TENGUさん のコメント
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齋藤彰俊 インタビュー第4弾は「平成維震軍の愉快な仲間たち」です!(聞き手/ジャン斉藤) ①齋藤藤彰俊インタビュー「名古屋の街の風紀を正していた高校時代」
②齋藤彰俊インタビュー「W★ING参戦、新日本プロレスvs誠心会館」 ③齋藤彰俊インタビュー「新日本プロレス道場で過ごした日々」
―― 前回は新日本プロレス時代のケンドー・カシンとの意外な接点なんかを語っていただきました。
齋藤 カシン選手がPRIDEに出たときに、自分がセコンドに付いたのはそういう関係性があったんです。当時は公にはできなかったんですけど。
―― 今日もいまだから明かせるお話をお願いします! 本題に入る前に……新日本プロレス創始者であるアントニオ猪木さんがお亡くなりになりました。彰俊さんは平成維震軍時代、猪木さんと何か接点はあったんでしょうか?
齋藤 道場にいるときや、試合会場でお会いしたことはありました。あるとき道場で夜に練習してるときに猪木さんが来られたんですよ。「おう齋藤!」と声をかけていただきまして、モハメド・アリと戦ったときのお話をしていただいて。自分は直立不動で聞かせていただいたんです。そうしたら「ボクシングのヘビー級のパンチがどんだけ痛えのか、わかるか!?」って言われて、いきなり顔をバーンって殴られたんですよ!
―― えええええ!? それは冗談っぽい感じで?
齋藤 いやあ、どうなんでしょう? 猪木さんがどういう狙いがあったのかがわからなかったので自分も笑えなかったですし、ヘビー級のボクサーじゃなくても顔を殴られたら痛いです(笑)。
―― 猪木さんはヘビー級ですけど、ボクサーではないですし(笑)。
齋藤 やっぱり極真空手の大山倍達さんなんかもそうですけど、格闘技でトップに行く人は、常識では計れないところがあるんだろうなって思いました。そのあとリングの上に寝られた猪木さんの身体を自分がマッサージして……。ちょっと寝息を立てられたんで「お疲れなのかな……」と思って手を止めると「……なんだ、もう疲れたのか」と(笑)。
―― ハハハハハハ。猪木さんは突然練習に来られたんですか?
齋藤 はい。いつに来られるとかは決まってなかったと思います。そういう偶然にお会いできる機会に、レスラーとしての心構えをパンチ一発で教えていただいた感じがします(笑)。
―― 前に聞いた話だと、猪木さんがジェラルド・ゴルドー、スティングと戦った1DAY格闘技トーナメントのときに、山本小鉄さんが……。
齋藤 ああ、ありましたね。小鉄さんが平成維震軍の控室にいらして。ゴルドーって相手の目に指を入れたりする危ない男じゃないですか。もし猪木さんに何か起きたら「オマエらが行け!」と言われました。シューズも紐を結んで上からテーピングを巻いてですね、脱げないように。
―― 修羅場対応!
齋藤 そのときに後藤(達俊)さんから「オマエは空手をやってんだから、正面から行け! オレたちは後ろから行く」と。
―― ハハハハハハハハ! 後藤さんも寛水流空手出身なのに。
齋藤 越中(詩郎)さんは「オマエらはゴルドーに行け! オレは猪木さんのところに行くから」って。皆さん、危機回避能力が優れてるなって(笑)。そういうものが身についてないと、生き残れないんだなっていう勉強をさせていただきました。
―― ゴルドーがホントにヤバいことが伝わってたんですねぇ。
齋藤 はい、ヤバかったですよね。ゴルドーだけじゃなくて、オランダ軍団も一時期、新日本に来てたじゃないですか。東京ドームで木村健吾さんが間違ってオランダ軍団の控室に入っちゃいました(笑)。「アイツら危ないよ」って。
―― 彼らの職業はバウンサーですもんね(笑)。
齋藤 危ない繋がりで、ちょっと話は飛ぶんですけど、平成維震軍が旗揚げ戦をやったときに……。
―― 平成維震軍が単独でシリーズをやり始めて。旗揚げ戦はNKホールでしたね。
齋藤 あのときブランコ・シカティックとやるという話があったんですよ。
―― 初代K-1WGP王者と彰俊さんが!
齋藤 誰がどのようなルールであたるかはわかりませんでしたが、たぶんメインで越中さんになりそうな感じだったんで……越中さんから「試合まで数週間しかないけど、どうだ?」と。さすがに数週間しかないのにシカティックに対抗できるは打撃を身につけるのは厳しいですよね(笑)。結局来日できなくなって話はなくなったんですけどね。
―― あのときのメインは越中さんとジェット・シンでしたね。特別レフェリーの猪木さんがシンとやりあったことで、猪木さんが主役になっちゃいましたけど(笑)。
齋藤 あのときジェット・シンがサーベルを忘れてきたんですよ(笑)。
―― ハハハハハハ! ジェット・シンにとってなによりも大事なものですよ。
齋藤 「どうしようか」ってなったときに、のぼり旗の伸びる棒みたいのがあるじゃないですか。それを使おうと。でも、それをジェット・シンが口に咥えてきたときにファンからすれば、どうなんだろうなと。ちょっと「クスクス」って笑う感じもあって(笑)。
―― のぼり旗の伸びる棒だと緊張感ないですよね(笑)。
齋藤 でも、ジェット・シンがそれを振り回したときに棒が伸びたんで、ファンの人たちがみんな「うわっ!!」と驚いて(笑)。
―― ハハハハハハ!サーベルがないのは当日に気がついたんですか?
齋藤 そこはどうなんですかね。当日なのか、来日したときなのかわからないですけど。竹刀や木刀だとすぐに手に入りますし、会場に着いてから騒ぎになっていたので、たぶんバッグを開けて気付いたのではないかと……。
―― 「サーベルがない!」と(笑)。平成維震軍のシリーズは面白かったですか?
齋藤 面白かったですね、とくに先輩方は楽しかったと思います(笑)。
―― 先輩方は(笑)。
齋藤 先輩方は新日本の本隊から離れて自由に伸び伸びとできていたので。ただ、青森のときですかね。そのときは新日本のシリーズだったんですけど、本隊のホテルがすごい大きいホテルで。維震軍でそのホテルの前を通り過ぎたら「……オレたちが泊まるホテルは、ここのフロントの広さじゃねえか」って(笑)。
―― 明確な格差があったんですね(笑)。
齋藤 北海道のホテルでも、タクシーの運転手に住所を伝えたら「……どこにあるんですかね」って言われたことがありますね(笑)。
―― 観光地のタクシー運転手が知らないホテルって(笑)。昔のプロレスはヘビーとヒール、外国人の宿泊・移動を完全に分けていたから、ホテル探しも大変なんでしょうね。
齋藤 そうだと思いますね。基本的に本隊とは別のホテルになりますから。
―― 彰俊さんは寮住まいだったから、本隊の若手と交流はありますよね。
齋藤 一応交流はありましたね。“心の交流”があったかどうかわからないんですけど(笑)。試合のときは控室は別々で接する機会はなかったですし、同じ会社って言ったら、おかしいんですけど、やはり対戦相手とは距離を取ったほうが緊張感があったり、感情的になりやすいんだろうと思いました。中にはですね、一緒の控室にいたほうがギスギスする人もいると思いますけど(笑)。
―― ハハハハハハハ!
齋藤 基本的には離れていたほうが、なんかあったときに「アイツら!」みたいな感じでエネルギーになるところはありますね。
―― 言いづらいかもしれないですが、同じ控室でギスギスしていたのって誰ですか?
齋藤 うーん、たとえば反選手会同盟に入った頃は、それまで敵だった自分と他の選手とじゃあ、ちょっとギスギスしてましたね。そう簡単に受け入れない気持ちはあったと思います。
―― いままで敵同士だっただけに。
齋藤 館長(青柳政司)は小林(邦昭)さんと年齢も一緒だったということもあって、すごく仲良かったと思います。
―― 平成維震軍を仕切っていたのは誰なんですか?
齋藤 キャリアというところでは木村さんなんですけど、木村さんはそこまでの権力を出されなかったと思うんですけど(笑)。今度はカブキ師匠が来られて。
―― 越中さんからすれば全日本の先輩ですね。
齋藤 いろんな意味で三権分立みたいな感じで。まあ指揮を取っていたのは越中さんですね。リーダーということで。
―― たとえばリング外でも越中さんが率先して「どこかに行こう」と統率するんですか?
齋藤 自分はよくカブキ師匠に「おい、彰俊!行くぞ」って飲みについていってたんですけど、他の先輩方から積極的にお誘いを受けるようなことはなかったです。行動は基本的に別々というか。誰かの食事会に呼ばれたら、維震軍の皆さん仲良く行くんですが、プライベートで「行くぞ!」っていうのは……。越中さんと飲みに行ったのは1回、2回ぐらいですかね。これは忘れもしないんですけど、越中さんと焼肉屋さんに行ったんですよね。そうしたら、そこの店に当時、全日本の小川(良成)さんがたまたまいて。越中さんは「おお、久しぶりだな」みたいな会話をされてましたね。
―― 越中さんと小川さんは全日本の先輩・後輩の関係ですね。
齋藤 越中さんとメシを食ったのはそのときくらいですかね。結束は固いですけど、財布の紐も固かったのかはわからないですけど(笑)。
―― ハハハハハハ! 宵越しの銭は持たない年齢ではないと。
齋藤 カブキ師匠は酒好きだったので、しょっちゅう一緒に飲みましたけど。あと小林さんや館長はお酒を飲まないですし。後藤さんも輪に溶け込んで……というタイプでもなかったですし。
―― 後藤さんはめちゃくちゃ酒グセが悪いですよね。
齋藤 そうやって聞きますね。ただ、そんなに一緒に飲んだことはないんですよね。
―― 新日本の道場の近くに住んでたときは、夕方になると道場で酒を飲み始めて、新弟子に包丁を投げつけるみたいな(笑)。
齋藤 その頃の後藤さんはさすがにそんな飲み方はしてなかったんですけど(笑)。 <1万字インタビューはまだまだ続く>
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