KKMさん のコメント
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―― 2022年は梅野さんが覚醒した年でした!
梅野 振り返ってみると分岐点は2022年3月の皇治戦ですよね。
―― 引き金になったのが皇治戦での判定時に発した「ヤバイだろ!」というコメントからで。
梅野 でも、あれは素直な感想というか、何かを狙ったわけではないです。試合後にもツイートしたんですけど、その内容もわりと本音というか。「試合で心動かしたのが皇治選手、ボクはただカラオケでキーを合わせただけの戦い方をした」とツイートしたんですけど。でも、炎上しちゃったと。
―― それぐらいみんな注目していたということですよね。
梅野 まあでも、もう起こったことは変えようがないので。もしあのときに戻れたとしても、同じ発言をしないかというと、やっぱりするんですよ。思ってることを言えずに生きていくってストレスが溜まりますから。自分の好きな格闘技をやっている中で、べつにわがまま言っているわけでもなく、ただ主観を言っただけなので。それに、ボクは個人名を出して批判したりは1回もしてないですし
―― たしかにそうですね。
梅野 あのときはボクの予想を超えた炎上だったんですけど、やっちゃったことは変わらないので、これからどうするか。ちなみに、あの炎上って広告費に換算すると億を超えるらしいんですよね。
―― そんな計算をされましたか(笑)。
梅野 いや、自分で計算したわけではなくて。友達が「梅野さん、これ凄いですよ」と計算して教えてくれました。ただ、結果として認知度は上がったので、あとはどうムエタイに興味を持ってもらえるか、ボクのやっていることに興味を持ってもらえるか。
―― 判定に対するコメントが本音だったり、あのときに戻っても同じことを言う姿勢が凄く重要なんじゃないかなと。わざと炎上を起こしてやろう、ということじゃなく、素直な気持ちを出したからこその反響でしたし。
梅野 めちゃくちゃ素直な気持ちですよ。あれは本当に「ヤバイだろ!」と思ったので。ただ、選手・関係者がいろいろと言ってきたことに対しては腹が立ちましたね……。
―― ファンと選手・関係者では違うもんなんですか?
梅野 やっぱり選手・関係者はこの競技のキツさを知っているわけじゃないですか。で、感想はいいんですよ。「あの試合は梅野の負けだから、言いわけっぽく言ってほしくなかった」。これは感想じゃないですか。でも「おまえ、バカか」「ムエタイ、弱い」とか競技すらも否定してくる人たちがいたので、それは誹謗中傷だと。だから、1回ツイートしたんですよね、「目の前で言えないことを言うな」と。それでも言ってた人もいたんですけど。
―― 梅野さんが面白いのは、自らをキャラクター化しつつ「学ばせる」ということですね。いろんなものを啓蒙している感じがあって。
梅野 キャラクター化ですか? よくわかりませんが……まあ、格闘家は全部「自分、自分」な人種で、負けている試合でも、いけてる写真を使って「今回負けちゃいました」とか。ああいうのはダサいなとは思っているんですよ。「自分が車を買いました」「自分が何かをもらいました」、全部「自分、自分」だったり。
―― 選手だからこそ、そういうことに敏感という。
梅野 いまは格闘技のイメージって暴力的で、何か刺激的なことをいえばSNSで話題になるという感じになってるんでね。それをみんなが「よし」としてるのがね……。
―― SNSで精神的にダメージを食らったからこそ、使い方に対しても考えが深くなってるんですかね。
梅野 でも正直、一番食らったのって、妻からの意見が一番効きましたよ(苦笑)。彼女はSNSやってないんで、ボクがあれだけ炎上したのも見てないんですよね。だから、どれだけ炎上してるかがわかっていない。でも、それは人にあんまり興味がないのかもしれないという。だから、ボクは妻によく「共感力を持ったほうがいい」と言っていたんですよ。でも、ボクが炎上したのを知って「あなたは私に共感力を持ちなさいと言うけど、自分が共感力がないから炎上したんじゃないの?」と。
―― なるほど、奥さんの反論も妙な説得力が(笑)。
梅野 それは、ボクも「なんとも言えねえな……」と思って(苦笑)。「とにかく、そんな暇があるんだったら、私に構いなさい」と。「知らない人たちに何を言われても関係ない。早く遊ぼう」と言われて、「この人、すっげえなあ」と。それは、ある意味ショックでした。背中に傷を負った戦士が、まさか家に帰ってきてまで刺されるとは思いませんでしたから。それもあって、同じリングに上がっている格闘家が騒いでいるのもイヤだったんですよ。背中に傷を負った同じ動物なのに、同じ動物たちが遠くからSNSで小石を投げてくる。そういうのが性格悪いなと思っていたのに、家に帰ってきてからもそれをされるという……。でも、それが第三者の素直な意見なんだろうなとも思って。そういうのを学びに変えましたね。
―― 奥さんは、いまだに梅野さんのもろもろをわかっていないんですか?
梅野 わかってないです。そもそも、彼女の周りは経営者や著名人が多いんですよ。だから、そういう人たちとボクの今回の件を比べないでくれとも言いたくて。「それをあたりまえとして捉えられても違う」というのは言いました。でも、そうやって理路整然と語るところも「細かいから言われるんじゃない?」と言われて。……「クソッ!」と思いながら、ボクは黙りましたけど(苦笑)。だから、ボクが「いまはこういう状況だよ」と伝えても「つまんない」と言われるんです。「なんで理路整然とまともなことしか言わないの?」と。
―― というか、梅野さんは奥さんからつまらないと思われているんですか?
梅野 凄くつまらないと思われています(キッパリ)。
―― それは、カタブツだと思われてるんですかね?(笑)。
梅野 うーん、ボクは基本的にツイッターも含めてまともだと思うんですけど、「あなたは頭が悪いんだから、変にカッコつけなきゃいいのに」とは言われますね。
―― いわゆる、プライドが高いと思われているんですか?
梅野 でしょうね。
―― 梅野さんはご自分のことはどう思っているんですか?
梅野 うーん、どうなんでしょうかね。自分ではよくわかりません。
―― まあいずれにしてもあの炎上を梅野さんが受け入れて前に進んでいるといっても、結局格闘家って試合でインパクトを残さないと完結はしないですよね。
梅野 やっぱり格闘家は試合がいちばん大事だと思います。
―― 皇治戦があんな感じで終わったあと、RIZINとはコミュニケーションは取っていたんですか?
梅野 皇治戦の次はKNOCK OUTで試合したんですが、RIZINからはとくにお話はなかったですし、とくにコミュニケーションも取ってなかったですね。
―― 梅野さんとしてはRIZINで炎上した以上は、RIZINで何かを返したいという気持ちはあるわけですよね?
梅野 もちろんありましたよ。結局、RIZINという世界をビジネスとして捉えると、RIZINだって社員さんもいるし、数字を取らないといけない。そうなると自分が「RIZINで試合をしたい」と思っても都合よく物事は進まないですよね。「この選手を使ったら面白い」と思ってもらうしかない。逆につまんないと使ってもらえない、面倒なことを言うヤツなんてもっと使ってもらえないじゃないですか。すぐにオファーなんて来ないと思っていたんで。だから、ボクが数字を取れる人間になれればいいのかな、と。
―― 「梅野源治を使いたい!」と思わせるしかないと。
梅野 そうじゃないと、ボクはべつにどこの団体とも専属契約していないので、使ってもらうのは厳しいですよね。あの炎上での汚名を返上するには同じリングに立つしかない。だから、ボクなりに愚直に頑張るしかなかったんですよ。今回の炎上で思ったのは、みんな炎上している人の悲しんでいる姿は見るかもしれないですけど、そこからどう復活するかをみんなあんまり見ないんですよね。
―― 梅野さんの話題はずっと続いてましたよね。
梅野 なんでなんでしょうね(笑)。ボクのキャラクターを「プライドが高い真面目なヤツ」って思ってる人たちが、ボクをイジっておもちゃにしたかったのかもしれませんね。
―― 当時は梅野さんのネタとしての消費が本当に激しくて。それまでは皇治選手とかが俎上にあげられてましたけど、梅野さんに切り替わって。Tシャツも勝手に販売されたりして。
梅野 あれ、ボクはもちろん、絶対にRIZINにも許可とか取ってないですからね(苦笑)。
―― ボクは「こんなに早くブート版が出るんだったら、オフィシャルで早く出すべきだ!」と言っていたんですけど、本当に梅野さんが出してくれたので安心したし、今日はそのTシャツを着てきました!
梅野 これも、めちゃくちゃ売れましたよ。ボク、個人で売ってたんで。
―― Tシャツ購入時に梅野さんから直接メールが来たので、「これ、ひとりでやってるんだ!」と思ってビックリしたんですよ(笑)。
梅野 ありえないくらい売れましたから。今回の大晦日も、休憩中20分しか売ってないんですよ。それだけでもすんごい売れましたからね。予約サイトにも殺到して。期限が過ぎてからも注文が入るので、断るのすらも対応できないぐらいで。なのでSNSで「再販します」と。
―― ここまで注目度が高いと、RIZINも梅野さんを試合に出したほうが面白いと思ったんでしょうね。
梅野 そうなったんだと思います。
―― 聞くところによると、コンディション的に本当は10月の福岡大会ではなく、11月の名古屋大会に出たかったそうですね? ・ガーダム戦は強行出場だった
・福岡大会の異常人気
・平本蓮戦オファーの裏側
・幻の「ヒジありボクシング」ルール
・職人のまま終わりたくない
・KNOCK OUT時代の葛藤……などインタビューはまだまだ続く
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