根 結局ボクらは柔術が武器なので寝技に持っていければいいんですけど。
クレベルはいままでKO 負けしたことがないんですよね。
―― 試合を見るとけっこうパンチをもらってるけど。
関根 そこは身体に余計な力が入ってないから、カウンターにならない。常に動いてるから打たれても受け流すことができるんでしょうね。 あといまはONEのキック部門で活躍している“怪物くん”こと鈴木博昭さんのところに通って打撃を強化してて。それがすごく大きいです。
―― いつくらいから鈴木選手に習ってるんですか?
関根 ジムに通うようになったのは昨年の夏くらいからかな。それまでも一緒に練習はしていたんですけど。 選手の体型や運動神経、ファイトスタイルに合わせた指導方法で、MMAに役立つ打撃をを考えてくれて。 鈴木さんのおかげでボンサイの打撃がすごい伸びたんですよね、クレベルもサトシも自分も。いまって打撃も日々バージョンアップされていくじゃないですか。鈴木さんは月曜から土曜まで自分のジムで指導して、週末は東京だと前田憲作さんのジム、静岡だと力道場に足を運んでテクニックを仕入れて、それを咀嚼して必要なぶんをボンサイに伝えてくれてるんですね。
―― もはやチームの要というか。
関根 ホントそうですね。なので自分たちの試合には、鈴木さんにセコンドとして必ずついてもらってます。そこで鈴木さんにミットを持ってもらうかもらわないかで大きく変わってきちゃうので。 なのでサトシやクレベルも打撃は心配してないですね。あの2人が打撃のスパーリングをやると本当にすごいですよ。 戦略上、言えないこともありますけども……2人は寝技が一流だから打撃がおもいきりできるところはあります。
―― 組まれてもオッケーだから踏み込めると。
関根 そうです。 それがMMAでよくあるグラップラーがストライカーを打撃で倒しちゃう試合で。
―― UFCウェルター級王者カマル・ウスマンなんて鉄壁のレスリング力があるから、最近は打撃でもKOを量産してますね。
関根 ウスマンの打撃の強さもそこですよね。こないだの試合もマスヴィダルはタックルを警戒しながらだから、ウスマンの右ストレートを食らってしまった。サトシやクレベルもそういう打撃をするし、 宮田(和幸)さんのBRAVEの選手も同じような打撃をやっていて。組みを警戒するあまり、どうしてもパンチを食らってしまうんでしょうね。
―― クレベルは3月のRIZIN 摩嶋一整戦で何度かテイクダウンされちゃいましたけど、上をキープしていた摩嶋一整選手のほうがどんどん疲れていきましたねぇ。
関根 あれはクレベルが常に下から仕掛けてるからですよね。見てるだけではわからないかもしれないですけど、そのプレッシャーがすごいんです。だから下から削られてしまうんです。 サトシとクレベルでは下からのテクニックの違いにもあるんですよ。共通してるのはどんな瞬間でも一本を狙うことなんですけど。 クレベルが“動”の柔術だとすれば、サトシは“静”の柔術なんです。
―― サトシで“静”なんですね(笑)。
関根 サトシは柔術マスターというか、常にやられないポジションにいるんですよね。ここにを抑えていれば相手はパウンドを打てないし、パスもできないと。だから落ち着いた感じでコントロールする。 クレベルは逆に素人目から見ればガチャガチャ動いてるだけなんですけど、相手は疲れていくという。
―― 打撃も寝技もガチャガチャやっているクレベル。
関根 見方によっては洗練されてないんですけど、相手からすればフェイントとプレッシャーになってるという。
―― 打撃の軌道がわかりづらいように、寝技の仕掛けもわかりづらいと。現代MMAの主流に反して、サトシとクレベルもガードになることを厭わないですよね。 関根 そこは聞きたいところですよね。あえて下になりたいわけじゃないんですよね。 <会員ページへ続く>
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