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2月開催予定の RIZIN LANDMARK出場が決定した 平本蓮 インタビュー!(聞き手/ジャン斉藤) 【1記事から¥110から購入できるバックナンバー】 ・ 【謎】堀口恭司はなぜ立ってしまったのか■水垣偉弥
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―― 今日は1月6日の取材になりますが、平本選手が出場される次のRIZIN LANDMARKの対戦相手はまだ決まってないんですよね?
平本 相手はまだですね。怪物くん(鈴木博昭)が萩原京平に勝ったら怪物くんになるのかなとは思っていたんですけどね。なんかナメられてるし、ちょうどいい相手かなと思って。
―― 鈴木選手は萩原選手に判定で負けちゃいましたね。
平本 でも、大晦日RIZINのリングでLANDMARK出場を発表することはあらかじめ決まってて。とっさに萩原との再戦を提案したんですけど。
―― B案もC案も相手の都合もあって消えてしまったとか。
平本 まあ、相手は本当に誰でもいいかなっていう。相手云々より総合格闘技としての完成度が違ってきてるので、ホントみんなをビックリさせられると思うんですよね。
―― アメリカ修行の手応えがあるわけですね。
平本 そうですね。とにかくUFCまで突き抜けたいというか。究極の格闘技スタイルを作りたいし、そういった片鱗を今度の試合で見せれるんじゃないかなと思ってて。
―― そのためにも今年は試合をどんどんやっていきたいんですよね。
平本 総合はやっぱり試合で経験してモノにしていく部分があるんですけど、試合に近い激しいスパーリングができてれば、絶対に試合にも活かせるなって。そういう練習をやれてるので心境的に楽な部分はありますね。前は「今日の試合は最高の動きをしよう」とか「今日は自分史上最強の試合をしよう」とか思ってたんですけど、アメリカで練習をしていく中で自分にどんどん自信がついていって。「今日の自分をがんばろう」という意識が持てるというか、自分のすべてを今日、出し尽くしてがんばればいいかなって。そういう余裕を持てるようになった感じすね。
―― 海外で気付かされることがあったんですね。
平本 そうですね、はい。
―― 修行先のルーファスポーツにあっという間にとけ込んじゃうところが平本選手らしいなと。
平本 ハハハハハハハ。本当にすごいタイミングでルーファスポーツに行けたなという感じすね。
―― ルーファスポーツ所属でベラトールバンタム級王者のセルジオ・ペティスが堀口恭司選手と対戦する前で。
平本 アメリカに行く前とかペティスのセコンド付くなんて思ってなかったんで。ビックリしますね(笑)。
―― 以前の取材によれば、スパーリングを通じてペティスの信頼関係を得たってことですけど。
平本 それもあるし、自分から他の選手に声かけて打撃を教えたんですよ。
―― 自分から積極的に?
平本 はい。そうしないと英語を覚えないし、自分から話かけないとマジでもったいないなというか、ただの旅行と一緒になっちゃうなと思ったんで。自分から英語でコミュニケーションを取ろうと意識しましたね。「こうすれば威力が出る」「スピードが早くなる」とか。打撃ってなんとなく感覚で打ってる選手が多いんですけど、ボクの中では確信を持って打つフォームというか、やり方があって。その教え方が向こうの選手にはすごく伝わりやすかったみたいで。「俺にも教えてくれ、俺にも教えてくれ」みたいな。
―― 平本蓮レッスン大盛況ですか(笑)。
平本 打撃の部分でサポートができたんですよ。そのかわりにレスリングを習ったときに「打撃を教えてもらったときの動きだよ」みたいな感じで。要は動きの中でいろんな競技に通じるものがあって、そういう部分でコミュニケーションが繋がりましたね。
―― 身体の使い方を言語化できる平本選手もすごいんですけど、言葉が違うのにちゃんと伝わるのも面白いですね。
平本 はい(笑)。「ショルダー、クローズクローズ」とかシンプルな単語でわかりやすく説明してて。英語の文法にこだわらずに思いついた単語ボンボンしゃべってたんですけど。それがけっこう伝わりやすかったのかな。
―― 交流を経て“日本からのお客様”ではなくなったんですね。
平本 行く前はアメリカで現実を突きつけられて心が折れそうになったりするのかな……と思ったんですよ。最初はたしかにキツかったですけど、絶対モノにしてやると思って。まぁ楽しかったし、ドMだからできることなんですけど(笑)。
―― えっ、平本選手ってドMなんですか。
平本 はい(笑)。
―― SNSからはそう見えないですね。
平本 いやあ、アンチとかに「見てろよ!」って燃えますよ(笑)。
―― 燃料になってるんですね(笑)。そのペティスに堀口戦のセコンドを頼まれたときは驚かれたんじゃないですか。
平本 最初インスタでセルジオからメッセージが来て。コーナーナントカカントカって書いてあったんですけど、ちょっと理解できなかったんです。翻訳アプリを使っても意味がわかんなくて。でも、セコンドをお願いされたっぽいなとは思ってて。次の日、ジムで「昨日のあのメッセージは試合を観に来ること興味ないってことですか?」って感じで聞いたら「いやいや、よかったらセコンドについてほしい」って言われて。マジか!?って感じですよ。
―― 大役ですよね。
平本 しかもちょっと前に知り合ったばかりなのに。でも、ESTAが90日間で本当ギリギリだったんです。12月5日にアメリカから出ないと不法滞在になっちゃうんで(苦笑)。
―― セコンドしたおかげで不法滞在(笑)。
平本 ギリギリだけど、セコンドは絶対にやりたかったから「ぜひやらせてください」って。
―― そこからチームの一員としても堀口戦に取り組んだんですか?
平本 いや、その前からボクがセルジオとスパーするときは伝統派のステップをやってあげていたというか。ボクも伝統派の動きができるんで、堀口選手のマネをして。
―― ああ、仮想・堀口恭司に。
平本 とにかく堀口選手の映像を見まくったんですよ。前からなんとなく戦い方はわかってたんですけど、あらためて。重心の持って行き方、パンチを打つときの頭がどこに置いてあるか……すべてを細かく見て。たとえば朝倉海戦で堀口選手はステップを踏んでなかったんですよ。そのやり方でも戦えるってことですけど、今回のセルジオ戦はステップを踏んでくるんだろうなと。
―― だからステップを踏んでスパーをやって。
平本 ボクはあんまりステップを踏まないで戦うんで、堀口選手スタイルはメチャクチャ疲れたんですよ(苦笑)。死ぬほど、しんどかったですね。
―― やってみてわかる堀口恭司スタイルの厳しさ。
平本 堀口選手のあの運動量はすごいです。だからこそ、あの動きを5ラウンドやり続けるのはキツイんだろうなって。ずっとランニングしながら戦ってるのと同じですよ、言っちゃえば。
―― それは尋常じゃない運動量ですねぇ。
平本 その圧倒的スピードがあるから、あのステップに相手は混乱してハマっていくんですけど。人間って相手の動きに付き合おうとすると、どんどん疲れてくるんですよ。それにああいうスピード感のある選手に1R目からスピード勝負しちゃうと交通事故が起きちゃうというか。やっぱりスピードで上回る堀口選手にバチーンと決められたりしちゃうんで。でも、2R目、3R目には目が慣れるから、それまで絶対に焦っちゃいけないってことは試合前に伝えられたかなって。動きが早いけど絶対に大丈夫だからと。
―― たしかにセルジオはガマンの戦いでしたね。試合自体は3Rまではすべてセルジオが取られて。
平本 けど、あと2Rもあるし、セルジオ元気で堀口選手は落ちてきてたんで、むしろ3Rまでは取られてはいるけれども、決めきれられてはいないし、だんだん反応できるようになっているな、動きが見えてきたのかな……とは思ってて。で、4R目に堀口選手けっこう距離は近かったし、セルジオにテイクを切られてるんですよ。これはチャンスだぞと。キックの試合を見ててもあるんですけど、そろそろどっちか倒れるなみたいな距離感になっていたというか。
―― そういう距離感があるんですね。
平本 はい、そんな距離感があるんですよ。もうKOが来るぞ、みたいな。それはどっちかがテンパってる展開ですよね。
―― 距離感がおかしくなっちゃう。
平本 そうですね。これは来るかもなって思った瞬間、セルジオのバックブローが当たったというか。
―― そこはステップで疲労している堀口選手がちょっと攻め手が欠けたところで距離感が狂ってしまったと。
平本 そうです。だからといって、堀口選手のステップがよくないとかじゃなくて、それは堀口選手のスタイルだし、最大の強みですよね。逆にセルジオはずっと冷静に戦える強靭なメンタルがある。5分5Rの長丁場になれば、どこか穴を突ける一瞬があるんじゃないかと。セルジオが勝つとしたら、そういう感じなのかなとは思っていたので。
―― セルジオは3Rまで堀口選手に封じ込められたのに、まだ戦える体力と精神力が残っていたのがすごいですね。
平本 いやあ、堀口選手はすごかったですよね。あのレスリングや、上を取ってフタする戦い方とか。近くで試合を見てて「日本人だからとか関係ないんだよ」と言ってることは伝わったすよね。2人ともレベルが高いからこその凄みのある試合だったなと。
―― 平本選手は3Rのインターバルのときにセルジオに近づいてアドバイスされてたじゃないですか。あれは何を伝えたんですか?
平本 まぁ……作戦になっちゃうんで。また堀口選手とはトーナメントでも当たるかもしれないですよね(笑)。
―― シークレットということですね(笑)。セルジオの試合後のインスタ初投稿は平本選手への感謝だったので、平本選手の存在は大きかったってことですね。
平本 けっこう貢献できたんじゃないかとは思います。伝統派のタイミングの取り方や、これをやっておけば安全だと対策を説明したときに、セルジオから「you are smart!」って言われて。セルジオも才能がすごいんで、教えるとすぐにできるんですよ。でも……「あぁ、俺も早く試合してーな」って思いましたね(笑)。
―― やっぱり自分が戦いたいですよね。
平本 次の試合を見れば、みんなビックリするだろうなっていう楽しみがあるんで。楽しみ度でいえば、明日が明るいんですよ。総合格闘技に転向して最初に負けて、キックのときでもあんなに「負けた……」って思うことってなかったんですけど。本当に「負けた」と思ったんですよ。「総合格闘技に負けた」って。
―― 精神的にもそこまで打ちのめされたんですね。
平本 それから楽しかったんですよ、練習が。本当にいい1年だったなって。本当に毎日楽しくて努力できたというか。小学生の頃に戻ったように単純に格闘技だけを考えられて。もしあそこで勝っていたら、ここまで熱心にやれてないと思うんです。
―― 「これでいいや」とブレーキが勝手にかかってしまう。
平本 ホントに。だけど、あの負けがあるからとどまりを知らないというか。ああいう思いをしたくないから、誰にも負けたくないというのがあるから、言い訳できないように本気で練習をやろうと思って。それでどんどんのめり込むように練習できたというか。一番速く感じた1年かもしれないです、人生の中で。
―― またアメリカに戻るんですよね? 試合が終わったら。
平本 試合が終わったら戻ります。ただオミクロン株で先がわからないんで日本での練習環境もしっかり整えようと。それは日本に戻る前から思ってたんで、新しい体制でやってみようかなと。
―― 日本ではどこへ練習に?
平本 これは載せられるのかな。<11000字インタビューはまだまだ続く>
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