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毎大会恒例! 笹原圭一 RIZIN広報のインタビュー!! 今回は RIZIN LANDMARK を振り返ります!(聞き手/ジャン斉藤)
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―― 笹原さん!RIZIN LANDMARKはいろんな意味で格闘技の歴史に残るイベントになりましたね。
笹原 試合開始前からU-NEXTさんのサーバーがダウンしてしまって……試合を楽しみにしていた格闘技ファンの皆さんには本当に申し訳なかったです。今日は一切面白い話はせずに、ひたすら反省の弁を述べたいと思います。
―― 現場は超大変だったんですよね。
笹原 カレーとラーメンを頭からかぶって、豚汁を作っている感じですかね……。
―― いきなり面白いことを言ってますけど、とにかく大変な感じは伝わってきます!
笹原 時系列に沿って説明すると、大会自体は19時開始ですが、U-NEXTさんの配信プラットフォームには18時半から入れる予定でした。その時点で「ブラウザで見られない人がいるようだ」という話が現場にも入ってきたんです。 U-NEXT さんの方で対応するも復旧せず、 19時開始の時間が迫ってきて……。現場にもお客さんは来場していたので、どういう状況なのか説明が必要になってくるじゃないですか。なので19時前に社長(榊原信行)がリングに上がって、会場のお客さんに説明しているんです。
―― 榊原さんは19時45分頃にリングに上って「20時から開始する」とアナウンスしましたが、それ以前に説明されてたんですね。
笹原 そうです。その19時45分頃に行なった2回目の説明のときに「現時点ではブラウザで見ることはできないけど、20時になったら復旧していなかったとしてもイベントはスタートします」ってアナウンスをしたんですよ。
―― アプリ限定でも配信をしようと決定したのは何時頃なんですか。
笹原 いや、社長がリングに上がる直前ですよ。これ以上選手もお客さんも待たせられないので、もう20時に旗を立てようって決めた感じです。合わせて、U-NEXTさんが復旧に動いているあいだに、ブラウザで見ようとしていた人に「アプリで見られる」ということを伝えるためにツイッターとかでアナウンスしていたんです。
―― それでボクもアプリから見ることができましたね。
笹原 もう待ったなしの状況で、いろいろと判断しなくちゃいけなかったんです。
―― 配信自体がまったくできないという絶望的な状況ではなかったわけですね。
笹原 そうですね。ただ格闘技というスポーツの性質上、明日に順延するわけにはいきませんし、極端な話、配信ができなかったとしても試合自体はやるしかなかったんです。
―― 一歩間違えると地獄だったわけですね……。 U-NEXT もサザンオールスターズをはじめとする有名アーティストのライブ配信をやってきた実績がありましたし、アクセスが殺到する事態は想定してたんですよね。
笹原 サーバーダウンの原因は現在調査中ですが、U-NEXT さんも想定はしていたんですけども、その想定以上のアクセスがあった、ということなんだと思います。 大会前日、平日の昼間に公開計量があったじゃないですか。あのLIVE配信でも2万人以上に見ていますから。
―― RIZINの記者会見って平日の昼間にやってるのに、どの格闘技団体の試合よりも同時視聴者数が多いですよね。
笹原 会見をやるたびにYouTube のライブ急上昇ランキングの上位に上がってますから。朝倉未来選手と萩原京平選手のフェイスオフも緊張感もあって、あのにらみ合いで期待感がものすごく高まりましたよね。
―― あのフェイスオフの動画がSNSで拡散されたことで、PPVを買おうと決断したファンは多いでしょうね。
笹原 それで当日試合開始ギリギリにアクセスが集中して、サーバーがダウンしたじゃないかと。その詳細な原因は調査中ですけど。
―― 今回のRIZIN LANDMARKは「4試合¥3,800」という価格設定の配信特化イベントでしたが、こんな事態になるほどPPVが売れたということですか?
笹原 社長は当初10万件という目標をぶち上げていたんですよね。まぁ例によって聞こえないふりをしていたんですけど(笑)。
―― ハハハハハ! その10万件というのは2002年の国立競技場『Dynamite!』が打ち立てた、格闘技イベントのPPV記録ですよね。
笹原 そうです。「その記録を超えるぞ!」ってことなんですが、まぁそんな簡単に超えられる数字じゃないですし(笑)。U-NEXTさんのPPV配信の記録は●●●のライブなんですけど、 配信が始まった時点でその記録にはちょっと届かないかな……っていうぐらいの差があったんですけど、あっという間に一気に抜き去ったんですよ。
―― すごい!!
笹原 だからサーバーダウンの一報が入る前は、みんな「スゲェスゲェ!」ってサンバでも踊り出すくらい沸き立っていたんですよ。
―― で、そのあとカレーとラーメンを頭からかぶって、豚汁を作り始めるわけですね(笑)。
笹原 そうなんです……。なかなか、あんな高低差のある落差は味わえないですよ。サーバーが落ちたことでネット上でも一種の祭りになって、それで興味が出てきて購入した人もいるかもしれないですよね。 大会翌日の見逃し配信でも数千件近く売れたらしいですから、噂が噂を呼んで「何か起きてるぞ」と興味を掻き立てたってことなんでしょう。
―― 大手の U-NEXT がやることで違法動画の取り締まりが厳しくなった影響もあったんでしょうね。
笹原 ああ、それもあるんでしょうね。あとRIZIN LANDMARKを見るためにU-NEXT さんに新規加入した数がそれも驚く数字だったみたいで。
―― UFCがESPN+に移行したときにESPN+の会員が爆発的に増加した現象と同じですね。ライブコンテンツのパワーの凄さ。
笹原 とりわけ格闘技が持っている「その瞬間が見たい」というパワーはすごいなってつくづく思い知らされました。
―― U-NEXTにRIZINのネットPPV自体が完全移行することはあるんですか。
笹原 いまのところその予定はないです。LANDMARKは今後ともU-NEXTさんのほうでやっていく予定ですけど、まずはその前に今回の不手際の処理をしっかりやらないといけないですよね。
―― 今回はいろんなものが重なったうえでの数字ですよね。配信特化というRIZINの新機軸イベントに、朝倉未来というスーパースターの存在。そこにvs萩原京平というキラーカードが残っていたのも大きい。
笹原 足し算ではなくて、掛け算になったってことなんでしょう。今年の初めに未来選手には「配信特化型のイベントをやりたい」という話はしていたんですよね。新型コロナで入場規制がある中で、通常のイベント以外に収入を増やさなきゃいけないっていうところから企画したんですけど。 そのときはLANDMARKとイベント名はついてませんでしたが、やるんだったら朝倉未来vs萩原京平みたいなカードなんだろうなってボンヤリ考えていたんです。これがRIZINのナンバーシリーズだったら「萩原はまだ早いんじゃないか」という声も出てくるかもしれませんけど、配信イベントという別の切り口だったらイメージに合うんじゃないかと。
―― 角度を変えただけで、ビジネスのあり方が大きく変わるんですねぇ。
笹原 昔、藤波辰巳と木村健悟が後楽園ホールでワンマッチで試合したみたいなことですね。
―― リングがいつもと違う硬質マットでレフェリーが上田馬之助。その1試合だけで当日券が完売した、ってそんな昔のこと誰もわかりませんよ!イナズマッ!!
笹原 いやでも、これだけ情報が開示される時代なのに「いったい何をやるんだろう」と興味を持たせて注目を集めるという手法は同じですよ。だから朝倉未来vs萩原京平は「令和の藤波vs木村」ですよぉぉぉぉ! って、やってて馬鹿らしくなりますけど(笑)。
―― いまは無料のものが氾濫してますけど、1日は24時間って限られてるから「自分が好きなもの」が明確に線引きできる時代ですよね。タダでも興味がないと一切見ない。
笹原 そこは有料・無料の関係がない時代だってことなんでしょう。そういえば那須川天心選手や高田キャプテンも当日になって急遽来場しましたからね。
―― わざわざ見に来たんですねぇ。 村松友視の言う「武者窓から覗き込む世界」。 笹原 いまのRIZINファンには村松友視さんこそわからないですよ!(笑)。
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