DBA-GY3Wさん のコメント
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多くのMMAファイターをマネジメントする シュウ・ヒラタ 氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回は 井上直樹vsキム・スーチョル幻のバンタム級王座決定戦なんかを15000字で語ります (この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)
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―― シュウさんがマネジメントする風間敏臣選手はRoad toUFC決勝戦で中村倫也に敗れちゃいましたけども、UFCと契約するという運びなんですよね。
シュウ そうですね。あとは契約書にサインして戻すだけです(後日正式にUFCと契約)。
―― なるほど。Road to UFCは「決勝進出者は契約できる」みたいな話をがありましたよね。
シュウ もともと契約では、決勝に残った場合も契約できるかもしれない。その場合のファイトマネーはいくらって決まってたんですよ。決勝でいい試合をしたら取る可能性はあるという説明だったんですね。
―― 「勝ったらUFC」というPRに水を差しちゃいけないから大きな声は言ってなかったんですけど(笑)。
シュウ じつをいうと決勝戦の2日前の夜に、マッチメイカーのショーン・シェルビーといろいろ話はしてたんですよ。「決勝で負けても取るの?」とか。風間選手の場合は準決勝の試合が潰れてるじゃないですか。
―― 相手の計量オーバーで。
シュウ 不戦勝ですよね。アメリカの考え方だと準決勝ができなかったのは、結局相手のせいじゃないですか。風間選手は悪いことを何ひとつしてないのに、本来ならば査定されるべき試合がひとつ減ってしまった。「これはフェアじゃないでしょ」という論理が成り立つんですよ。強引な論ではあるんですけども、そういったことをショーン相手にベラベラ喋るわけですよ(笑)。
―― それもマネジメントの仕事なんですね(笑)。
シュウ あとは、ウチの場合は他の選手の話もしないといけないですから、悪い言い方をすればちょっとそのタイミングを利用させていただき、そして言い方だと一石二鳥みたいな感じで「佐藤(天)選手の次の試合はいつ頃かね?」という話もして、さらには計量会場でもショーンのところに佐藤選手を引き連れて行ったんです。そこで「風間選手は明日の決勝の内容次第かね」みたいなことを一言付け加えたんですよね。そうなるとショーンだって人間ですから、試合を見る視点が違ってくるじゃないですか。それになんといってもUFCは前に出る、常にフィニッシュを狙う姿勢をすごく重視してくれます。風間選手は1回戦でけっこう面白い動きを見せてくれた。それにいまのUFCはレスラー中心で、BJJタイプの選手は少ないですよね。たとえばフルに3ラウンドで戦って完膚なきまでに負けちゃったりしたら、契約が取れなかったかもしれない。速いタイムで打撃がポーンと当たって負けても、競技的な観点からすると、アクシデントに近いものとして成り立つというか、実力はそんなに測れないでしょっていう論理も成り立つんです。
―― 時間だけでは測れないってことですね。
シュウ そういうことです。そうなるとマッチメーカーからしても「もうちょっと見たいな」という心理になるわけですね。これは冷静に考えていただきたいんですけど、基本的にこの企画はアジアトーナメントですからね。ぶっちゃけDEEP、修斗、パンクラスと変わらないかもしれない。それを単にUFCという舞台の「オクタゴン」で開催された。つまりUFCの試合でもなければ、あのトーナメントに出た選手たちは「UFCファイター」ではないんですよね。これ、勘違いしてはいけないと思うんです。
―― ボクはトップノイ・タイガームエタイが大好きなんですけど、彼がフライ級にエントリーしてる時点で「……この企画は大丈夫なんかな」ってちょっと不安でした!(笑)。
シュウ まあでも大きい舞台で試合ができて、すごく経験を得たことで競技者としてプラスになってるとは思うんです。厳しいこといえば、契約したこれからこそが勝負なんですよ。
―― 契約更新できるかどうかの勝負が待ってるわけですね。最初はそんなにいいファイトマネーじゃないですし……。
シュウ お金の話でいえば、優勝した倫也選手はUFCデビュー組の中ではいい契約なんですよ。ハードコアなファンはみんな知ってますけど、UFCは基本給1万2000ドル+ウィンボーナス1万2000ドルから入って、勝つと2000ドルずつ基本給が上がっていく。何試合か勝たないと2万ドルまでいかないんですよ。
―― 年2試合だとして連敗すると年間300万円も稼げないですね……。
シュウ 普通だと4試合契約。コンテンダーシリーズ勝って、のケースも5試合契約。けどこっちは、1万ドル+1万ドルからのスタート。ちょっと低目のスタートなんですよね。で、今回のRoad toUFCの契約は5試合契約。勝ったときのアップが3000ドル。基本給がどこからスタートするかはちょっと言えないですけど。本戦やコンテンダーシリーズよりもいい金額になるんです。
―― ぶっちゃけ直接契約やコンテンダーシリーズのほうがハードルは高いのに、なぜですか?
シュウ それはやっぱりトーナメント3試合を安いギャラでやんなくちゃいけなかったからじゃないですか。あと1年間この企画のために費やしたわけですよ。コンテンダーシリーズは1試合だけじゃないですか。
―― Road toUFCはそこまで高くないファイトマネーで、要するに1年ぐらい拘束されたと。
シュウ なので1試合だけの一発勝負よりは高いってことなんですよ。Road toUFCは今年もやるという話もありますし、素晴らしい企画だとは思いますよ(後日正式に2023年度の開催発表)。ただ、やるなら早く決めてほしいってころですね。契約的に出られない選手もいますよ。新しい契約にサインしちゃったり、次の試合が決まったり。
―― 風間選手の話に戻ると、打ち合う・打ち合わないが議論になってることはどう思われますか?
シュウ まずボクは当然、試合前からゲームプランも聞いてました。結論からいえば、MMAは打撃から始まるわけですし、いまの判定基準はしっかりフィニッシュを狙わないと勝てないですから。ただ至近距離で打ち合うんだったら、しっかりと防御できる技術を身に付けなくちゃいけないってことですよね。
ボクは試合後、風間選手と大沢さんと3人で1時間以上ディスカッションしたんですけども。風間選手って去年のPOUNDSTORMでもヒザ蹴りを頭部にもらってKO負けしてるじゃないですか。
―― Road toUFC前の試合ですね。
シュウ 頭部の打撃でノックアウトは今回で2回目なんですよね。そんなに長いあいだ意識が飛んでなかったとはいえ、やっぱり2ヵ月ぐらいは対人練習も避けるべきですよね。試合では、なるべく頭部に被弾をしないゲームプラン、またはそのための技術を学んでいくべき。やっぱり前に出るだけではUFCで生き残っていくのは厳しいですし。
―― ブラッシュアップしていかなきゃいけないっていうことですね。
シュウ 風間選手はUFCと契約したわけですから、ベガスでファイトキャンプを張るんだったらUFC PIの施設を使えるし、いろんな利点があるわけですよ。ただ、大沢さんがコーチだから、大沢さんもファイトキャンプに来ないといけないんですけど。大沢さんは日本でジムの経営があるから、そんなに空けられないかもしれない。そうすると彼のスタイルを理解して、それを伸ばせるコーチが見付けられるかってことですよね。それはたとえば「打撃のいいコーチを見付けたらいいじゃん」とか、そんな簡単な話じゃないんですよね。
―― ジムや指導者を変えれば、問題が解決すると思い込んでる人も多いですね。
シュウ そこは彼のスタイルを活かせるコーチってことですよ。そのへんは大沢さんや風間選手とディスカッションしながら進めていかなくちゃいけない。ベガスにはUFC PIの恩恵があるとはいっても、ベガスにはシンジケートとエクストリーム・クートゥアのジムしかないから、そこでどっぷり漬かるような所属の仕方は少なくて。UFCバンタム級王者のアルジャメイン・スターリングなんかはラスベガスとニューヨークを行ったり来たりしてるんですけど、そんなことができるのは一握りのスターだけですから。メラブは、この前ベガスで会って話したら「ベガスに住んでいるからニューヨークに戻るのは時折だけ」と言ってました。けど課題はコーチだと。やはりコーチを誰にするのか?指導者によってアスリートは違ってきますから。でも、これってあたりまえのことですよね? 1ヵ月程度、有名チームで練習しても、もちろんプラスのこともありますけど、根本的にそれだけ劇的に変わることも強くなることも、ほぼないですよね。そういった基本的なことから見直していけば、普通に答えは出てくると思うんですよね。
―― UFCと契約した中村選手と風間選手の今後が楽しみです。同じ大会でUFCデビューしたウェルター級の木下憂朔選手は残念な結果になってしまいました。 ・木下憂朔の敗因
・契約更新できてこそUFCファイター
・イリーやケイプは「スタールート」契約
・井上直樹vsキム・スーチョル幻のバンタム級王座決定戦
・朝倉海は悪くない
・「フィーダーショーで勝ったらUFC」という確約はない
・謎の関係者「俺に任せればUFCに行ける」……などなど15000字インタビューはまだまだ続く
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