ひゃくちゃんさん のコメント
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井上尚弥、田中恒成などの一流ボクサーから、那須川天心やMMAファイターのバンテージを巻く 永末ニック貴之 インタビュー。パーソナルトレーナーとしても多くのファイターを指導する永末さんのもとで、あの井上直樹もトレーニング中。ただでさえ怪物の井上直樹が急成長していると聞きつけ話を伺いました!(聞き手/ジャン斉藤)
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・RIZIN男塾塾長・石渡伸太郎「舐められてる自分にムカついてます」 ・和術慧舟會創始・西良典「総合格闘技がなかった時代の話をしよう」 ・井上直樹はもっと手がつけられなくなります■水垣偉弥 ・【必読】笹原圭一広報「RIZINの判定基準について説明いたします」
―― 新型コロナの影響で練習拠点のニューヨークに戻れない井上直樹選手が日本でも充分な練習ができているのは、井上尚弥や那須川天心の拳を守る“バンテージ職人”としても名高いトレーナー、永末さんの存在が大きいとお聞きしています。
永末 もともとはマネジメントのシュウ・ヒラタさんからお話をいただいて。彼は佐藤天と同じマネジメントなんですよね。
―― 永末さんと佐藤選手はものすごく古い付き合いなんですよね。
永末 天のデビュー前からの付き合いですね。 井上選手は打撃だけの指導だったんですけど、彼のシャドーを見たときにフィジカルトレーニングもやったほうがいいなと。それは打撃に繋がるトレーニングで、身体がスムーズに動くようになるんです。井上選手は素材としてはものすごくて、技術面に関してはなんでもすぐできちゃいます。ただ、受け答えの反応が薄いので……(苦笑)。
―― 井上直樹、唯一の欠点(笑)。
永末 「言ってることがわかってるのかな……」と思うこともあったりして(笑)。動きを見たらできてたりするので、センスや勘がいいというか。いまはフィジカルを週2回、打撃は大宮のBeWELLで志朗と一緒にやってます。通い始めてから全然変わりましたね。あの手足の長さが正直、活かせてなかったんですよ。
―― 改善の余地があったんですね。
永末 志朗とは戦略を一緒に練ったりするし、意見がよく合うんですけど。井上選手を見た感想が2人揃って「もったいない」ですから。
―― あの井上直樹がもったない!
永末 そうですね。あれだけリーチがあれば、打撃をもらわない距離で当てられるんですよね。自分や志朗の基本的な考え方は「もらわずに当てる」というもので。パンチをもらってもいいことは何もないじゃないですか。
―― まあそうですね(笑)。
永末 それでリーチが伸びるようなフィジカルをやろうと。
―― ド素人で申し訳ないんですけども、そんなトレーニングが可能なんですね。
永末 できます。 ただ鍛えるだけじゃなくて身体の動きに繋げられるし、打撃も鍛えられる。自分が教えているフィジカルはセットのあとにシャドーをやると必ず効果が出るんですね。この動画がわかりやすいですね。井上選手がフィジカルに取り組む前後です。
―― うわっ、これはたしかに全然違いますね!(笑)。
永末 腰のキレも違いますよね。これ、フォームの指導は全然してないんですよ。
―― えっ!?
永末 トレーニングをしたら、こういう動きができるように組み立てているので。
―― ……井上選手本人もその効果にビックリされてるんじゃないですか。
永末 ビックリしてますね。大晦日の試合(元谷友貴戦)も相手のパンチが当たらない距離でやれましたし。自分は格闘技経験がないんですけど、理論的に教えて、正しいトレーニングで正しい身体の使い方を思い込ませれば、勝手にこうなるっていう。
―― あらためて身体の使い方って重要なんですねぇ。
永末 自分はこの世界で20年近くやってるんですが、この種目でこれだけの重量が上がってるのに、どうして試合のパフォーマンスが上がらないんだろう?って疑問があったんですよ。それで効果があるの種目だけを残していって。つまり、いままでのやり方を全部捨てて、新しく作っていこうと。
―― あらためて構築するってなかなか勇気がいりますね。数字が上がるんだったら、あとは「選手が頑張ってください」で済ませていいところはありますよね。
永末 やっぱり格闘技はベンチプレスやスクワットで何キロ上がればいいっていうものではないし、スピードやフットワークに繋がらないと意味がないので。悩みのほうが多かったです。数字が上がってるのにパフォーマンスは変わらない。むしろは落ちてるんじゃないかってときもあったので。さっきの動画のようにトレーニングしたあとにシャドーをやったらどうなるのか?と。イチから指導法を変えましたね。
―― 何かお手本はあったんですか?
永末 ないです。
―― まさにイチから! 指導法に手応えを感じ始めたのっていつぐらいなんですか。
永末 ここ半年くらいじゃないですかね。
―― つい最近ですね!(笑)。
永末 まだまだ変えていくところは出てきますね。
―― 井上選手もまだまだ伸びるってことですね。
永末 全然伸びますね。彼はすごいですよ。 教えると、なんでもすぐできるし、どんどん伸びるんじゃないですかね。 大晦日の試合が終わったあとアメリカに戻ると思っていたので「もう半年、時間をちょうだい」とは本人に伝えてたんです。「もっと変えられるから。半年過ぎたらアメリカに戻って大丈夫だよ」って。
―― その半年が経ってますから、さらに怖いことになってるという(笑)。
永末 志朗って他のジムからキックやボクシングの日本チャンピオン、東洋チャンピオンが来てもスパーで全然やられたことないんですよ。強すぎるから来なくなっちゃうんですけど。でも、井上選手とスパーしたら、志朗がラウンドを取られたところを初めて見ましたからね。
―― それほど志朗選手からラウンドを取ることは難しい。
永末 あと志朗の身体にアザができたのも初めて見ました。
―― それ、志朗選手も井上選手もどっちもバケモノって話ですね(笑)。
永末 井上選手はキックでも、あたりまえのようにチャンピオンになれる逸材ですよ。
―― それくらいMMAの打撃レベルが向上してる面もあるんでしょうね。
永末 佐藤天もスパーだとミドル級日本人ボクサーのチャンピオンクラス相手に触らず勝てますからね。そこは志朗や天心も同じで。
―― 志朗選手は那須川選手とあそこまで渡り合うんだから、やっぱりすごいんですねぇ。
永末 すごいですよ。頭の中はまるでコンピューターですし。でも、彼は不器用なんですよね。身身体能力もそんなにない。でも、練習量がすごい。いま自分が教えてる女子ボクサーがいるんですけど、志朗の練習量を見せてたくて大宮で来てもらってるんですよ。 で、感想が「志朗さんって天才じゃなかったんですね」って。
―― 圧倒的な練習量が彼を支えていると。
永末 その事実を見せたくて連れて行ったんですよね。志朗だからあんな試合はできる、天心だからあんな動きができるってみんな諦めちゃうんですけど、そうじゃないよって。練習だよって。
―― いまはアメリカに練習環境を移したほうがいいという論調がありますよね。
永末 スパーに関しては選手層を考えるとアメリカに移したほうがいいのかなって。身体の使い方に関しては負けてないなって思ってます。 自分はアメリカに何回か行って向こうのジムも見てますが、「ここは勝ってるな」と思うところがあれば「ここは考え方を直さなきゃいけないな」ということもあったりで。
―― 日々アップデートされていくし、選手によって指導方法も変わったりするでしょうし。
永末 それは変わります。最近キックはボクシング寄りになってきてるので、 ボクシング寄りの教え方になってるんですけど。トレーニングでいえば、MMA は打撃のように投げ捨てるような動きと、逆に固める動作を両方やっていかなきゃいけないので。たとえば「体幹が弱い・強い」という言葉を出せばいいと思ってる人っているじゃないですか。 体幹トレーニングと呼ばれているものも固めるもので、動かすものは少なくて。
―― 両方やらないとパフォーマンスに繋がらないんですね。競技の進化にトレーニングを合わせるとなると情報収集も大変なんじゃないですか。
永末 大変ですね。 ボクシング、キック、MMA……ずっと映像を見ています 。自分は格闘技経験がないので他人の何倍も映像を見て、それで身体の使い方を勉強しないと指導もできないと思ってるので。トレーニングの教科書はもう何十年、見てないですね(笑)。 映像の中からトレーニング方法を作って行く感じです。普通は教科書にあるトレーニング方法を格闘技に当てはめるパターンが多いとは思うんですけど、 そこは一切捨ててるので。いままでこれをやってきたけど、やっぱりちょっと変えるってときもありますし。
―― 井上選手以外にも「もったいないな」って思う身体の使い方の選手はいるんでしょうね。
永末 技術的に限界があるという話ではなく、 性格的に無理だなっていう人はたくさんいますね。あんまり言うと怒られちゃいますけど(苦笑)、向上心があるようでない選手はけっこう多いので。
―― 格闘家ってみんな向上心があるように見えますけど。練習は欠かさないけども、好奇心がないってことなんですかね。
永末 あとは継続、続けること。 新しい技術を練習しても、その日だけやって、それ以降やってなかったりとか。身につけたと思ってやめちゃうと、ちゃんと身体に染み込んでないから忘れてしまってできない。志朗や天心は無意識に動けるまで練習するんですよ。彼らはそこまで続けるから1年後も動ける。 ・精神的につらかった天心vs志朗 ・UFCファイター佐藤天との約束 ・謝礼は交通費から始まったバンテージ職人 ・井上尚弥の拳を守り、最高のパフォーマンスを引き出す
・なぜ日本ではカットマンが育たないのか……1万字インタビューはまだまだ続く
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