• このエントリーをはてなブックマークに追加

マルンコさん のコメント

暗黒時代の新日みてるようだったよ。

あー可哀相。「馬鹿が仕切る祭りなんて文化祭以下」だな。
No.2
145ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
2003年以来の大晦日開催となった『イノキボンバイエ』が再びやってくれました。 9年前のあのときは、大会前日にようやく対戦相手がヒョードルだと知らされる「Nの悲劇ゼァ」が起きたり、ゴングを用意し忘れて鍋を叩くプランが真剣に検討されたり、アリスター・オーフレイムの対戦相手に橋本(友彦)違いでライターの橋本宗洋さんへ問い合わせが入ったり、あげく最後は観客がリングに雪崩れ込み暴動化。ズンドコイベントの最高峰をおおいに堪能させていただきました。 そして今回、いったいどーすればこーなるのかと理解不能な試合となったのは 、 メインイベントの藤田和之vs小川直也です。我々ズンドコファンのあいだで大きな話題になった、この日本人大物対決。試合内容は各方面で報道されているので割愛しますが、ひじょうに妄想が膨らみ、見立てがいのあるものに。戦前から藤田選手が不穏な発言を繰り返していたこともあって、試合中の両選手の一挙手一投足に注目が集まりました。最後は無理矢理レフェリーが試合を止めたことに激怒する方も見受けられますが、試合前後に浮き出た多くの歪みを含めてこれぞ猪木プロレス!……と満足して新年を迎えようとした私をズンドコさせる発言が飛び出しました。 よせばいいのに小川選手、試合後のコメントで藤田選手に「(シュートを)仕掛けた!」と胸を張るではありませんか。その後、ブログでも「仕掛けた!」ことを強調。つまり、小川選手のプロレス道にもとる行為に藤田選手は激怒してこんな不恰好な試合になった、というのが今回の真相だそうです。 この発言には心底、驚きました。そもそも小川選手は何も仕掛けてないように見えるからです……。 「仕掛けた」とはプロレスの範疇を超える攻撃行為であり、その小川選手の出世試合となった橋本真也戦、99年の通称「1・4事変」が思い出されます。小川選手が橋本選手に“仕掛けた”ことで大反響を巻き起こした、あの決闘。あのときですら小川選手は「仕掛けた!」とは口にしなかったのに今回の発言の軽さたるや。プロレスの根源に関わることだけにおいそれとは口にはできない。それは木村政彦戦の力道山だって。 「1・4事変」を当時ひとりのプロレスファンだった私は東京ドームのスタンド席から観戦。業界内では「何かが起きる!」と噂になっていたようですが、ファンのあいだでは大仁田厚の初参戦のほうが注目度が強かった印象があります。それに客席からリングまでかなり距離があったことで、そんな物騒なことが起きているとはつゆ知らず。しかし、乱闘の緊迫感や、小川に詰め寄る長州力の姿からはプロレスを超えた何かが起きていることは感じとれた(のちにテレビ中継で小川選手がシュートを仕掛けていることを確認)。 翻って今回の藤田和之戦は、あの「1・4事変」をモチーフとしていることがわかるシーンが見受けられます。しかし、唯一の違いは小川選手の攻撃には、橋本戦のときのような殺気がこめられていない。何度見返してみても小川選手が仕掛けたと思しきシーンは見つけられません。しいてあげるとすれば試合前後に宮根誠司の胸グラを掴んだところくらいですが、アレもまあ男気ジャンケン的なバラエティ対応のなせる業でちっとも仕掛けてはおりません。 会場観戦ならば異様な雰囲気込みで妄想を掻き立てられたもしれませんが、テレビ画面越しに観る攻防はまるで説得力のないプロ格マッチそのもの。一部からは「小川直也がヘタ、大根!」という演技力不足を指摘する声も飛んでおりますが、MMAというスポーツがこれだけ浸透した時代にこんな「不穏風プロレス」で観客の目を欺けるのか、そんな技量を持った選手がはたして存在するのでしょうか。もしかしたら田村潔司さんが二人いればなんとかなるような気もしますが、よくよく考えるとひとりでも交渉が面倒な田村さんのことですからプラニング段階でGOサインが出るわけがありません。 いったん話を整理すると、今回の試合は、意図をもって何かが崩れたわけではなく、最初からこんなズンドコを提供しようとしていたということです。「不穏試合」ではなく「不穏試合を装った試合」、しかもなんの説得力もない攻防で……。藤田選手のあまり激怒っぷりには「仕掛けられた以外のアクシデントが起きていた」という説もありますが「なんちゃって事変」の前提はあったわけです。 それでも私は充分に楽しみましたが、それはズンドコとしてです。これを「是」とするならば、現在進行形のプロレスを批判し続けてきた猪木さんの顔に泥を塗ることになります。こんな「なんちゃって事変」が理想のプロレスなのか? と。 故・橋本真也さんはあの“1・4事変”により運命が大きく狂いました。休養、復帰、負けたら引退SP、新団体設立、経営悪化、そして早すぎる死――。あの死闘を経て、盟友関係を築き上げた小川選手が、このようなズンドコにホイホイと乗ったとはいまだに信じられません。“あの試合”はそんなに軽いものだったのか。 それは橋本真也の付き人をつとめ、戦前に橋本選手の名前を出して試合に挑んだ藤田選手にも言えることです。その藤田選手と橋本選手のエピソードで大好きなのは、そこに安田忠夫選手を加えた通称「三バカ」が車で試合会場に向かう途中、山奥に迷い込み、どういうわけかゴルフ場のバンカーに出てしまったというものです。ひじょうに嘘っぽい、というか確実に盛っている話なんでしょうが、「嘘でも笑える」ものがあの3人のキャラクターにはあった。小川直也vs藤田和之は「不穏試合」と信じたくとも、まったく乗きれない材料があまりにも多すぎました。嘘でも痺れる決闘ではなかった。それは「1・4事変」から12年の歳月が経ち、猪木さんをふくめた彼らやプロレスそのものが変わってしまった影響もあるのでしょう。  唯一の救いがあるとすれば、藤田選手が見せた試合後の涙ではないかと思うのです。リング上やコメントブースで見せた藤田選手の怒りは「あんなことをやってきやがって!」ではなく「こんなバカなことをやらせやがって!」という本音も混じってるのではないか。いや、そうに違いない。そうでも思わないとこの試合はなんの価値もない。 プロレスは本来、枠の中で戦いながら観客を魅了するものです。しかし、猪木さんはその枠を喜怒哀楽により1ミリでもいいからハミ出すものがほんとうのプロレスだと言い続けてきた。 藤田選手の真の怒りを引き出したことは、結果的に「いまの世の中には怒りが足りない!」と叫び続けてきた猪木さんが望むかたちにはなりました。しかし、その猪木さんは藤田選手の怒りに気が付かず(「気づきが大切」と唱えているのに!)、あまつさえズンドコぶりに激怒するお客さんに「じゃあおまえがやってみろ!」と逆に怒りをぶつけ、強引な「ダ~!」の咆吼を両国国技館に響きわたらせたのでした。 藤田も怒った、観客も怒った、猪木さんも怒った。しかし、なぜこんなにも虚しいのか――。 最後に小川直也さんの怒りをブログから引用して筆を置かせていただきます。 「地上波のボンバイエを観て思ったのはプロレスVS総合格闘技の図式だったね。 プロレスのリングで総合の試合・・・ とうとう、プロレスのリングで総合の試合が組まれるようになってきたみたいだね。 総合の選手はMMAルールなら出るって言ってたけど、戦う場がなくなってきている現状で言うといいのかね。合わせる努力をしなければならないと思うのは俺だけか? 一度、プロレスルールで戦ってみればいいんだよね。(笑)」 なんたるぐう勘(ぐうの音も出ない勘違い)ぶり! そりゃあ、つまらなくなるって!! (文とイラスト/ジャン斉藤)
Dropkick
プロレス格闘技マガジン『Dropkick』公式チャンネルです。【更新コンテンツ】スペシャルインタビュー/斎藤文彦INTERVIEWS/小佐野景浩の「プロレス歴史発見」/プロレス点と線/OMASUKI FIGHT/アカツキの『味のプロレス出張版』/大沢ケンジ/二階堂綾乃/オレンジ色の手帳/中井祐樹日記/ジャン斉藤……のコラムなど。週一の音声配信もやってます!