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クラシックなファイトスタイルで己の道を突き進むHEAT-UP所属のプロレスラー、 インタビュー第4弾。今回はインディ世直しについて!(聞き手/ジャン斉藤) 1記事から購入できる渡辺宏志のインディ回顧録シリーズ
①プロレスの青春! 新日本プロレス学校の最後を見届けた男
②90年代インディお金の悪い話、いい話!! ③高野拳磁とPWC伝説■渡辺宏志塾長
―― 前回は怪しい話が大好評で。
渡辺 メルマガを購読されている読者の方からすると、伏せ字の意味があまりなかったみたいで(笑)。
―― そうですね(笑)。ただ、伏せ字の人物がわからなかった読者も何人かいたみたいですね。
渡辺 それは比較的、新しいファンの方なんでしょうね。
―― そういう怪しい話って他にもあったんですか?
渡辺 記憶をさかのぼれば犯罪スレスレの話はひとつやふたつないわけではないんですが……いや、 あくまで聞いたかぎり、あきらかに犯罪だろうというものもありますけどねぇ。 当事者でもないので正直、世の中に公表できない。
―― それはあまり聞きたくないですねぇ。
渡辺 言えるものでいえば、これもボクはまったく関わっていない日本プロレス時代の話ですけど……。
―― だいぶさかのぼりますね(笑)。
渡辺 猪木さんが中心となって選手会が上層部に使途不明金の説明を求めたことがあったじゃないですか。
―― 最終的に猪木さんがクーデターを企てたとして日プロから追放されて新日本プロレスに奔るやつですね。
渡辺 使途不明金にしていたのは理由があって。日本プロレスという会社を存続させるためには必要なものだったらしいんです。それが表に出てしまうと、日本プロレスどころか日本のプロレスそのもののが危うくなってしまうもので、猪木さんや馬場さんはそういう背景があったことはご存知なかったみたいで。それを知っていたのは芳の里社長、遠藤幸吉さん、当時経理をされていた三澤正和さんの3名だけで。それが明るみになろうとしたときに芳の里社長が三澤さんに「責任を取ってやめてくれないか」とお願いしたところ、 それだったらすべて世間に公表すると。それは困るということで三澤さんはそのまま会社に残留されて。結局、猪木さんが除名というかたちで幕引きされましたけど。その使途不明金は何に使われていたかというと、どうやら偽ドルの製造だったらしくて。
―― 偽ドルの製造! ホントですか!?
渡辺 当事者の三澤さんが裏話系の雑誌でそういう証言をしてるんです。 「いまだったら、もう時効だろう」と。 まだ沖縄が返還される頃の話で、じつは日プロが沖縄で偽ドルの製造に一枚噛んでいたらしくて……。
―― そんなヤバイこと、いったい誰が始めたんですかね。
渡辺 おそらく力道山先生じゃないかなって思ってるんですけど。
―― 裏社会にも精通していた力道山先生なら、すごくありえそうですよね。
渡辺 当時の日本プロレスには反社会勢力の方も関わってましたから。山口組の田岡(一雄)組長は日本プロレス協会の副会長ですし。資金作りの裏稼業をやろうと思えば、できちゃう環境ではありましたよね。
―― グレーなビジネスにためらいがなかった時代ではありますし。
渡辺 それに与党の大物政治家が日本プロレスのコミッショナーとして名を連ねれてましたからね。そっちのルートも充分に考えられますよね。
―― 右手でヤクザと握手して、左手で政治家と握手する世界ですよね(笑)。
渡辺 日プロ以降のプロレス界もそういう繋がりはあったままで。猪木さん自身はヤクザが大嫌いな人ですけど、興行という意味では頼らざるをえないところはありましたから。
―― 猪木さんはヤクザが嫌いだから新日本は反社とつながってなかった、みたいに言われますけど、そんなわけがなくて。
渡辺 いやいや、ホントにそんなわけがないですよ。馬場さんだって好きか嫌いかでいえばヤクザは嫌いですよ。でも、興行をやるうえでは当時は不可欠な存在で。
―― 2人ともヤクザは嫌いだけど、誰かしら間に入ってうまく取りまとめていたということですよね。
渡辺 そう考えるとボクらがデビューした90年代は、かわいい世界になっていたのかなと。 それなりに大きい興行にはそれなりの方が関わっていた現実がありました。 2000年に入ってから、あるプロレスラーのツアーに参加したときに、興行を取り仕切りっていた方はそういう系の人たちでしたし。
―― やっぱり旨味がある興行の場合は関わってくるということですね。
渡辺 そうでしょうね。いまは暴力団排除条例がありますけど、向こうはプロですから、 気づかれずになんらかのかたちで関わってくることはあるでしょうし。 挨拶がなかったらなかったで、他人の見えないところで突ついてくることはあるでしょうから。
―― プロレス団体からすれば、反社と付き合ってる感覚はないけど、いつのまにか関わってる場合もありますよね。
渡辺 でしょうね。
―― かつて全国各地で年間300興行近くやっていた全日本女子プロレスは、それくらい顔が利いたってことですよね。
渡辺 だって全女を取り仕切っていた松永兄弟からして興行のプロだったわけじゃないですか。 あの人たちは日本でプロレスが盛んになる前に柔拳というかたちで興行をやられていて。 そういう人たちとの付き合い方、立ちふるまい方は心得てる方々でしょうからね。そもそも興行というものはそういう人たちに関わる仕事で、 さかのぼれば江戸時代の相撲からそうでしたからね。安土桃山時代以前の相撲は興行ではなく神事として行なわれていましたが、 江戸時代の天下泰平の世に庶民の娯楽として興行というものができたときに、そういう人たちが取り仕切ることで成立していったわけで。
―― 当時は法精神が超薄かった時代ですから、ある程度の武力がないと、まとめることがなかったんでしょうね。
渡辺 当然、商売敵が妨害工作に出てこともあったでしょうから。 庶民にちゃんと娯楽が提供できるようにそういう方々が守っていた面もあるんでしょうね。当然、金を持ち逃げする奴もいたでしょうし、そういうことにも睨みをきかせるためにも必要といえば必要な存在だったんでしょう。
―― 当時インディの未払いだとW★INGの茨城(清志)さんが有名ですけど、渡辺さんはW★ING以外で被害はあったんですか?
渡辺 前のインタビューでも話しましたが、PWCで未払いはありました。未払い・遅延はインディー団体の宿命みたいなところはあったかもしれないですね。 ギャラが安いですけど、そういうことをしなかったのは鶴見五郎さん。
―― やっぱり鶴見五郎!佐野直さんも同じこと言ってましたね。
渡辺 「シブチンだよなぁ」というギャラではありましたけど(笑)、あの人はお金に厳しいというだけでお金に汚いわけではない。安くても未払いどころか遅延すらなかったですね。そこはきちんとしてましたね。 逆にお金に汚かったのは……
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